だから報道・情報番組は観てはいけない(3)
目に余る報道がストレスになっています。番組制作者の怠慢なのか、意図したことなのか。あるいは、深く考えずに制作しているだけなのでしょうか。
「例えが分からない」というストレス
昨今話題の「5万円相当のクーポンを配布するのに967億円の経費がかかる」問題。現金給付に比べて費用がかかることは分かりました。ところがその際に「967億円分の一万円札を積み上げると、東京スカイツリーの約1.5倍の高さになります」という例えに「はっ?」となります。
行楽地等からの中継では「この敷地の広さは東京ドーム〇個分です」との紹介がありますが、これまたピンときません。
長年、そういった紹介されていることには不満を通り越し、呆れるばかりです。情報番組の情報が”分かりにくい”のは致命的です。「967億円」「敷地は〇〇㎡」と事実だけを伝えてもらったほうがありがたいです。
「造語の多用」にイライラ
マスク生活が長引くなか、「ノーマスクが怖い」と素顔を見られることに抵抗を感じる人が多くなり、マスクを“顔パンツ”と例えるひとがいるそうです。とある報道では、「若者を中心に」とか「ネットでは」と紹介していますが、まず、どれほどの調査をしているのか明確ではないのが気になります。
マスクを外せないということは、そうした相手とは食事にも行きにくいのでしょう。マスク愛好家が増えるほど、飲食業には打撃となることでしょう。
コミュニケーションの不具合も気になります。会話では、コミュニケーションの70%が言語と言われますが、次いで表情も重要な要素です。直接の会話を苦手とするひとが多い中で、マスクをしたままの会話はさらに「ミスコミュニケーションの多発」を誘発するのではないか?と不安になります。
さて。打撃を受けていた飲食業に明るい話題。
それは、ノンアルコール飲料(アルコールテイスト飲料)が好調だということ。アルコールが苦手な人でも注文できる品数が増え、売上が好調だそうです。
飲料メーカの努力の成果ですね。コロナ禍の酒類提供禁止要請や健康志向の高まりを背景に、微アルコールも含めた低アルコールカテゴリーが、酒類市場をけん引しているそうなので、日本企業、日本社会の適応力ってスゴなぁと感じます。
一方で、「お酒を飲めない・飲まない・飲みたくない」人を「ゲコノミスト」、飲む人を「ノミスト」と名付け、ゲイコノミストによる巨大マーケットに注力する経済活動を”ゲコノミクス”と言うようです。キャッチーではありますが、マスコミが多用することによって流行を煽っているのは間違いありません。
”顔パンツ”にしても、”ゲコノミクス”にしても、流行が一時のものになり、すぐに廃れるようなことがないことを望みます。
「前提がおかしい」モヤモヤ
18歳以下の子供に対する10万円(相当)の給付が現実のものとなりました。当初は、年齢で区別することや、親の所得制限アレコレで揉めましたが、いつの間にか「給付ありき」で議論が進んでいます。
議論が進むたびに問題が発覚し、焦点・論点が変化していきます。次第に以前の問題は議論されなくなり、いつしか話題すらならない・・・もし、戦略的にそうしているのなら大した政府です。あるいは、マスコミによる世論の誘導が優れたもんだと言えるのかも知れません。
私たちは、自分たちに必要のないことは、積極的に忘れてしまいます。それは新しい情報を入れるためです。だとすると、前提を上手に「必要のないこと」にして変えてしまえば、思い通りの世の中を変化させることができるわけです。実に恐ろしい。
「貯蓄は景気対策にならないので、クーポンでの給付が必要」だとか。この報道が出た時点で、前提がおかしくなっています。
今回の10万円(相当)の給付が景気対策であるというナゾ
貯蓄は景気対策にならないという決めつけ
考え方はいろいろでしょう。景気や経済は「生き物」と例えられるくらい、先が読めないものです。だとすると前提をしっかり打ち出し、共有しておくことが大切です。
前提がない議論は、どんな結果も、正しく評価できません。
(「話の入口が間違っている」→こちら)