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調達部員が辞めるから、上司は〇〇と言わないでください

兵庫県知事選挙、米国大統領選挙、また欧州での選挙……。これらの結果は「建前から本音へ」という流れと認識しています。


「人権や環境問題は金持ちの戯言だ」「それよりも、もっと生活をよくしろ」。これが有権者の本音でしょう。有権者の人気を集めた政党は経済問題に特化した点からもその傾向は明らかですね。


先日、こんなことがありました。調達部門長と話していたのですが最近は部員に夢をもたせられないから大変、とのことでした。以前ならば右肩上がりの成長だったし、ポストもあった。


ただ現在では夢も希望もないのです。管理職にもなれないかもしれない。会社は倒産してしまうかもしれない。


こんな時代に調達部門の面白さや夢を与えられないのだ、と。


冒頭の続きでいえば、「建前から本音へ」の流れです。部長や課長は偉そうにしているけれど、あなただって楽しそうにしていないし能力もないじゃないですか、と部下からは見える。


夢より希望より、目の前の給料を上げてくれ、というわけです。


これは国際研究としてよく知られる事実ですが、日本人は勤務企業を嫌いだし、働きたくないと答える率がかなり高いと明らかです。つまり夢も希望もないし仕事も嫌いなんです。


ここで怒られそうなことを申し上げます。


若い人はとくに読んでください。上司の方は部下に転送してね。


というのは、いまの会社で多少の給料をあげても仕方がないよっていうことです。上がっても、どうせ年に100万円の差でしょう。それくらいの差だったら、実力を蓄えれば、何倍も逆転可能です。


目先の給料なんてどうでもいいので、とりあえず困難に突っ込んでいったほうが中期的に成功します。いまみんなが言い訳ばっかりで困難な仕事を積極的に引き受けてくれないんですよ。


20代か30代だったら理解できないかもしれないし、この発言がハラスメントと受け取られるでしょうね。でもほんとうなんです。


22歳の私は電機メーカーの絶望的な資材部というところに配属をされました。しかし先輩たちも、私が真剣にぶつかったり、議論をふっかけたりすると、真面目に応えてくれました。


このひどい職場は、最高の職場だろう。そう思った私が調達業務の業務ノウハウをまとめた書籍を発表したのは6年後の28歳のころでした。ひどくて、くだらなくても、自分しだいで同僚たちも協力してくれます。


いま仕事で28歳の男性と話すことがあります。「ああ、私が本を出したのはこの年齢だったんだ」と思いますね(笑)


そこで、どうしてもみなさんに伝えたいことがあるんです。


私が勤務企業を辞めようと先輩に相談したときのことです。先輩が「うちの企業がお前に与えられる成長機会より、お前の成長速度が速かったってことだね」と言われ「応援している」と付け加えられました。


なんて素晴らしい言葉だろう。電機メーカーの方です。


この方はいまだに尊敬していて、この人がいる限り戻ってもいいしなんでも協力しようと思っているんですよ。本気です。


なお私は次に自動車メーカーで働きました。辞めるとき直属でないIさんに退職の相談(正確には事後報告)したんですが「いつかはそうすると思ってたよ」と笑ってくれました。「こっから飛び出し活躍しろ」と檄を飛ばしてくれました。いまだにそのIさんと交流があるのは喜びです。


ここまで私はこんな話をしました。
・建前から本音の時代になっている
・でも目の前の給料じゃなくて経験を追求したほうがいい
・そっちのほうが中期的な年収につながる


そこで提案です。


テーマは「上司は〇〇と言わないでください」としました。上司にとってみれば、特定の部下はたった数年だけつながる関係ですね。でも、そのときに「身程」(みのほど)と言わないでくださいね。「私たちは調達部員だから身の程を知ろう」なんてことは部下には言わないでください。


むしろ「身の程を知るな」って伝えてください。いまは地方の片隅で調達部員をやっている。だけど、それゆえに調達業務の困難とか苦しみがわかるし、ノウハウも吸収できる。だから調達人材としてどこにでも行ける高給人材になるだろうって。


「身の程を知るな」。たぶん上司が現代に部下へ伝えるべき妄想はそれだと思うんですよね。もう一度。「身の程を知るな」。


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