CFP®になろう!試験の分析(2021年1回1日目)
金融資産運用設計
6課目で最も難易度の高い(合格点が低い)課目です。コロナ禍で2020年から2021年の景気・経済指標に関する出題があるのかどうか、注目するところでした。
ポイント❶時事問題は知っていて当然の出題
出題景気・経済指標について、数値に関する出題は過去のものでした。一方、指標の内容についての理解を問うものが多くありました。
金融政策(日銀の方針)について、
・2019年からのスタンス
・2021年の方針
など苦肉の策で何とか出題できた印象です。政府が発表する資料(白書や統計)は、これまでよりも出題が大幅に減り2問のみでした。穴埋めの出題なので、勘でも回答できる内容です。
ポイント❷商品知識はオーソドックスな出題
過去の出題に即した、オーソドックスな出題でした。過去問を何度も解答演習していれば、何も恐れることのない出題です。
・貯蓄性商品 貯蓄型商品の商品性、財形貯蓄/iDeCo/NISAなど節税運用
・株式投資 TOBとは、株式取引ルール
・投資信託/債券投資 基本知識、課税ルール
・デリバティブ オプション取引の考え方、2項定理
・ポートフォリオ CAPM、相関係数、行動ファイナンス
ポイント❸計算問題が多かった
出題の約半分が計算問題です。早めに計算問題を克服する必要があります。時事問題が減った分、計算問題が増えました。苦労された方が多かったのではないかと感じます。外貨建て商品については、過去最多の5問(しかも時間がかかる)出題で、悪意を感じざるを得ません。
・預貯金 複利税引き後の元利合計、利回り
・債券 債券価格、利回り、デュレーション、スポットレート、個人向け国債の収益
・株式 法人決算/投資尺度、申告/還付税額
・投資信託 個別元本、税引後の受取配当金、トータルリターン
・外貨建て商品 債券、投資信託、預金、生命保険、外貨投資の課税
・デリバティブ商品 オプション価格、先物取引(株価指数連動型)、先物ヘッジ
・ポートフォリオ 標準偏差、期待収益率/時間加重収益率、シャープレシオとトレーナレシオ
総括
2019年以降の過去問題集を購入し、「出題傾向の把握」と「計算方法の理解」だけで十分です。無事合格された後、試験で勉強した内容を改めて理解し実務に活用すると、金融は本当に楽しい分野です。個人投資家の皆さんの中には、「金融・経済のしくみ」や「指標の見方」を知らない方が多く見受けられます。
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不動産運用設計
不動産価格や法改正などの時事問題の出題に注目しましたが、ほとんど無く、過去問をどれだけ演習しているかで、合否が分かれるないでした。それと、文章や条件設定が長いですが、あまり問題を読まなくても良いのも解答のポイントです。
ポイント❶文章題(知識)は毎回出題される内容
ほぼ毎回出題されている内容でした。とくにデューデリジェンス、老後の住宅、借地借家関連は毎回出題される内容なので、確実に得点しておきたいところ。
今回は譲渡所得をはじめとする税金に関する出題が多く、適用要件を正確に理解しておく必要がありました。
・デューデリジェンス 耐震性、地盤調査
・老後の住宅 サービス付き高齢者向け住宅、終身建物賃貸借
・老後の収入 不動産所得、信託受益権
・不動産投資 投資用語、不動産価格
・宅建業法 不動産広告、媒介契約
・不動産登記 登記ルール、借地権の存続期間・譲渡、筆界特定など登記記録の読み取り
・借地借家法/賃貸借契約 契約期間、連帯保証、契約ルール、賃借人の権利義務
・取得時、保有時の税金
登録免許税・印紙税、不動産取得税、固定資産税、所得税(住宅ローン控除)
・譲渡時の税金 居住用財産の譲渡益に対する特例、空き家に係る譲渡所得の特例、複数の特例特例の適用可否
ポイント❷時事問題は別にできなくても
これまで以上に時事問題、法律改正などの出題が少なく、あまり意識する必要も無かった内容ですね。
■時事問題
令和2年版土地白書(土地利用、不動産市場の動向)
令和3年地価公示結果の概要(令和2年の地価)
ポイント❸計算問題は素早く正確に
