vol.2「ドルコトス平均法で投資する合理的理由はないって話」
以下のデータは、日経平均株価に年始に一括投資をした場合、毎日1万円を営業日ベースで日経平均株価に1万円を積立投資をした場合で比較しています。結果はどうなったかというと、
<2021年 日経平均株価 投資額:245万円(営業日ベースで設定)>
・一括投資:245万円⇒258万7,817円ですから、105.62%
・積立投資:245万円⇒244万円8071円ですから、99.92%
<2022年 日経平均株価 投資額:244万円(営業日ベースで設定)>
・一括投資:244万円⇒217万2,925円ですから、89.05%
・積立投資:244万円⇒233万8141円ですから、95.83%
<2023年 日経平均株価 投資額:246万円(営業日ベースで設定)>
・一括投資:246万円⇒320万1085円ですから、130.12%
・積立投資:246万円⇒269万7502円ですから、109.65%
こういうデータも見てわかるように、積立投資が万能というわけではなく、ドルコスト平均法というのは、株価指数であれ、ドルであれ、金であれ、「同じ投資対象」を定額投資するので、その資産が内包する「リスク」は変わらないはずで、リスクが軽減されているわけではありません。時間を分散することで「仮に」取得価格を抑えることができたなら、最終的な価格変動を抑えることができるかもしれないわけですね。
実は、ドルコスト平均法の有効性を投資効率、リターンの予測可能性、タイミングの分散効果などで検証すると、(一括投資できる資金が手元にあれば)あえてドルコスト平均法で投資する合理的な理由はないという研究結果もあるのです。
大事なことは「合理的理由がない」だけであり、コツコツ積立投資することは有用だと考えます。これはなぜかと言うと「プロスペクト理論」の観点です。
「プロスペクト理論」というのは、行動心理学のひとつで、人はいかなる場合も合理的な行動をする生き物だと思われてきましたが、実はそうでなく、様々な心理状態によって非合理的な行動をとることがあるというものです。これを投資(行動ファイナンス)の世界でいうと、「人は損をするのを嫌い」ということで、「損得が絡むと非合理的な行動をとる」のですね。得するより損する方が感情に影響を与えるわけです。
ドルコスト平均法というのは合理的な投資方法ではない。ただ、損失というのはプロスペクト理論でも言われているとおり、精神的なダメージが大きいので、なかなか忘れることはできないとなると(深い傷となって)投資をやめてしまう。でもドルコスト平均法というのは、ある意味「仕組化された投資」ですから、仮に損失が起きても、それは自分の判断ではなく「ルールの中でやったので仕方ない」と、いいわけもできるわけで、これは継続できるよねと。これくらいのものととらえたほうがいい。
結局、一括投資というのは、投資額は忘れない。例えば、「1000万円投資した」という記憶がある。これに比べて、積立投資というのは、「3年前くらいから初めて、いくら投資したかあまり覚えていない・・・」くらいの記憶にしかなっていないことがほとんど。これうは将来もそうで、忘れていい投資くらいなんでしょうね。