老後資金を考える。~その1:目的・目標・手段について~
老後資金を考える。シリーズ
その1:目的・目標・手段について
その2:目的を考えよう
その3:目標を設定しよう
今回は、前回「他人の数字は気にしない。」でお話ししました、あなたのための老後資金について、お話しします。
老後資金を準備することは手段と意識する
老後について、多くの方の理想や目的は、老後自分が思い描いている生活や困窮せず不自由のない快適な生活をおくることだと思います。
老後資金を準備すること、そしてその準備のために貯めることや資産形成することを目的と錯覚しがちですが、老後資金を準備することは老後の理想や目的を達成するための手段であって、目的ではありません。
ようは、老後資金を準備すること以外の手段で目的が達成できるのであれば、そもそも老後資金を準備するという手段は不要となります。
この点はじめにしっかり意識しておかないと、漠然とした老後への不安に駆られ、本来の目的や目標が定まっていないのに、やみくもに、とりあえずで老後資金の準備を始めてしまいます。そうなると老後資金を準備することが目的に置き換わってしまう恐れがあります。
目的が「老後資金を準備すること」になるということは、準備するという行動自体が目標になるので、いくら老後資金が必要か、という具体的な金額=目標値が設定できません。
そのため、前回お話しした2000万円問題などを意識して、あなたのための目標値ではない2000万円を目標値においてしまいます。このあなたのための目標値がないことがとても危険です。
目標値がないということは当然計画も立てられない、そのため、本来の目的(自分の思う理想の生活)に対し資金が足りなかったり、逆に過剰に準備していまい、結果今の自分の生活を犠牲にしてしまう恐れがあります。
また、もっと恐ろしいのは、自分自身で老後「使えるお金」が分からないということ。目標値がなく計画が立てられていないのは、準備の計画だけでなく、使う計画も立てられないということ、そのため自分が今いくらお金が使えるかが分かりません。
そうなると、お金を使うことに恐怖や不安を覚え、老後のために準備したお金なのに、老後に使えない・使わないという本末転倒な事態が起こります。これだけは絶対に避けなければいけません。
手段からではなく、目的から考える
では、老後資金についてどう考えていけばよいでしょうか。それには、老後資金を準備することという手段をいったん忘れて、私は老後どう過ごしたいんだろうか?何をやりたいんだろうか?どれくらいの暮らし(生活レベル)をしたいんだろうか?など老後の目的から考えていきましょう。
老後について、以下の順序で考えてみましょう。
目的:老後に実現したいことや、やりたいこと、願望などを考える
目標:目的を達成するためにやらなくてはいけないことを考える
手段:目標を達成するために行うことを考える
上記に例え話を当てはめてみると
■パターン1
1.目的
リタイア(65歳)後、毎年1回は海外旅行に行って、毎月1回は豪華ディナーを食べに行ける生活がしたい、男性平均寿命以上に生きられたら、その後は施設に入って穏やかに暮らしたい
2.目標
目的の生活を送るのに、毎月生活費が30万円必要と試算、また施設入居費用及び終活費用として1000万円必要と試算
3.手段
65歳まで働き、年金はおおよそ15万円貰えると試算、そのため毎月15万円不足するから65歳から82歳までの不足分3060万円と82歳時点で1000万円の合計4060万円の老後資金が必要。
老後資金は、65歳定年時にもらえる予定の退職一時金1000万円と65歳までに3060万円を資産形成することで準備、また82歳時に1000万円残るよう資産を切り崩していく。
■パターン2
1.目的
リタイア(65歳)後、暖かい場所で、のんびりと健康に過ごせればそれでいい、男性平均寿命以上に生きられたら、その後は施設に入って健康面で不安のない生活を送りたい
2.目標
目的の生活を送るのに、タイに移住(移住にかかる費用を100万円と試算)し、毎月生活費が15万円必要と試算、また施設入居費用として1000万円必要と試算
3.手段
65.歳まで働き、年金はおおよそ20万円貰えると試算、移住費用は現貯金で支払可能、また移住後は年金のみで毎月の生活費を捻出でき、かつ82歳時点の目標額を達成できるため、老後資金は不要、資産形成等は行わない。
このように、まずはどんな生活が送りたいか(=目的)を考え、その生活を実現するのに、何が必要かいくら必要か(=目標)を考え、最後に目標を達成するための方法・手段を考えていくという流れです。
考える順序1:目的
老後どんな生活がしたいかを考えます。最初っから無理だろうからこれくらいなどと妥協せず、あなたの理想100点満点の老後を目的としてください。
その後目標や手段を考え試算した時に、どうやったって目標をクリアできない!!と分かったら、理想や夢を削った妥協案の目的にしていきましょう。最初はドリームプランで考える、これ絶対忘れないでくださいね。
考える順序2:目標
目的を達成するため、なにをやらないといけないかを考えます。主に金額のことになりますが、上述パターン2の、目的:暖かい所→目標:タイ移住のように、目的を達成するために何が必要か、何をしないといけないか、いくら必要か等を具体的に考えていきます。
考える順序3:手段
目標を達成するために何をやるか、どうやるかを考えます。まずは、具体性を保ちつつもあらゆる手段を柔軟に考えてください。
例えは、毎月生活費として30万円が必要という目標があるとします。その目標をクリアする手段はいくらでもあります。
・老後資金は準備せず、どこかで働いて給与収入で30万稼ぐ
・年金で30万貰えるので老後資金は準備しない、年金生活を送る
・毎月株の配当金で30万貰えるよう、株を購入しておく
・今からトレードの勉強をして、毎月30万稼げる準備をする
・ハンドメイド作品をメルカリで売って、毎月30万円稼ぐ
・NISAやiDeCoを活用し資産形成し、その資金から生活費を切り崩す
・毎月の給与をコツコツためて、老後資金を準備し、切り崩す
・自分磨きしお金持ちと結婚して、配偶者に30万円だしてもらう
・暗号資産で一発あてて、その儲けから毎月30万円を切り崩す
・強盗する、悪いことで稼ぐ(笑)
きりがないのでこの辺で…
上記のとおり、手段はいくらだってあります。なので、まずは固定観念を捨てて、柔軟に手段を洗い出し、その中から最も目標を達成できると感じたものや自分の性格・好みにあった手段を選択するとよいでしょう。
繰り返しになりますが、そもそも老後資金を準備しなくていいかもしれません。また老後資金を準備するという手段を選択した場合にも、その手段として、働くだけじゃない・貯金するだけじゃないということがいえます。
それでは、今回はこの辺にしておきましょうかね、次回は目的を考えよう~ということで、目的についてや考えないといけないことについてお話ししていこうかなと思います。
最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます。もし何かご質問等ありましたら、お気軽にコメントくださいね!!
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