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第21話 住宅購入後に申請できる住宅ローン控除って何?


【登場人物】


〇藤堂さおり(32歳)・・主人公 
大学職員として勤務している。夫の啓補は警視庁勤務。
気が強く、はっきりと言うタイプ。地図が好き。初めての住宅購入に向けて、不動産業者だけの話では納得いかず、FP事務所に相談へ行くが・・。

〇神崎勘太(36歳)・・祐天寺うぐいすFP事務所所長 
CFP認定者、1級FP技能士、宅建士。「脱カモ」サポートをモットーに、龍太と二人でFP事務所を切り盛りしている。

〇藤堂啓補(34歳)・・さおりの夫。
警視庁勤務。素直で人を信じやすく、そのせいで営業マンのトークに乗せられやすい。基本的におっとりした性格。


〇神崎龍太(36歳)・・祐天寺うぐいすFP事務所 勤務 宅建士。 
不動産業界での経験を活かしながら、勘太のサポートをしている。無口で勘太とは体型含めて正反対。

〇不動産会社G 花積亮介(36歳)・・勘太の高校の同級生、親友。  勘太のFP事務所と連携して、不動産事業を行っている。


前回までのあらすじ。

主人公の藤堂さおりと、夫の啓補。ある日夫の啓補が気に入って一気に購入しようとしていた建設予定のマンションがあった。そんな展開に不安なさおりはFP(ファイナンシャルプランナー)の無料相談をきっかけに、その物件の調査依頼をした。災害に弱い危険な立地であることを理由に購入をやめるように勧められ、実際にその建設予定地は後日台風で冠水してしまった。それがきっかけで、2人はここのFP事務所の住宅購入サポートプランを申し込む。それから、様々なレクチャーをしてもらいながら物件探しをするが、気に入った物件は、再建築不可だったり、FP事務所の龍太同行で他社不動産紹介物件も回ったが、と中々うまくいかない。しかし、やっととある中古戸建て物件を気に入り、申込むこととなった。銀行への借入れ含めて、不動産契約にあたって気を付けるべきことは?


第21話 住宅購入後に申請できる住宅ローン控除って何?


「そういえば、さっきペアローンの時に出てきた住宅ローン控除って、もちろん申請したほうがいいですよね?税金が年間で最大40万とか戻ってくる制度のことくらいは調べてわかったのだけど、合っています?」
勘太はそれを聞いて、資料を見せた。
「住宅ローン控除とは、「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる制度の通称のことで、自分が暮らす住まいをローンで購入した場合に、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される制度のこと。所得税から控除しきれない分があった場合は住民税からも控除される」
「控除っていうのは、税金が戻ってくるということですか?」
「そう。つまり減税という言い方もできる。この場合『所得控除』ではなくて『税額控除』なので、上限まで課税される税金額からシンプルに控除される。控除額の計算方法は図を見てもらうほうがわかりやすいと思う」
勘太は資料を1枚出した。

住宅ローン控除

「例えば3000万円の借り入れをしたとして、年末の借り入れ残高の1パーセントだと30万、最大控除額が40万だとしたら、どちらか小さいほうの額が適用されるので、30万円の控除となる。年間で30万円所得税を支払っていたとしたら、その30万円がそのまま還付、つまり戻ってくるということ。もし年間の所得税が25万だったとしたら、残り5万は住民税から控除されるということ」
「なるほど、これは大きい。それが10年間続くということね」
「適用を受けるために最初の1年目は確定申告する必要があるけれど、2年目からは年末調整でやってもらえるから手続きもそんな面倒ではない。」
「10年間続くというのは大きいわね」
「あ、あと今回最大控除額40万円と資料には記載しているけれど、今回中古の戸建てで、売主が個人の方になるので、消費税は発生しない。ただし、上記の住宅ローン控除の最大控除額も40万ではなくて20万円になるので、そこは要注意」
「そうなのか。でも、消費税かからないなら仕方ないわね。この控除を受けるための要件とかがあるわけでしょ?住宅探しているときも少しおっしゃってたものね」
勘太はもう1枚資料を出した

住宅ローン控除条件

「ここに書いているように、新築と中古では要件に違いはある。違いというか、中古物件の場合新築の要件にプラスして「築年数20年以内」とか条件が加わっていくかたち」
「今回の物件は床面積85平米だし、築年数15年ほどだし、要件は満たせそうね。」
「ええ、それを満たしているかどうかも、こちらは確認していましたしね。」
「ありがとうございます。物件探しのときに途中でおっしゃっていましたもんね」
「今回は、さっき話したとおり個人の方から購入するので、消費税は発生しないけれども、住宅ローン減税も最大控除額は20万円までとなる。でも、ないよりは大きいですよ」
「なるほど。確かに10年間で200万か。それなりに大きいわね。」
「ええ、これはちゃんと申請すべきものですよ。」


(第21話終わり) 次回は10月25日(日)に更新予定です。


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なお、次回作「第22話 住宅ローンの返済:変動?固定?元利均等返済って?」は、私自身のブログ『CFP天海陽介の 優しいお金の相談室』にて、先行公開しています。是非ご覧ください。


※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


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