本当におトクじゃなくなった?【ふるさと納税】
あっという間に年末ですね。
給与所得者(サラリーマン)は年末調整を済ませ、事業所得や医療費控除がある方、今年から住宅ローン控除を受ける方などは、確定申告の準備を始める時期です。
このように「1年間で最も税金を意識する時期」と言える年末年始ですが、改めて注目してほしいのが【ふるさと納税】です。
どんな制度?
2008年からスタートした【ふるさと納税】。
現住や出身の自治体にかかわらず、国内あらゆる自治体に寄付することができ、寄付額の2,000円以上を超える分に関しては所得税の還付、住民税の控除が受けられる制度です。
つまり2万円寄付した場合、18,000円の税金が戻ります。
・所得税の還付金と住民税の来年の減税額の合計額が18,000円となります。
・復興税率は考慮していません
・控除を受けるためには確定申告、もしくは申告不要にする「ワンストップ特例制度の申請」が必要です
魅力的な「返礼品」
そしてふるさと納税の最大の魅力と言えるのが自治体からの「返礼品」。多くの自治体が話題性のある【特産品】や【サービス】を積極的に提供するようになり、制度利用者拡大の原動力となりました。
ふるさと納税専門のウェブサイトも多数存在し、寄付先を通販感覚で選ぶことができます。
2019年の制度改正で魅力半減…?
しかし過度に高額な返礼品や、地域の地場産業や特産品とは全く結び付かない商品を出す自治体が現れるようになり、問題視され始めたのです。
金券や家電、果ては国外産のカブトムシまで出現し、いったい何のための制度なのか疑問の声が上がってきました。
事態を重く見た総務省は返礼品を「地元の産業に関わるもの」「寄付額の3割相当を超えないこと」とするよう求める通達を出しましたが、多くの自治体が従わなかったため、2019年にはついに上記のルールを義務付ける改正が発表されました。
この「返礼品は3割以内に」というニュースで、あまりオトクじゃなくなったのかな、という声も多そうですが、実際はどうなのでしょうか。
ふるさと納税は得なのか
前述の通り、2,000円を超える額は寄付金控除となり、減税となります。
「控除」というと医療費控除や保険料控除しかり、「払った額のうちいくら戻ってくるか」が簡単には計算しづらいのですが、ふるさと納税の場合は様々なウェブサイトでシミュレーションできるので、寄付の上限額や節税額がとても把握しやすいです。
例えば年収500万円の人が3万円のふるさと納税を行うと、次のような流れになります
●好きな自治体に3万円を支払う
●特産品やサービスなどの返礼品を受け取る(上限:ふるさと納税額の30%≒9,000円程度)
●確定申告、またはワンストップ特例申請で控除申請すると、28,000円が還付&減税となる
つまり3万円寄付して、トータル最大約37,000円分のリターンがある、ということになります。
返礼品の上限は設けられましたが、引き続きメリットのある制度であることは変わりありません。
ふるさと納税の注意点
いくつか注意点があるので挙げてみます。
●「払った税金」からの還付ですから、当然税金をあまり払っていない人の節税メリットは低いです。収入や扶養控除などによって受けられるメリットの上限は変わりますので、試算サイトなどで確認してください。
●【確定申告】【ワンストップ特例申請】をしないと税金は戻ってきません。初めての方は専門用語ばかりで戸惑うこともあるようです。
●ワンストップ特例とは、確定申告を不要にし、控除手続きを住民税のみに一本化して受け取った自治体が行う制度です。ただし寄付先が5自治体以上であったり、他の医療費控除等を受けたい場合は確定申告をする必要があります。
●現住所の自治体に寄付することは可能ですが、返礼品は受け取れません。
本来の寄付の目的を忘れずに
私も数年前から利用しており、返礼品が魅力的な自治体と、生まれ故郷の市や町に複数寄付をしています。
とはいえ特産品のお礼は二次的なもの。返礼品の上限は3割ですが、もともと3割に満たないものも多数あります。
だからといって「返礼率」を重視するのではなく、お世話になった地元や、旅して好きになったあの街の発展に貢献する、という目的を見失わずに上手く利用したいものです。