知っておいてほしい「お金の知識」 Vol.6-3 ~iDeCo~(後編)
それでは、前回の続きになります。(前回及び前々回の投稿はこちら↓)
ここからは、iDeCoでのデメリットについて、書いていこうと思います。
何度も書きますが、記載内容に関しては、勧誘目的や推奨をしているわけではありません。ですので、加入をするしないや運用の結果については、全て自己責任になることをご理解した上でお読みください。
また、ファクトチェックは毎度のごとく行いますが、内容に不備やご指摘などございましたら、遠慮なく仰っていただきますよう、お願い申し上げます。
iDeCoの特徴(デメリット編)
他の投資制度や年金と比較して、iDeCoが持つデメリット(というか注意点)は、以下のようなものがあります。
60歳まで原則引き出しが不可能。
60歳時点で加入期間が10年未満の場合は、加入期間ごとに決められた年齢に達しないと受給できない。
管理手数料が結構かかる。
細かい点はもう少しあるのですが、分かりやすくそれでいて知っておいてほしいこととして以上の特徴を挙げてみました。それでは順に説明していきます。
1.60歳まで原則引き出しが不可能。
おそらくiDeCoを語るうえで、1番と言って良い特徴がこれでしょう。証券投資や保険などは、売却や解約などでそれまで拠出した分を基にして現金化することが出来ますが、iDeCoに関してはそれが原則出来ません。
原則、と書いたのは唯一と言っていい方法として、「脱退」があるからです。文字通り、iDeCoを止めてしまうことですが、「脱退」することで、脱退一時金が支給されますので一応現金化できますが、この「脱退」も一定条件があり、簡単には出来ません。詳しくはこちらから確認してください。(iDeCo公式サイトに飛びます。)
つまり、始めてから60歳になるまでは、拠出した分に関しては原則、一切手元に戻すことはできないということになります。ですので、前回の投稿でも触れたように、その使い道は自ずと「老後資金」として使うことになります。
ただ、これに関しては、その点を理解した上で「老後資金はこれで用意!」と割り切って、毎月定額で拠出するようにしておけば、余剰分を他の支出や投資へ回すことが出来るので、結果家計管理もしやすくなるということも考えられます。そう考えると、拠出額の設定さえ間違わなければ(=家計のバランスを崩すほどの額を拠出してしまう)、利用しやすいのではないかと考えられます。
繰り返しになりますが、原則60歳まで引き出せません!
利用する場合は、よく覚えておいてください。
2.60歳時点で加入期間が10年未満の場合は、加入期間ごとに決められた年齢に達しないと受給できない。
これは、先ほどの1.とも関連があるのですが、制度としては「年金」ですので、加入期間があまり長くないということは考えられていません。なので一応、最低10年というのが加入期間として設定されています。
ということは、50歳を超えて加入するもしくは加入したい人は、どうなるの?という疑問が出てきます。人によっては「加入期間が短くて、あまり運用されてなくても、本人が良ければ60歳で受け取れれば良いじゃない?」という声が聞こえてきそうですが、その場合は以下のようになります。
上の年数は「60歳になった時点での加入期間」になります。これによると受給可能年齢が、65歳になってしまう場合もあります。なので、戦略として「公的年金がもらえるまで(60~65の間)は、iDeCoで賄おう!」とお考えの方は、特に注意してください。早めに加入しておかないと、その戦略が使えなくなる場合があります。
さらに注意していただきたいのは、「60歳以降は基本、運用のみ」という点です。何故か?振り返っていただきたいのですが、iDeCoの加入条件は何だったでしょうか?・・・そう、「国民年金に加入していること」だけでしたよね。つまり、国民年金加入者でなければ、iDeCoに加入できないのです。整理すると
第1号被保険者の方は、国民年金の加入期間中に未納期間がない(=加入期間中に払わなかったもしくは払えなかった期間が一切ない)場合は、60歳まで。未納期間がある場合は、60歳以降その未納分を納付しきるまで。
第2号被保険者の方は、60歳以降も継続して勤められる(=厚生年金の適用を受けている)場合は、その期間中継続して拠出できる。