以下6つの計算問題は、ほぼ定型と言っても良い内容です。不動産収支・所得については時間がかかるので後回しでも構いませんが、他の計算問題は、短時間で確実に正答できる練習していたら楽勝です。
・ 不動産収支と所得 ※うっかりに注意
・有効活用(収益還元、複利現価)※必ず得点
・鑑定評価(土地価格の評価)※設例が長いけど、定番ですぐに解ける
・ 建ぺい率、容積率(角地、防火地域)
※異なる用途地位にまたがる場合…基本に忠実に
※建築協定や高さ制限、都市計画法に関する知識も問われる(文章題)
今回は久しぶりに宅地造成規制法についての出題がありました。
・固定資産の交換 借地権と底地の交換による取得可能面積、借地権評価
・有効活用(等価交換、効用積数)
※出資割合がポイント
※立体買換え特例に関する知識も出題あり
総括
2019年以降の過去問題集を購入し、「文章題の理解」と「素早く計算るす方法の編み出し」が大切です。実務であまり活用することはありませんが、個人的には役立つことが多い課目です。不動産価格は、日本の景気のバロメータでもあるので、知っていて損はないです。
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ライフプランニング・リタイアメントプランニング
計算問題よりも知識を問うことに重点が置かれた出題です。2級AFPで学習したことに加え、
・時事問題(高齢者住居、育児、労働基準、生活困窮者、労働環境)
・他の課目との関連問題(税金や金融商品)
も必須事項です。社会保険をはじめとした法改正にも注意が必要です。
ポイント❶知識問題は定番のものだけで
出題の多くは過去にも類似した出題がありました。資料の読み取りや、図式の理解は、過去問で何度も練習していれば簡単な内容です。出題が多岐にわたるので、定番問題からクリアしましょう。
・コンプライアンス CFP🄬認定者の行動規範、著作権、個人情報保護法
・雇用保険 特定理由離職者、特定一般教育訓練給付金、高年齢被保険者
・介護保険 利用者負担割合、高齢者住宅
・健康保険 被扶養者、任意継続被保険者、給付の種類
・国民年金 保険料免除、被保険者、遺族給付
・厚生年金 繰下げ受給
・企業年金 iDeCo、小規模企業共済
ポイント❷時事問題は得意なものだけで
あまりにニッチな出題、一方で定番の問題が半々。ですから、得意な分野を追求することが得点につながるでしょう。すべてを理解、記憶しようとすることは効率の良い学習方法とは言えませんね。
・日常生活自立支援事業、年金生活者支援給付金
・労働基準法(年次有給休暇)
・育児・介護休業法(看護休暇、介護休暇、男性の育児休業、介護休業)
・中小企業倒産防止共済制度
・死後事務委任契約、成年後見制度
・不動産担保型資金貸付制度
ポイント❸定番の計算問題は落ち着いて&ゆっくり
計算問題はほぼ定番の出題でした。しかし、ほとんどの出題は回答に時間がかかるので、文章題や時事問題を早々に終えて、計算問題に時間をかけるのが得策だと思います。
・キャッシュフロー表 自分なりの時系列の図を描くことで、いつのタイミングで、どの係数を使用するか都度確認しておく必要があります。
・6つの係数 【過去の解答解説あり】
・住宅資金計画 購入可能な物件価格、繰上げ返済の効果
・雇用保険 基本手当日額、高年齢基本継続給付金
・健康保険 保険料、標準報酬月額、傷病手当金、自己負担限度(高額療養費)
・公的年金 老齢年金、障害年金、遺族年金の受給額
・その他 国民年金基金の年金額、退職金の課税、中小企業の資金繰り表、公正証書作成手数料
総括
過去問題集を購入し演習するのはもちろんのこと、あらゆる出題(特に計算問題)に対して、自分なりの解答方法を編み出すことが先決です。時間のかかる出題、まったく見当のつかない文章題など、受験者を混乱させる要素が多いの、自分の解答ペースを考えておきましょう。
また今回は、
・在職老齢年金、雇用保険と年金の併給
・カードローンの返済額(アドオン方式、自動車の残価設定ローンなど)
に関する出題が無かったので、次回以降受験される場合には、過去問にて確認しておきましょう。