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第23話 不動産売買契約前に必要な準備はどんなこと?(住宅ローン借入審査・・etc)


【登場人物】

〇藤堂さおり(32歳)・・主人公
大学職員として勤務している。夫の啓補は警視庁勤務。
気が強く、はっきりと言うタイプ。地図が好き。初めての住宅購入に向けて、不動産業者だけの話では納得いかず、FP事務所に相談へ行くが・・。

〇神崎勘太(36歳)・・祐天寺うぐいすFP事務所所長
CFP認定者、1級FP技能士、宅建士。「脱カモ」サポートをモットーに、龍太と二人でFP事務所を切り盛りしている。

〇藤堂啓補(34歳)・・さおりの夫。
警視庁勤務。素直で人を信じやすく、そのせいで営業マンのトークに乗せられやすい。基本的におっとりした性格。

〇神崎龍太(36歳)・・祐天寺うぐいすFP事務所 勤務 宅建士。
不動産業界での経験を活かしながら、勘太のサポートをしている。無口で勘太とは体型含めて正反対。

〇G不動産 花積亮介(36歳)・・勘太の高校の同級生、親友。    勘太のFP事務所と連携して、不動産事業を行っている。


前回までのあらすじ。

主人公の藤堂さおりと、夫の啓補。ある日夫の啓補が気に入って一気に購入しようとしていた建設予定のマンションがあった。そんな展開に不安なさおりはFP(ファイナンシャルプランナー)の無料相談をきっかけに、その物件の調査依頼をした。災害に弱い危険な立地であることを理由に購入をやめるように勧められ、実際にその建設予定地は後日台風で冠水してしまった。それがきっかけで、2人はここのFP事務所の住宅購入サポートプランを申し込む。それから、様々なレクチャーをしてもらいながら物件探しをするが、気に入った物件は、再建築不可だったり、FP事務所の龍太同行で他社不動産紹介物件も回ったが、と中々うまくいかない。しかし、やっととある中古戸建て物件を気に入り、申込むこととなった。銀行への借入れ含めて、不動産契約にあたって準備すべきことはどんなこと?


第23話 不動産売買契約前に必要な準備はどんなこと?(住宅ローン借入審査・・etc)①


「次に、ホームインスペクション、つまり住宅診断のことだけど、売買契約を交わした後に家が傾いていたなんてわかってももうどうしようもない。申込をして、売買契約までのこの期間にするのが一番ええよ。もちろん費用はかかるけれども、売買契約後のキャンセル料とかに比べたら全然安いから、今やるべき。」
「相場としていくらくらいなんですか?」
「どこまでやるかによるけれど、だいたい基本は5万~6万で、機器とか使用して詳細に調べていくとなると10万を超えてくる。」
「やっぱそれくらい費用かかってくるんですね」
「5~6万でやってくれる業者を知っているから、そこに声掛けようか。時間もないし、銀行回っとったりでこれから忙しいだろうし。」
「お願いします。」
「その業者から見積書来たら、メールで転送するよ。契約が10日後だから、それまでに実施できるかもあわせて確認しておくよ」
「心強いわ。最後は売買契約書の事前取り寄せのことね」
「まず、その前に最終的にちゃんと確認しておきたいのだけれど、本当に花積のG不動産の仲介による契約でいい?」
「ええ、もちろんよ。そこに迷いや疑念はないわ。」
啓補の方を見てみたら、啓補も納得した顔でうなずいていた。
「了解。仲介手数料については、以前に話したとおり、物件価格の2%―30万、この30万の割引はFP事務所支払い分。もしくは固定額49万8000円のどちらか、選択できけれど、今回の物件価格からだと明らかに固定額498,000円の方が安くなるね。固定額の方でいいね」
「もちろんそのつもりよ」
「了解。じゃこれは後日花積から直接見積書を出させるね。それで売買契約書についてなんやけど、これは、売主側の仲介会社へ花積に取り寄せさせるよう伝えてある。だから売買契約書を事前に確認したほうがいいと思うけれど、弊社でも事前に確認しても問題ないかな」
「もちろんです。」
「だからここまでの話を整理すると、不動産売買契約前にしておく準備としては
 ・銀行借入の仮審査を申し込み、通過させる。
 ・中古住宅であれば、ホームインスペクション(住宅診断)
 ・売買契約書等の事前確認。
 の3つになるかな。」
「なるほど、丁寧に一つ一つ教えてもらって本当に助かるわ。なんだか何から何まで本当にありがとう。」
「いえいえ、これも料金のうちで、当然のことです。まずはお二人銀行回りを頑張って!」

事務所を後にした。いざ、自分たちに契約が回ってきたと聞いて、落ち着かなかったけれど、不安なこと、曖昧にしか知らなかったことをちゃんと聞くことが出来て、不安がだいぶ解消し、前に進む覚悟のようなものも出てきた気がする。

さっそく週末から2人で銀行を訪ねて仮審査を受けていくことにした。
週末の土曜日、最寄り駅前にある大手のM銀行が住宅ローン相談会を開催していたので、私たちはアポなしで参加した。最初は怪訝な顔で案内されたが、私たちが大学職員と警視庁勤務だとわかってからは、窓口の担当者は妙に笑顔になり、結局その場でM銀行を窓口としたフラット35の仮審査の申込をした。事前に二人分の源泉徴収票などを準備していたので、仮審査の申込はすぐにできた。M銀行は結果が出るのが10日後の契約日までに間に合うかどうかはわからない、とのことだったので、駅の反対側にある同じく大手のS銀行へ訪問し、S銀行の住宅ローン商品である全期間固定のものについて仮審査申込をした。10日以内には結果が出そうだ。金利は高めだが、とりあえず仮審査を契約日までに通しておき、あわせて金利が安い銀行を見定めて、審査申込を動いてみよう。
 
後日、今回仲介をお願いすることになったG不動産の花積から連絡があり、事前にメールで見積書が届き、また、売買契約書や重要事項説明書の写しを事前に入手できたので、事前に確認してもらったほうがいいと思うがどうしたらいいか、電話があった。私は、自分たちにメールと、あと勘太、つまりFP事務所にもCCで送っておいてほしい旨伝えた。花積は快く応諾してくれた。
勘太からCCに入っていたお礼と、契約書等を確認するメールが来た。そして、住宅診断の業者からのメールも転送されてきた。前に言っていたとおり、6万円だったので、お願いするメールも返信した。


(第23話終わり) 次回は11月8日(日)に更新予定です。

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※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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