22-23 Aリーグ グランドファイナル

久々にnoteを書こうと思ったきっかけは、オーストラリアのトップリーグであるAリーグのレギュラーシーズンが終わり、優勝決定戦といえるグランドファイナルのブックメーカーのアウトライトオッズを確認したことでした。

「メルボルン・シティ、評価されすぎ??」

この時点ではあくまで直感です。果たしてオッズは妥当なのか、GW9連休の有意義な時間の使い方としては文句のない、探求が今始まりました。

結論

ウェスタン・シドニー・ワンダラーズの優勝が魅力的
(汎用されるBMだと、ウィリアムヒルの8倍が一番高い?)

理由:ホームアドバンテージとレギュレーション

魅力的、の根拠はほとんどこれ。正直②以降は感覚に近いです。
Aリーグはレギュラーシーズンの順位を基にした、ファイナルシリーズを持って年間のチャンピオンを決定します。
さて、このファイナルシリーズ。基本的に大番狂わせは少なくレギュラーシーズン首位のチームがそのまま優勝するケースが多いです。何ならコロナ禍で観客数が限られていたシーズンを除けば、シリーズ全体として順位表通りに突破/敗退が概ね決まってました。
この理由については、シーズン上位≒地力で勝る、ということもありますが、レギュラーシーズン上位チームはホーム開催で試合ができることが大きいです。

参考:過去5シーズンのファイナルシリーズの上位チーム側突破率
シリーズ全体:70.8% (17/24*)
準決勝以降:78.6% (11/14*)
*21-22シーズン決勝のウェスタンユナイテッドvsメルボルン・シティはお互い同じスタジアムをホームとしているので集計から除外

Fbref.com

何を当たり前のことを、と思われるかもしれません。しかし、我々の感覚以上にAリーグのアウェイ集客は厳しいです。
皆さん日本人で、見るとしたらJリーグかヨーロッパサッカーなので感覚がわからないかもしれませんが、オーストラリアの国土面積って約770万km²、日本の約20倍です。欧州5大リーグと言われる国も面積は日本と大差ないです。更にAリーグではウェリントン・フェニックスというニュージーランドのチームもあります。更にはスポーツとしての国内サッカー人気も4~5番手ということもあり、普段からスタジアムに空席が目立つことも珍しくありません。これはファイナルシリーズでも同様で、ホームサポーターはともかく、アウェイサポーターは移動距離が相当に長いことが殆どです。人気の土台を作っているタイミングで、優勝の可能性があるからと新規サポーターが遠征してくれる、なんてことは中々ありません。
そのためホームサポーター≫アウェイサポーターの構図になりやすく、会場の空気がかなりホーム寄りになることが試合結果にも表れていると考えます。
恐らくは首位メルボルン・シティの優勝オッズ@2.0倍も、勝ち点通りのオッズ設定も、多少は上記の傾向が加味されていると思われます。

つい癖で前置きが長くなりました。では今シーズンはどうでしょうか?
レギュレーションについて、改めて確認しましょう。

【22-23シーズン ファイナルシリーズ】
予選:①3位vs6位、②4位vs5位で1発勝負(会場は順位が上のチームのホーム)
準決勝:2位vs①の勝者、1位vs②の勝者のホーム&アウェイ方式
決勝:準決勝の勝者同士で1発勝負(会場は順位が上のチームのホーム→今年から3年間、シドニー開催確定)

最も注目するべきは決勝戦のシドニー開催(≒シドニーFC or ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(以下WSW)のホーム開催)確定という変更でしょう。この決定をしたリーグ側へは、シドニーを本拠地としない他クラブは当然として、シドニーの2チームからも批判が出るほどにリーグとクラブ側・サポーター側に大きな溝を作りました。
決定の是非は兎も角、これは過去シーズンの統計とは事情が大きく変わってきます。端的に言えば、WSWとシドニーFCにとってかなりの追い風です。レギュラーシーズンでは順に4位、5位だった両チームは、過去のレギュレーションなら決勝戦はアウェイ扱いになる可能性がかなり高く、しかも対戦相手となりえる3チームのうちアデレード・ユナイテッドとウェリントン・フェニックスは移動距離はそれぞれ約1,500km、2,200kmです。サポーター行けないよ。
これが逆にひっくり返る訳です。ウェリントンは地力でちょっと厳しいかもですが、アデレードは主力選手が帰ってくることもあり、決勝に来る可能性は十分にあります。ただ、アデレードサポーターの多くは、その決勝を観戦するのはTVになるでしょう。ただでさえ、商業主義に走ったリーグに対するメッセージとして、ボイコットを促すサポーターもSNSでは散見される状況です。

また、決勝の開催地に比べれば些細な点ですが、昨シーズンから準決勝がホーム&アウェイ方式になった点も見逃せません。試合の順番はあれど、構造上ホームアドバンテージによる優劣は過去シーズンより薄まることになります。導入初回の昨年は順当にシーズン上位側が勝ちましたが、今シーズンはどうなるでしょうか。ここも過去の進出傾向から変化がありそうな点だと思われます。

まさかここまでで2,000字もいくとは思っておらず、正直疲れたので筆を置くことにしました。余力と需要があれば加筆します。
最後に別の軸で少し触れると、経験値の差も馬鹿にできないシーズンかなと見ています。
今年は各チーム監督の経験が浅く、唯一監督が経験豊富といえるシドニーFCも、WSWとのダービーマッチでの0-4の敗戦からチーム状態や監督・選手を取り巻く環境は厳しいです。そうなると鍵を握るのは選手たちのマインド・経験になるわけですが、強豪時代のシドニーFCの中心選手であったFWニンコビッチ、プレミアリーグで実績のあるMFシュネデルラン、リヨン・PSVで活躍したDFマルセロと各ポジションにそれを満たす選手を擁するWSWに一日の長があるように思えます。WSWが準決勝にいけたとして待ち構えるメルボルン・シティは大きい壁ではありますが、彼ら赤黒の奮闘に期待したいところです。

補足1 アウェイ集客大変なのよ
シドニーダービーとなるWSW vs シドニーFC、WSW側はほぼ完売に対してシドニーFC...地区ダービーなのに…

補足2 クリケット→AFL→ラクビー→ネットボールときてようやくサッカーが取り扱われるオーストラリア

ABC Newsサイトより

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