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マンション全面改修 税優遇を求める

 建物と居住者双方の高齢化が進む「二重の老い」による問題が顕在化しつつある中、古いマンションの再生を促す動きが見られる。

 現在、マンションを全面改修するにあたり、考えられるボトルネックは以下の通り。

1. 費用負担の問題:
マンションの全面改修には多額の費用がかかるため、住民全員がその負担に納得することが難しい場合がある。特に高齢者や経済的に厳しい家庭にとっては、大きな負担となる。
2. 合意形成の難しさ:
大規模修繕や全面改修を行うためには、住民の合意が必要である。しかし、全住民が同意することは難しく、合意形成に時間がかかる場合がある。
3. 修繕積立金の不足:
修繕積立金が十分に蓄えられていない場合、全面改修に必要な資金が不足し、計画が実行できないことがある。積立金の計画的な管理が重要だが、それが十分でないマンションも存在している。
4. 老朽化の進行:
老朽化が進行しすぎた場合、修繕が困難となり、全面改修を行うことが難しくなることがある。特に建物自体の構造的な問題が深刻化すると、全面改修では対応できない場合もある。
5. 制度的な支援の不足:
全面改修に対する税制優遇措置や公的な支援が限定的であるため、住民や管理組合が改修に踏み切るインセンティブが不足している。

 古くなったマンションについては、建て替え時に増えた部屋の売却益や所有権を移転する際の登記にかかる法人税、法人住民税、事業税、事業所税などを減免する措置があるが、これを全面改修や解体などにも適用できるようにする。
また、区分所有法も見直され、リノベーションや建物を取り壊しての敷地売却が一定の条件を満たせば、所有者の4分の3以上の賛成で決められるようになる見通しである。
さらに、管理が行き届いていないマンションの解体を支援するための予算も求めている。管理組合が取り壊しを決めた場合、必要経費の一定額を国と自治体が補助することが期待されている。
 
 現行の耐震基準は、主に1981年の建築基準法の改正によるもので、「新耐震」と呼ばれるものである。しかし、それより以前に建てられたマンションも存在する。自然災害が人災とならないよう、老朽化したマンションの再生には、国からのさらなる後押しを期待したい。

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