木が倒れる方向と自分の立ち位置に注意!(エルダー博士の相場分析)
From:アレキサンダー・エルダー
木々の成長はどこかのタイミングで必ず止まります。空高く延々と成長することはありません。この当たり前のことは相場にもあてはまります。
2020年から2021年にかけての上昇相場は、多額の新規資金流入の呼び水となりました。まだ下落相場を経験したことのない投資家にとって、先に待ち受ける下落にどのように対処し投資資金を守っていくか、未知の領域といえるでしょう。
強気相場なら、初心者であっても簡単に儲けることができます。しかし、どんな相場にも必ず終わりが訪れます。口座資金をすべてなくしてしまう前に、その終わりの前兆を察知しなければなりません。
2020年から2021年にかけての株価上昇の背景としては、2つの新規資金流入が挙げられます。ひとつは米連邦準備理事会(FRB)や各国中央銀行の介入、もうひとつはみなさんのような個人トレーダーの新規参入です。
資産買い入れを続けてきたFRBは、これまでの方針を転換し、金融市場から資金を引き上げようとしています。
ウォールストリート・ジャーナル紙から抜粋したチャートを見ると、2020年3月にFRBがいかに巨額の資金を金融市場に注入したかが分かります。
紙幣増刷をもとにした有利子債券の買い入れを通して介入が行われました。直近では、この介入によって積み上がった保有債券の売却・償却をいずれ開始することが発表されています。これは、マラソンを走る長距離ランナーに対して酸素の供給量を制限しようとしているようなものです。
市場関係者は既に警戒感を強めており、経営者や役員の多くは持ち株を売り始めています。強気相場の終焉を見越してのことでしょう。
これは、米国株式市場(S&P500)のチャートの下に新高値・新安値指標を表示させたものです。新高値・新安値指標とは、新高値をつけた株の数から新安値をつけた株の数を差し引いたもので、信頼性の高い指標です。
2021年3月(A)、11月(B)、そして2022年1月現在(C)の指標を比較してみましょう。現在は新安値銘柄のほうが多く、数値はマイナス圏にあり、相場の足を引っ張っていることが分かります。
私の分析結果とトレード成果から判断しても、今の米国株式市場は弱気相場の非常に初期の段階にあるといえそうです。
経験の浅いトレーダーたちがマージンコールを受けて一斉に投げ売りし始めると、相場は押し下げられます。下落幅は拡大し、下落速度も加速していくでしょう。
これは、日本の株式市場に連動する米国上場の日本株ETFの週次チャートにMACDを表示させたものです。2020年にパンデミックによって底値をつけて以降、力強い回復を見せました。
2021年初頭にピークをつけてからレンジ相場が続いていたことがMACDを見ても分かります。2021年9月に一旦新高値をつけたものの、その後は再び同じようなレンジに戻っています。
チャート上に赤丸で囲んだこの値動きは弱気のシグナルでダマシのブレイクアウトといいます。これと同時に、MACDは弱気の乖離(ダイバージェンス)というパターンを形成しました。
ダマシのブレイクアウトとダイバージェンスが同時に出現することは非常に稀であり、強力なシグナルです。これはこれまでの強気相場への警鐘と捉えることができます。
特に楽観的な初心者への最善のアドバイスとしては、損切り注文の置き方について学び、すべての保有ポジションの逆指値注文を出しておくことです。
予め撤退すべき株価水準を決め、損切り注文を置きましょう。下落相場で大きな損失を回避できれば、それが次の上昇相場の儲けにつながります。
アレキサンダー・エルダー Alexander Elder
精神分析医、プロトレーダー、トレーディングの指導者、SpikeTrade Groupの創設者。レニングラードに生まれ、エストニアで育つ。16歳の若さで医学部に入学し、船医として働いていた23歳のときにアフリカに寄港していたソビエトの船舶から脱出、米国へ政治亡命した。その後、ニューヨークで精神分析医として働き、コロンビア大学で教鞭を執る。精神分析医としての経験から得たトレーディングの心理に対するユニークな洞察は高く評価されている。現在もアクティブにトレードする一方、トレーディングの指導者としての活動も続け、米国をはじめとした各国でのトレーダー向けセミナーは好評を博している。テクニカル分析が一般に広まる前から、いちはやく取り入れ研究・検証を続けている世界屈指のテクニカル分析のスペシャリストでもある。著書に『ザ・トレーディング』『投資苑』『利食いと損切りのテクニック』などがあり、投資書籍の金字塔として世界中のトレーダーたちから支持されている。
(FPO編集部より)
年始のビデオメッセージに続き、貴重な分析レポートでしたね。ダマシのブレイクアウトと同時に弱気の乖離(ダイバージェンス)が出現!世界的権威の声に耳を貸さない投資家は倒木の餌食になるかもしれませんよ。
ちなみに、、、エルダー博士の解説に出てきた新高値・新安値指標について詳しく知りたい方は、書籍『ザ・トレーディング』第6章「マーケット全般の指標」34節「新高値・新安値指数」をお読みください。非常にシンプルな指標ではありますが、トレードのタイミングを改善するのに役立ちます。
ダマシのブレイクアウトにつきましては、『ザ・トレーディング』第3章「古典的チャート分析」をご覧ください。「テクニカル分析の中で最高のパターンの1つとしてあげられるのが、ダマシのブレイクアウトです。」との記述があります。
出現頻度はかなり低いですが、極めて信頼性の高い売買シグナルとして『ザ・トレーディング』のなかでも紹介されている価格との乖離(ダイバージェンス)につきましては、第4章「コンピューターを使ったテクニカル分析」23節「MACD──ラインとヒストグラム」をお読みください。
MACDヒストグラムと価格との乖離はたまにしか起こりませんが、大きなトレンドの転換期を知らせてくれる最も強力なシグナルといえます。もちろん、主要な天井と底のすべてで乖離が起こるわけではありませんが、乖離を見つけたときには、高い確率で相場の大きな転換が差し迫っていることを念頭に置いてください。(書籍『ザ・トレーディング』第4章23節より)
最後に、損切り注文の置き方についてですが、『ザ・トレーディング』第10章「実践的なトレーディングの詳細」54節「損切り注文の置き方──希望的観測は禁物」をお読みください。
エルダー博士のトレーディング人生の集大成!そして最高傑作!書籍『ザ・トレーディング──心理分析・トレード戦略・リスク管理・記録管理』。
かなりのボリュームがありますので、それなりの覚悟を持って読み進めないといけません。が!その分、得られるものはとても大きいはず!投資家・トレーダーとして生涯役立つ大切なものが学べることをお約束します。
オミクロン株の感染急拡大で、ふたたび巣ごもりライフに突入となりそうな気配ですが、もしそうなってもイライラや焦りをグッと堪えて、投資・トレードの集中学習に充ててみるのはいかがでしょう。
以下より『ザ・トレーディング』の無料試し読み(33ページ)ができます♪
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