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私の工場経営ノウハウ(4) 製造現場の歩き方

工場経営者は、どんな View Point Management をしながら製造現場を歩くのでしょうか。

テーマを絞って歩く:よく社長、工場長が製造現場を歩く姿を見ますが、彼らはどんなことを考えながら歩いているのでしょうか? 工場長が現場で見るべきは、業績会議で話題となったボトルネック工程、品質問題工程など生産性、品質問題の実地確認がメインテーマですが、その他に安全衛生面、5S、設備の稼働状況(ゲージ表示、異音・異臭、チョコ停の有無)、設備・ユーティリティーの保全状態、作業者の服装・保護具着用・動作(作業者間の差、作業基準との差)などなど数えきれないのです。ベテランでない場合、現場を歩いても見落としが多い状況になってしまいます。そこで私は、テーマを決めて毎日現場に行くことをお勧めします。例えば、安全衛生面をテーマに歩けば、事故の起こりやすい機械の清掃・段取り替えのようなタイミングで現場に行き、設備再稼働までの状況をチェックすると良いでしょう。通常運転時でも材料棚の転倒防止や台車のストッパー有無、工具と保護具の関係など、目的意識がないと見えないものが見えてきます。

やりづらい作業を聞く現場のリーダーや作業者にやりづらい作業を聞いてください。どのようにやりづらいのか、どうしたら良いと思うかなどです。工場長が歩く場合、製造部課長が同行していることが多く、現場の人は言い出しにくいこともあります。逆に、工場長から「やりづらい作業」指摘するのもいいです。また、日頃から部課長には、やりづらい作業は「改善のネタ」とプラス思考で話しておくと抵抗なく情報が得られます。
 やりづらい作業で、事故が発生したり、品質不良原因になっていたり、生産ボトルネックになっていることが多いのです。やりづらい作業を改善して業績向上につなげましょう。

静的視点と動的視点:よく現場巡視では、通路に作業台や材料棚が飛び出していないか、工程間仕掛が多いか、ステップに滑り防止があるかなどの「静的視点」による指導がなされますが、大切なのは、作業台や材料棚はどのように使われているか、なぜ工程間に仕掛が多いのか、作業者は何故そのステップに上り下りしないと作業ができないのか、という「動的視点」による考察なのです。この視点から作業者に質問すべきです。『WHYから始めよ!』(サイモン・シネック著、栗木さつき訳、日本経済新聞出版社)という視点に関する良い本がありますが、同様に視点を変える訳です。静的視点はWhatを見つけ、動的視点はWhyとHowを導きます。状況に応じて視点を変えてください。現場巡視は「Whyから始めなくてもいい」です(笑)。
 また、現場巡視の結果、改善計画が提案されPDCAを回すことになりますが、PDCAもPから始める必要はなく、現場巡視ではCから始まっています。このように状況に応じて視点(View Point)を意識的に変えてみることで、Managementを活性化させる思考方法を私は「View Point Management」と呼んでいます。是非、意識して試してください。

さあ、「動的視点」で「やりづらい作業」を見つけて「生産性改善の機会」を作りましょう。

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