「証券投資の日」を基準とした3つの数値がプラスになれば、年末は株高に!?
10月4日は「証券投資の日」です。「とう(10)し(4)」の語呂合せで、より多くの人に株式や投資信託といった投資活動に興味や関心を持ってもらうことを目的とし、日本証券業協会が1996(平成8)年に制定しました。
日銀が6月に発表した2022年1-3月期の資金循環統計によると、日本の家計の金融資産残高は約2005兆円と、年度末としては過去最高を更新しています。
欧米に比べて、日本人は圧倒的にお金持ち!?
ただ、内訳をみると現預金が54%占めている一方で、株式・投資信託の割合は約19%に過ぎず、米国の約55%、英国の約42%と比較すると、かなり水をあけられているのです。(2021年末)
投資に回るお金が多いということは、それだけ企業が新しい研究開発等やサービスの拡充などに充てたりできるので、経済が活性化し社会全体が成長していきます。逆に、ずっと現金を貯めこんで、投資にも消費にも回らなければ経済は動きません。
実際、過去20年の個人金融資産の伸び率は、米英が2.5~3倍になっているのに対し、日本は1.5倍にしかなっていません。要するにお金が働いていないから、預貯金の分しか増えていないというのです。
現預金から投資へと個人の資産がシフトし、企業価値を高めていくことが経済に好循環をもたらすとして、現在、政府は主要政策のひとつとして、『資産所得倍増計画』をスローガンに掲げ取り組んでいます。
例えば、個人が投資しやすい環境を整えるためNISAの拡充、中学校・高等学校では金融リテラシーの向上をはかるため、今年4月から新しい学習指導要領に基づく授業も始まりました。
▼2007年に誕生した「証券知識普及プロジェクト」のマスコットキャラクター“とうしくん”
また日本証券業協会HPでは「証券投資の日」に際して、岸田内閣総理大臣(10/14公開予定)、鈴木内閣府特命担当大臣(金融)、黒田日銀総裁をはじめ、各界の著名人からのメッセージ動画をアップするなど、証券投資への機運を高めようとする動きも見られます。→ 著名人のメッセージ動画
首相肝煎りの国家戦略は投資家たちに届いているでしょうか。はたして、「証券投資の日」を足掛かりとする呼び掛けに賛同して株は買われるのか?それとも笛吹けども踊らず!?
そこで!1996年に「証券投資の日」が制定されて以降、26年間の日経平均株価のこの日の動きを調査してみました。すると、興味深い傾向があることを発見!
▼「証券投資の日」の日経平均株価の動きは?
図表は「証券投資の日」当日(10/4が土日の場合は翌営業日)の日経平均株価の始値と終値、および前日と翌日の終値をまとめたものです。
「証券投資の日」は、さっそく寄付きから株が買われるのか、当日始値を前日終値と比較したのが「A」列です。26年間でプラスとなったのは61.53%(16勝10敗)なので、3回に2回は上昇しているということになります。
ただし、高く寄ったとしても、そのあと売られてしまえば意味がありません。そこで、前日よりも株価を切り上げているか、前日終値と当日終値を比較したのが「B」列です。ここでは15勝11敗(57.69%)となりました。
次に、上昇の勢いが継続できたかをみるために、当日終値と翌日終値を比較したのが「C」列です。ここでは14勝12敗(53.85%)となりました。
残念ながら、徐々に勝率が下がっていることからすると、「証券投資の日」の号砲とともに株が買われるといったことは無さそうですね。
▼そもそも9月・10月は株価が下がる傾向にある?
過去の経験則からこの時期にあまり良いイメージを持っていない投資家は多いかもしれません。実際、9月から10月に暴落が起きた例は少なくない。
1929年の世界大恐慌時のはじまりとなったウォール街大暴落の「暗黒の木曜日」は10月24日。1987年の史上最大規模の世界的株価大暴落、ブラックマンデーが10月19日。
1992年、英国がジョージ・ソロスに敗れ去ったポンド危機は9月16日。1998年に米国大手のヘッジファンドLTCMがロシア危機・アジア通貨危機で破綻したのも10月。2001年の米同時多発テロは9月11日。2008年のリーマンショックは9月15日。
ですが、毎年こんな非常事態があるわけではないのに、9月、10月が下がる傾向にあるのはなぜでしょうか?
ひとつの要因として考えられているのが、この時期に欧米のヘッジファンドに決算が多いこと。もし決算でパフォーマンスが悪ければ、顧客に解約されるリスクを負っているファンドが、利益確定のために株式を大量売却してくることがあるため株価が下がりやすいというのです。
また投資信託で評価損を抱えた投資家が節税のために、解約売りを出すことも重なりやすい時期でもあります。
ということは、この時期に株に手を出してはいけない?いいえ、この時期こそ積極的に仕掛けるべきタイミングです。売りが一巡すれば、ファンドも次のターンに移行することは過去の相場サイクルの視点からも明らかだからです。
「Sell in May」(セルインメイ)、誰もが知っている有名なアノマリーですが、実はこの格言には続きがあります。
実際、過去の相場を振り返ってみると、10月以降は平均的に持ち直しの傾向が見て取れます。アノマリー通りの解釈でいくなら、この時期は相場に戻るべきタイミングということです!
もちろん、5月まで上げっぱなしとはいかないでしょうが、年末までの上昇なら過去の経験則から十分期待できそうです。実際、日本の株式市場における相場格言にも「掉尾の一振」といったものがありますね。
もちろん、感覚的なものだけでは心許ないですが、データの裏付けがあれば期待値は上がりそうです。ということで、先ほどの図表データに戻ります。
実は、今回調査した「証券投資の日」を基準として、年末の最終取引日(大納会)の終値との比較をしてみたのが「D」列なのですが、17勝9敗という好成績!
▼3つの数値がプラスになれば、年末は株高に!?
さらに、ある興味深い傾向があることを発見しました!
過去26年間で、A・B・Cが3つとも揃ってプラスになった場合、年末に向けて日経平均は上昇する可能性が極めて高い!?(2003年だけわずかに及びませんでしたが・・・)
「証券投資の日」が起点で上昇しているわけではありませんが、3つともプラスという条件が揃った9回のうち、8回で年末高を実現しているとなると、少しは気になるものです。
ちなみに2022年の「証券投資の日」の日経平均株価はどうかというと、
AとBの条件はクリア!明日10月5日の終値が当日(本日)の終値を上回って、Cもクリアすると3つの条件コンプリートとなり、「D」列はプラスになる可能性大!?明日の終値に是非、注目してください。
今年も実現することになれば、過去27年で確率90%ということになるので、堂々と相場アノマリーに加えたいと思っています(・∀・)!
▼10月5日追記
日経平均株価は、欧米市場の株高を引き継ぎ、前日比128円32銭高の2万7120円53銭となりました。これで3つの条件をクリアしたことに!年末高への動きに期待が高まりますね。
PS
「人生100年時代」といわれるなか、より豊かな人生を送るために国民自らが行う資産形成の必要性はますます高まっています。
また、国や企業、経済の発展や成長を支え、持続可能な社会を形成するためにも投資活動は欠かせない仕組みとも考えられます。
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