第3号被保険者の方は、60歳の時点で資格が喪失しますので、60歳まで。ただし、国民年金へ任意加入された場合は、その加入期間中は拠出可能。(国民年金保険料+iDeCoの拠出額が支出となります。)
といった感じになります。(上記の号数に関しては、前々回の投稿をご覧ください。)
要は、「iDeCoは公的年金の上乗せという性質なので、公的年金の加入資格がなくなった時点で、iDeCoの拠出も終了」ということです。つまり、iDeCoの加入期間が短くて、受給年齢が60歳以降になってしまった方は、60歳以降受給を受けるまでの間は、それ以上の積み上げは出来ず、それまでに拠出して購入した分を運用するだけになってしまいます。
これはどういうことが想定できるかというと「その期間に評価額が暴落した場合は、目減りする=60歳で受給できたであろう額より減ってしまう可能性もあり得る」ということです。このように書いてしまうと、なんだか不安を煽っているように思えるかもしれませんが、多くの方はここまでの条件に該当しないでしょうし、仮に該当したとしても、こういうこともあり得ると知っていれば、どうすれば良いかを考えるきっかけになると思いますので、ポジティブに捉えていただければと思います。
まとめると、
加入するならなるべく早く、もし50歳以降でも加入は可能だが、
受給年齢が遅れることを理解しておく
ということになります。
3.管理手数料が結構かかる。
これはiDeCoに限ったことではないのですが、購入商品の大半が投資信託であるiDeCoも、当然のように手数料がかかります。ざっと挙げてみても、
加入時・移管時手数料
口座管理手数料
給付事務手数料
信託報酬(運用管理費用)
還付手数料
となります。特に注目してもらいたいのは、口座管理手数料と信託報酬です。
まず、口座管理手数料ですが、名前の通り口座を持っている限り、つまり運用期間中ずっと発生する手数料です。ということは、加入が早ければ早いほど、これを払う期間が長くなり、トータル額は結構大きくなります。
この手数料は、事務手数料として管轄機関である「国民年金基金連合会」と、資産管理手数料として「信託銀行等」と、運営管理手数料として口座を管理する「運営管理機関」がそれぞれ徴収します。「運営管理機関」とは、要はiDeCo口座を作った金融機関です。○○証券とか△△銀行とかになります。そして、徴収は積み立てた資産からの差し引きとなります。つまり、口座管理手数料以上の利回りを確保できないと、目減りしてしまうということになります。
金額としては、事務手数料で¥1,260/年、資産管理手数料で¥792/年、運営管理手数料はそれぞれの金融機関ごととなりますが、そもそも長期の積み立てが前提ですので、案外無視できない金額になる可能性があります。なので、金融機関選びの際の1つの指標として、検討材料にしていただければと思います。
それと、信託報酬ですが、これは投資信託の運用にかかる手数料になります。すでに投資信託に投資されている方などは「信託財産留保額」とともに、購入時のコストとして注目されるかと思いますが、これも「購入した投資信託を運用する上で必要な費用」と考えていただければと思います。商品選定時に必ず表記されている「管理費用」がそれにあたり、これも保有期間中ずっとかかる費用になりますので、当然少ない方が良いです。
他の手数料は、その時期や状況になった時にかかる手数料ですので、知っておく必要はありますが、上記の2つについては、金融機関を選ぶときや商品選択をするときには注目してください。
長期間なので、個々の金額は少なくても
”ちり積”効果で、手数料も無視できない。
よく覚えておいてください。
さらに付け加えると、「受給開始は70歳まで」というのもあります。ですが、これはあくまで「注意点」として押さえていただければ良いかと思います。
ここまでのまとめ
本当は、この後編で終わらせたかったのですが、思いのほか注意点が多く、ここでいったん区切らせていただきます。
お約束どおり、iDeCoの活用については、この後の「まとめ編」で書かせて頂こうかと思います。
毎度長文失礼致します。構成が拙いせいでこのような形になってしまい申し訳ありませんが、最後までお読みいただき有難うございました。