製造業成功の条件

製造業成功の条件にはヒット商品の発明などが簡単に思い浮かぶかもしれませんが、結局は安定した収益性と継続性になると思います。私の経験から反省するのは、特定の製品にのめりこんで後で工場を赤字にしてしまったことです。

世界的に有名な携帯電話機の部品に採用されると、同じモデルの部品が大量に要求され一定期間生産能力を超える要求が続きました。固定費は回収過剰になり大きな利益が出ました。開発部門は次機種の部品開発と試作に全力で掛かりました。しかし、あるとき失注します。理由は顧客の購買責任者が中国系に代わると同時に台湾や中国の企業に参入価格で取られてしまいました。その背景には優れた日本製製造装置の海外拡販と設備メーカによる加工条件の設定サービス、顧客による競合への情報提供がありました。この時、はじめて自分の工場に大きな穴が空いたことに気づきました。今では、総売上高の20％以上を特定顧客の特定商品に供給するのは危険と言えます。

しかし、日本の中小企業の場合、顧客は国内が多く、中国系企業は大きな売上が得られる汎用品案件にしか参入して来ないので、少量多品種や特注品の世界では製造業の運営原則をしっかり守っていれば経営的に成功します。ここでは、そういう中小企業（中小企業基本法では、資本金3億円以下または従業員300人以下の製造業を中小企業と言います）を念頭に製造業成功の条件を以下にまとめました。