相続登記申請義務化
2024年4月1日から、不動産を相続した際には、「相続登記」が義務化された。
相続登記とは、不動産を相続した際に、その名義を被相続人から相続した新しい所有者に変更するための手続きである。
以前は、相続登記は義務ではなく任意であった。そのため、現状では不動産の名義を変更せずに放置するケースが散見されている。では、そのような不動産が増えるとどうなるのか。自治体が所有者を特定できない空き家が発生し、その結果として防災性や防犯性の低下、景観の悪化といった問題が生じている。さらに、自治体などが行う開発事業にも支障をきたし、土地の有効活用を妨げ、経済発展に悪影響を及ぼすこともある。
このような背景から、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が2023年12月より施行され、所有者の責務が強化されている
【参考: https://www8.cao.go.jp/kourei/taikou-kentoukai/k_4/pdf/s4.pdf】。
所有者の責務を果たしてもらうためには、まず所有者の把握が重要であり、特に空き家の取得経緯として相続が約55%を占めることがわかっている【令和元年空き家所有者実態調査(国土交通省)より】。
今回の相続登記申請義務化は、所有者不明の空き家を減らすことを目的としていると考えられる。具体的には、遺産分割協議等により不動産を相続した場合、3年以内に相続登記を行う必要がある。具体的な手続きは、以下のイメージを参照するとわかりやすい。
では、違反した場合どうなるのか。過料として10万円以下が科されることがある。また、注意すべき点は、2024年4月1日以降に相続した不動産だけでなく、過去に相続した不動産も対象となることである。法の施行日が2024年4月1日であるため、この日が「知った日」に該当し、2024年3月31日以前に相続が発生していた場合でも、2027年3月31日までに相続登記を行わなければならない。これは多くの人が気づかない落とし穴となっている可能性がある。
相続登記が行われていないことによるデメリットもいくつか存在する。
① 権利関係が複雑になり、相続登記が困難になる
② 不動産の売却が困難になる
③ 不動産を担保にすることが困難になる
相続登記は手続きが煩雑で、ためらう人も多いだろう。しかし、現在は義務化されているため、速やかに司法書士などに相談することを強く勧めたい。相続登記は、不動産の権利を守るだけでなく、社会全体にも大きな利益をもたらすものである。該当する場合は、迅速に手続きを進めることが重要である。
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