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No.143 永久劣後債ーコールスキップする理由!

YoutubeNo.143 文字起こし

永久劣後債の「繰上償還の見送り=コールスキップ」はなぜ発生するのでしょうか。
永久劣後債に付帯していることが多い「繰上償還条項」。 元来償還の期限設定が無い永久劣後債ですが、この条項が付帯する場合、条項の内容に沿って繰上償還が行われる可能性があります。
判定は発行体に全権限がありますが、発行体はどのような理由で「償還する」か「償還しない」かを判断するのでしょうか。 今回は金利の面から考察します。
永久劣後債のコールスキップについては、お客様からも非常にいただくことが多いご質問です。 永久劣後債を保有されている方もこれから購入を検討される方も、是非ご覧ください!

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永久劣後債は償還期限が決まっていない債券です。
しかし、特定のタイミングで償還するかどうかを判定する繰上償還条項というものがあらかじめ付いているものが多くあります。繰上償還する、しないの判定は、発行体の判断で決定されます。繰上償還しない(スキップ)と判定されると、次回の繰上償還予定日まで償還が延長されることになります。

以前は最初の繰上償還予定日に繰上償還されることがほとんどでしたが、最近ではスキップする発行体も増えてきているようです。
理由は様々ですが、なぜスキップが増えているのか?について、金利の面から考えてみたいと思います。

発行体Aは20××年、政策金利0.5%であった時にクーポン3.5%で永久劣後債①を発行したとします。 20〇〇年8月に永久劣後債①を繰上償還するかどうかの判定をすることになります。その20〇〇年8月に政策金利が5%に上昇していたとします。
もし、永久劣後債①を繰上償還した場合、自己資本比率などの財務の健全性を保つため、新たに永久劣後債②を発行する必要があるとします。

その際、政策金利が上昇しているため、②はクーポン8.0%での発行となり①のクーポンの倍以上となります。
つまり、①を償還させ②をあらたに発行すると利払い負担が倍以上になってしまうことになります。
そのため発行体Aは、①の繰上償還をスキップしたほうが新たに②の債券を発行するよりも有利であると判断し①の繰上償還をスキップすることを決めることになります。

つまり、現在のアメリカのように政策金利の高止まりが、繰上償還をスキップする判定につながっていると考えらます。
逆に、政策金利が低く、既に発行している永久劣後債のクーポンが高い場合は、繰上償還を実行し、新たに低いクーポンの永久劣後債を発行するケースが増えるとも考えられます。
住宅ローンの借り換えをイメージするとわかりやすいかもしれません。金利が低ければ借り換えするメリットが有りますが、金利が高ければ借り換えないのと同じです。

現在、アメリカでは政策金利引き下げが予想されていますが、もし、数回にわたり政策金利が引下げられた場合、金利水準によっては、現在繰上償還をスキップしている永久劣後債も償還される可能性が高まるかもしれません。


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