No.147 利下げしたのに米国債の単価が上がらない?!
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米国政策金利は市場予想を上回る0.5%の利下げとなりましたが、金利の低下と連動するはずの米国債単価が上昇していない?!利下げ後、米国債単価の上昇を期待していたお客様から「今回の利下げが上昇につながらなかったのはなぜですか?」というご質問をいただきます。
政策金利の低下に米国債単価が大きく反応した前回の利下げと、いったい何が違うのでしょうか。 その背景を考察するとともに、今後のシナリオについて探ります!
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本日は、9月に行われたアメリカの政策金利の引き下げが、なぜ米国債の単価上昇につながらなかったのか?とのご質問にお答えしたいと思います。
現地時間9月18日、FRBは政策金利の目標上限を5.5%から0.5%引き下げ、5.0%としました。当初、0.25%引き下げとの予想もありましたが、0.5%となったことで、債券や為替の反応が注目されましたが、実際あまり大きな反応は見られませんでした。
当社も0.5%の引き下げとなったことで長期、超長期の米ドル建て債券単価の上昇を予想しましたが、予想に反する結果となりました。
それではこのたびの要因と、今後予想される金利の動きについて考えてみたいと思います。FRBは今回の利下げに関し、インフレの鎮静化に自信を深め、雇用統計の悪化を防ぐためのものだとの考えを示しました。
景気を悪化させずにインフレを鎮静化すること、つまりソフトランディング成功との見方を裏付けるように、景気悪化を明確に示す指標はない中、消費者物価指数はFRBが目標とする平均2%へ着実に近づいています。
つまり、今回は景気悪化を予防する目的での利下げと考えられ、景気悪化が鮮明になる中で、経済を活性化させ景気を浮揚させることを目的とした過去の利下げ局面とは情勢が違うと考えることができます。
これが今回、政策金利の影響を直接受ける短期金利のみ低下し、長期や超長期金利の低下にはつながらなかったと要因と考えられます。
では、今後、どのように推移すると予想されるのかを考えてみたいと思います。
三つのシナリオが存在すると考えています。
①インフレが再燃するシナリオ
②FRBの現状の予想通り、ソフトランディングに成功するシナリオ
③高金利の影響がこれから経済指標に表れ、景気悪化が鮮明になるシナリオ
①インフレが再燃する
最も可能性が低いシナリオだと考えられますが、その場合、再び政策金利を上げていくことになります。インフレの幅によって、長期、超長期の金利への影響には差が出ると考えられますが、景気後退につながるようであれば、場合によっては、短期金利上昇、長期金利低下ということも可能性としては考えられます。
②ソフトランディングに成功する
FRBが予想するロンガーラン金利に政策金利が近づいていくと考えられます。
9月にFRBが発表したロンガーラン金利は2.9%ですので、現在目標上限5%の政策金利は引き下げが続くと予想され、長期、超長期の金利も徐々に低下していくものと考えられます。
③景気悪化が鮮明になる
政策金利の下げ幅が大きくなり、そのスピードも速くなると考えられます。景気悪化の度合いによってはロンガーラン金利そのものが低下し、2.9%を下回る水準までの利下げも考えられることになります。この場合、長期、超長期の金利低下も鮮明になることが予想されます。
見方を変えると、今回の利下げに長期、超長期の金利があまり反応しなかったことは、米ドル建て債券の高い利回りが維持されているということにもなります。
今後、三つ目の景気悪化が鮮明になるシナリオとなった場合、債券単価の上昇幅はより大きくなることも考えられます。
現状、ひとつ目のシナリオであるインフレが再燃する可能性は低いと考えれば、今尚、米国債を購入するタイミングの好機は続いているとも言るのかもしれません。
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