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「マイナ保健証義務化!」知っておきたい制度の概要、メリット・デメリットをわかりやすく解説
厚生労働省は5月12日、健康保険証が一体化した「マイナンバーカード健康保険証」で、別の人の情報がひも付けられる「誤登録」が7,300件あまり見つかりました。
また、「オンライン資格確認」と呼ばれるシステムでも、資格無効や該当なしなどトラブル続きのマイナ保険証です。
しかしながら、マイナンバーカードの活用拡大に向けた改正マイナンバー法などの関連法は2日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立しました。
つまり、現在の健康保険証を2024年秋に原則廃止する方針となります。
便利になるメリットがあればデメリット(今回のトラブル)もあるため、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事は、まずはマイナンバーカード健康保険証の概要や普及率、登録や使い方、そしてメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。最後までお付き合いください。
1.マイナンバーカード健康保険証とは
「マイナンバーカード健康保険証(以下、マイナ保健証)」とは、従来の健康保険証の機能をマイナンバーカードに組み込んだものです。
マイナ保険証を一体化することで、病院や薬局で健康保険証として利用でき薬剤情報の閲覧や税務手続きが一括で行えるようになります。
つまり政府は、国民の利便性の向上や、医療システムのデジタル化を後押しするためにも、マイナ保険証の普及を進めています。
1-1.マイナ保険証の普及状況
マイナ保険証を利用するには、マイナンバーカードが必要となります。
現在、どれだけ普及しているのか見ていきましょう。
マイナンバーカードの申請受付数は、5月28日時点で累計9,699万5,812件となり総人口に対する割合でみると77%です。
一方、マイナ保険証の登録件数は、5月28日時点で累計6,272万6,824件となっており全体の64.6%です。総人口に対する割合でみると49.8%で2人1人は登録済みとなっています。
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※令和4年1月1日時点の住基人口(125,927,902人)
1-2.マイナ保険証が義務化へ
2021年10月から本格的な運用がスタートしたマイナ保険証ですが、現在使われている健康保険証を2024年の秋に原則廃止し、マイナ保険証に一本化となります。
なお、現在使われている健康保険証は、経過措置として廃止後一年間(2025年秋)は使用が可能となります。
トラブル続きで不安の方が多いとは思いますが、マイナンバーカードの取得と健康保険証の登録が済まれてない方は早めに取得・登録をしましょう。
1-3.マイナ保険証として利用するには
マイナンバーカードを保険証として利用するには、「利用登録」が必要です。
利用登録は以下の4つです。
マイナポータル(PC・スマホアプリ)
セブン銀行のATM
市区町村の窓口
医療機関・薬局に備え付けの顔認証付きカードリーダー
簡単に申し込みが可能です。
※マイナポータル:今すぐ申し込み/申込済みの方はこちら
【登録情報の確認】
確認方法としては、まずはマイナポータル(アプリ)を開き「ログイン」します。
すると「最新の健康保険証の確認」の項目がありますので、ここで登録できているか確認をします。
万が一、誤登録があった場合は、「マイナンバー総合フリーダイヤル」もしくは「加入している医療保険の保険者」に問い合わせをしてください。
トラブルを事前に防ぐためにも、自身の情報が紐づけできているのか一度確認することをおすすめします。
〈スマホ版〉
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■医療機関や薬局での使い方「オンライン資格確認」
マイナ保険証に対応している病院や薬局で、マイナンバーカードをカードリーダーにかざすと、内蔵されたICチップの電子証明書によって本人確認が行われます。
その後、顔認証または数字4桁の暗証番号(パスワード)を入力し、各種同意事項の確認・選択後に本人確認ができたら完了です。
【オンライン資格確認(端末)のトラブル】
オンライン資格確認(端末)で読み取った際に、資格無効や該当なしが最も多く6割を超えていました。
また、うまく作動しなかったり、高齢者の方が使い方を理解できていませんでした。
今回のトラブルで、従来の健康保険証を提示してもらったり、窓口でいったん10割を負担した例もあったということです。
このようなことが二度と起きないように徹底した再発防止策が求められます。
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1-4.利用できる医療機関や薬局の確認方法
マイナ保険証は、目印となるステッカーやポスターが貼られている病院や薬局で利用できます。
また、厚生労働省のホームページでは、利用できる病院・薬局のリストを公開しているので、事前に確認するとよいでしょう。
厚生労働省:「マイナンバーカードの健康保険証利用対応の医療機関・薬局についてのお知らせ」
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2.マイナ保険証のメリット・デメリット
マイナ保険証には、メリットとデメリットがあります。
まずは、5つのメリットについてみてみましょう。
2-1.メリット
1.医療機関での受付が自動化
病院や薬局へ行って窓口での受付は、顔認証付きカードリーダーで行われます。
受付手続きが簡略化され、医療機関でスムーズに診療が受けられるようになります。
2.過去の特定健診や薬剤処方の情報が確認できる
医療機関で情報共有の同意をすれば、個人のデータに基づいて、診療や薬の処方をしてもらえます。
マイナ保険証に、過去の「特定健診情報」や「薬剤情報」がデータとして蓄積され、医療機関や薬局側がこの情報を閲覧できます。
3.高額療養費の手続きが簡単
高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が限度額を超えた場合に、超えた分の払い戻しを受けられる制度です。
マイナ保険証を提示すれば、医療機関の窓口で「限度額適用認定証」を提示しなくても、限度額を超える支払いが免除されます。
4.確定申告の医療費控除が簡単に
マイナポータルからe-Taxに連携し、医療費控除の申告を自動化できます。
1年間に支払った医療費の領収書が必要でしたが、この手間がなくなります。
5.就職・転職・引越をしても切り替えがスムーズ
従来の健康保険証は、就職・転職などにより加入先が変わると更新手続きが必要でした。
マイナ保険証の場合、新たな保険証の発行が不要なため、健康保険の加入手続き完了後すぐに保険証として利用できます。
2-2.デメリット
さまざまなメリットがあることがわかりました。
ここからは、デメリットとして考えられる3つをみていきます。
1.個人情報漏えいの問題点
マイナ保険証を紛失した際に、住所・氏名・マイナンバーなどの個人情報漏洩のリスクがあります。
2.災害時のシステムダウンやエラーの危険
マイナ保険証はコンピューター管理のため、システム不具合の影響が大きくなります。
一時的な利用の集中や災害によるシステムダウンした場合には、受付ができないだけでなく、過去の医療データを閲覧できない可能性があります。
3.再発行に時間がかかる
マイナ保険証を紛失した場合、再発行してもらわなければなりません。
再発行のためには、マイナンバーカードを再度交付するため、受け取りまで1~2か月の時間がかかってしまうことです。なお、今後長くても10日間程度で取得できるとしています。
3.まとめ
2024年秋から現在使われている健康保険証が原則廃止され、事実上の義務化となります。
マイナ保険証は、医療機関での受付や確定申告の手続きが便利になるなど、いろいろなメリットがあります。
一方で、今回の誤登録・システムトラブルなどのリスクの不安要素が根強くあり、徹底したチェック体制と再発防止策が求められます。
どらもよく理解した上で使えば、従来の保険証より便利かつお得に使えるため上手に活用しましょう。
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