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『ののはな通信』愛のカタチ
愛は、結ばれたその二人でしか咲かせることのできない花である。色も違えば、香も違う。二人で大事に大事に育てる必要がある。共同作業の相手は、性別も年齢も関係なし。その二人の間に“愛”があれば誰でも参加可能だ。
『ののはな通信』
なんて響きがチャーミングなのだろう。早速読もうと、ページを開くと「はなへ」の文字から始まる。すぐさまタイトルと結びつく。愛らしいタイトルに、可愛らしい表紙。さて、これからどんな物語が広がるのだろうと、胸いっぱいにページをめくる。
そこには、愛に喜びと楽しさを感じながらも、常に苦しく満たされない気持ちと戦いながら、互いを強く求め合う少女らが描かれていた。
好きになってからが辛い。これはきっと、恋愛には付き物なのだ。頭の中は好きな人一色で、とにかく触れたくて会いたくて、甘い言葉で癒してほしくて…でも同時に不安にもなる。相手の気持ちが離れていくことが凄く怖い。だから、互いに愛を確かめ合うんだ。
ののとはなは二人だけの、特別な、魂を超えた関係を築く。生涯こんな経験をすることができる人間は、いったい世界にどれほどいるのだろうか。ののとはなが味わったこの、狂うほどに相手を愛し、愛され、自分のこと以上に相手を思う気持ち、まるで日常が日常じゃないみたいな…そんな自分の見ている世界を変えてしまう人と出会い、恋に落ちる。こんなにも愛おしくて、切なくて、とびっきりの幸せを、一生のうちに経験することができたなら、どれほど素晴らしいことだろう。いつまでもいつまでも、色あせることなく、二人だけの秘密として心に保存する。
ののとはなは、根本からしっかり育て上げ、力強い情熱的で真っ赤なバラを咲かせたのではないかと思う。美しく、繊細なバラ。時折、自らを守るために棘で攻撃をすることもあるが、それは愛故に。時間が流れ、ドライフラワーとなったバラは、かつてのみずみずしさは失うも、時を重ねてこその美しさを放つ。
愛することの美しさ、そしてそのカタチは無限大。それを教えてくれるのが『ののはな通信』です。素敵な本をありがとうございました。