「マイカー」は時代遅れに?車のサブスクは広がるか
新型コロナ感染症が拡大していく中で、2020年ごろに「自家用車での移動が増えている」というニュースを目にした人もいたのではないでしょうか。
外出制限の中でどうしても移動が必要な時、不特定多数の人たちと隣り合わせになる、バスや電車などの公共交通機関を避ける傾向が見られたのだと思います。
しかし、マイカーの「利用」は増えても「所有」が増えたわけではなさそうです。内閣府の「消費動向調査」によると、2人以上の世帯における乗用車の普及率は、2023年3月調査で80.6%。コロナ渦前の2018年3月調査では79.9%でした。微増ではありますが、最高値の86.4%(2003年3月)からの下落傾向は否めません。
ちなみに世帯主29歳以下に絞ると、78.7%(2018年3月)→73.7%(2023年3月)と、わずか5年で5%下げています。しばしば報道される「若者の車離れ」が進行していることが分かります。
また、団塊の世代が運転免許を返納する年齢になっているのも、普及率が下がっている理由の一つかもしれません。
しかし、乗用車の普及率と相反して、上昇傾向にあるのがレンタカーやカーシェアなどの利用率です。
レンタカーとしての登録台数(軽を含む乗用車)は 、2022年には489,858台となっており、2012年の284,706台と比較すると、ほぼ倍増しています。(一般財団法人自動車検査登録情報協会 レンタカー車種別車両数の推移)
またカーシェアの登録台数が2022年には51,745台と、2012年の6,477台から8倍に増えており、サービス会員数に至っては167,745人から2,636,121人と、15倍です。(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団)
自動車サブスク、それぞれの特徴
レンタカー
レンタカーとは、レンタカー会社から一定期間車を借りて利用するサービスです。
レンタカー会社は、空港や駅、市街地などに営業所を構えており、利用する際は営業所で手続きを行います。
料金は利用時間によって決まり、一般的には時間や日数分に応じて課金されるシステムとなっています。
借りた場所と異なる場所に返却する、いわゆる「乗り捨て」が可能なことも多く、自由な移動ができるため旅行やビジネスなどで利用されます。
カーシェア
カーシェアは、複数のユーザーが同じ車を共有するサービスです。
一定の期間、自分が必要な時間だけ車を利用し、返却することができます。
料金は月額基本料に加え、利用時間や距離に応じて支払います。
日単位で借りるとレンタカーよりも割高になることが多く、より短い時間で借りたい人向けと言えそうです。
また、ガソリン代も利用代金に含まれるため、レンタカーで一般的な「ガソリンの満タン返し」をする必要はありません。
最近はカーシェア付の分譲/賃貸マンションも増えてきており、車両を保有していなくても、自家用車のように自宅マンションから利用できるスタイルが一般的になりつつあります。
カーリース
カーリースは、長期間車を借りるためのサービスで、レンタカーとは異なり、1か月以上の期間で契約を結びます。
車両の保有やメンテナンス、税金の負担はカーシェア同様事業者となりますが、その他ガソリン代や任意保険、駐車場代は自己負担となり、また自分専用の車を借りる形式なので、上記2サービスと比較すると、最も自家用車に近い使い方が想定されます。
以上のように、いずれも車を所有しない人にとって便利なサービスですが、利用目的・期間に応じて適したサービスを選ぶ必要があります。
日常的に短時間りようするならカーシェアが便利であり、不定期な数日の利用ならレンタカー、長期的な利用であればカーリースがおすすめです。
現代風に「サブスクリプション」という言い方をすると音楽ストリーミングや映像コンテンツの視聴サービスを思い浮かべますが、家具や衣服、車などの「非デジタルコンテンツ」も、所有から利用へと意識がシフトしていることは間違いありません。
レンタカー、カーシェア、カーリース、それぞれの事業者を調べると次々と新しいプランが企画され、かなり細分化されているようです。比較検討するのは大変ですが、逆に言えば自分の理想のサービスがきっとあるはずです。頻度や目的に応じて、ベストな使い方を探ってみたいですね。
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