ドレミの“ド”
僕は高校に入学するまで楽譜が読めなかった。もちろん小学校、中学校と9年間音楽の授業はあったのだが特に楽譜を意識した事はなくリコーダーの授業でも音を聴きながら見よう見まねで吹いていた。よって楽譜通りに吹けと言われても無理な話だった。
そんな僕が楽譜を詠まざるを得ない状況になったのは高校に入って吹奏楽部に入部したためだった。
中学時代はガンダムオタク。映画版のサントラのレコードをよく聴いていた。その頃からそういった壮大な音楽に興味があった。また、それとは別に洋楽ブームがありBILLY JOELのLIVEがTVで放映されたことをキッカケにバンドサウンドにも興味を持つようになる。
高校に入ったら軽音学部に入ろうと思った。しかし僕の入った高校には軽音学部がなかった。ちょっとガッカリしていたオリエンテーリングの段上にテナーサックスを首にぶら下げた恵美子先輩が立った。 “初心者の方でも結構です” その言葉に魅かれたのか? テナーサックスに魅かれたのか?恵美子先輩に魅かれたのか? 僕は放課後音楽室へと向かった。
そこにはあの“恵美子先輩”がいてちょっと“ドキッ”とした。“何がやりたいの?”と訊かれたのでバンドをやりたかった僕は“ベースかドラムかサックス”と答えた。 “うちは弦バス(ウッドベース)がないからパーカッションかサックスだね、いまならサックス空きあるよ”との事だったんで“じゃあサックスで”と答えたら “明日からおいで”との事で入部が決まった。サックスと言う未知の楽器に触れられるからか? 恵美子先輩に教えてもらえるからか?何とも浮かれていたのではないだろうか?
しかしその浮かれ気分は早々に萎えてしまう事になる。まずは恵美子先輩、なんとサックスの先輩ではなかったのだ。彼女のパートはトランペット、じゃああのオリエンテーリングの時のサックスはなんだっただ?、、騙されたのか?吊られたのか?前者ならば超動機が不純だ。でもサックスには関心があったのは嘘じゃない。しかし、、、
それ以上に僕以外の新入生はほとんど中学から吹奏楽部だったヤツばかりだった。初めてマウスピースを渡される。言われた通り咥えて息を吹いてみる。
“スーッ”音が出ない。まともに音が出るようになったのは1週間位経ってからだろうか?
こうして甘い考えからやらざるを得ない状況に追い込まれ僕の音楽生活は始まった。個人練習ならいざ知らず、合奏ともなれば周りと合わせなければならない。出来るようになっていなければ吹いているマネで誤魔化すしかない。
楽譜だって“ドレミのド”から指で数えて何とか読んでいた。しかしながらその“ドレミのド”すら知らなければそれさえも出来ないのだ。
お陰様で吹奏楽部でおたまじゃくし(音符♪)を追う事を鍛えられ、バンド(ギター)もやっていたのでコード(和音)にも詳しくなり現在に至る。
これから音楽を始めたいと思う方へ。
まずは“ドレミのド”の音の位置を覚えてください。関心のある方は次回の投稿をお楽しみに。