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楽しめ、わたし

生まれて初めてプロットというものに悪戦苦闘しています。

あ、すみません。厳密にいうと生まれて初めてというのは大嘘でした(テヘペロ)。若干話を盛りました。

そういえば、前にCMシナリオっぽい小品を書かせてもらったことがあったんでした。なんとなくの〝あらすじ〟と、全体の流れを箇条書きした〝構成プラン〟を書き綴って、元請けさんやクライアントさんに送りつけて、事前OK取ったのを忘れとりました。

で、あらためて、プロットとやらに向き合ってみて気づいたんですがね。
これって、我々、紙の雑誌編集者が普段書き殴っている〝企画書〟とそんなに変わらんじゃん、って思ったんですよ。ふと。


企画書の場合、編集会議やプレゼンの席で、お客さまから細かいところをツッコまれても癪ですし、実際の取材を通して思いがけずにいい話が聞けたりすることも日常茶飯事ですから、大きな括りのテーマと骨子だけを淡々と述べて、こまごま余計なことは書き記さない傾向があります。あんまりガッチガチに固めすぎちゃうと、定着時の広がりを狭めてしまうなど、あとで自分の首を絞める結果につながりかねませんので。

ただ、新コーナーを提案する時や、お客さまが俄かには頭の中で完成形を描き難い複雑な特集なんかだと、その企画を通すためにちょっとした配慮工夫が必要になります。例えば、ページ展開を項目立てて見せるとか、内容とか、順番とか、バランスとか、具体的な想定取材先などですね。記事の流れができるだけ詳細にわかる企画案を作ります。

そこにプラスして、サムネールやラフスケッチなんかを添えると、視覚的にもよりイメージしやすくなりますでしょ?

だから、わたしら雑誌の編集者は、企業スポンサードでタイアップ記事などを制作する場合、この〝企画(展開)案〟と〝ラフ〟に〝スケジュール〟を添えて、よく「3点セット」などと呼んで提出するのが常だったりします。
「わたしさん、忙しい時に悪いけど来週までに3点セットもらえる?」
「かしこまりです。この週末にチャチャっとまとめて送っておきますよ」
そんな感じで版元さんやクライアントさんに企画を通しています。


たぶんプロットづくりというものも、そういった意図から必要になった工程なんじゃないでしょうか。知らんけど。

書き出しから結末に至るまでをなんとなく自分なりに整理しておいて、具体的にストーリーを書き綴っていく際の羅針盤にするという役割も、もちろんあるんでしょうけれど。むしろ、これから自分が編もうとしている作品を他人に理解していただくため、イメージしていただくための伝達ツールとして必要なんだろうと思うんです。

細部の表現はどうあれ、主人公がこの場面で何を思い、どう行動するか、それによって周囲にどんな影響が波紋してゆくか、ある程度は明らかにしたほうが伝わりますし、ここでどんなエピソードを挿入して登場人物に何を語らせるか、台詞にどんなメッセージを込めるかなど、意図やアイデアもメモしておいたりするのもいいんじゃないでしょうか。

「まぁ、俺を信じて、できあがりを楽しみに待っててよ」

すでに何作もヒット作品を書き上げた大御所じゃあるまいし。そんないい加減なプレゼンテーションじゃあ、きっと誰も納得しないし協力できません。スポンサーは「お前はクドカンか? 大石静か?」と顔真っ赤でGoサインを渋るでしょう。だから「私はこういう作品を創りますね? よぉござんすか?」ってのを宣言するのがプロットなんだろうなと考えます。

となると、この工程ってかなり重要になりますね。子どもの頃に買って読んでいたく感動した「機動戦士ガンダムの設定資料」みたいな精緻さが求められるケースもあるんじゃないかと想像します。


でも、台本そのものは作り込んだほうがいいとは思うものの、上述したようにあんまり細部まで突き詰めすぎちゃうと、実際に書き始めた時の筆のノリみたいな即興性(アドリブ感)が損なわれて、勢いが削がれたり、つまんなくなっちゃったりする可能性もあるんじゃないかと思うんですよね。あと、こまごま書きすぎちゃったらそこで満足しちゃって、その先の執筆が続かなさそう。その辺、プロの皆さんはどうされているんでしょう。気になるわ〜。

ちなみにわたし。いま書いている作品の中で、登場人物の名前をかなりテキトーに決めちゃってたんです。

で、書き進めてみたら「この名前、図らずもなんとなく意味を持っちゃってんな」となってしまい、一度は別の名前に書き直したんですね。Wordの「検索と置換」機能を使って。
ところが、またその先を書き進めてゆくに従って「むしろ意味を持たせて、ストーリーに多少寄り添わせてみてもオモシロそうだ」というアイデアが湧いてきて、また一律書き換えたんですよ。
そしたら今度は、読んでいてなんとなく滑らかに進まないんですよね。なんだか悪目立ちしていることに気づいちゃって。
だもんで、なんか別の名前を考えなきゃならない。←いまここにいます。

名前ばかりじゃないですね。大雑把になんとなくで「AはBと出会い、のちに袂を分かつ」なんてつもりで書いていたのが、途中から「やっぱ、皆んな一緒に仲良くラストまで突入〜」に軌道修正しちゃったりなんかすると、その「袂を分かつ」シーンを盛り上げるために拵えてきたさまざまな要素が無駄になったり、辻褄合わせの書き換えを要したり、下手したら作品そのものの流れをぶった切ってしまったり、魅力を半減させかねないという事態に陥るかもしれません。

結構こういった細かい部分をキチンと設定しておくことは重要なんだと思い知らされました。

で、突然プロットづくりに執心し始めて今夜で3日目(笑)。わりと典型的なA型タイプの粘着気質なんで、のめり込むと時間を忘れてとことんやっちゃうからよくないんですよね。仕事の〆切が迫っているというのに。

ホントは多少粗くても本編をドンドン書き進めちゃったほうがいいでしょうけれど。まぁ、こういう時間もなかなかいいものです。
こことここを入れ替えようかな。ここにもうちょい厚めのエピを差し込んでおこうか。ここは展開読めすぎてツマンネーなぁ、もっと緩急つけるか。でも、こんなことは書き上げてからなんぼでもできることやんけ、などなど。ああだこうだとやっています。〆切や責任がないからでしょうが、プラモデル作ってるみたいで楽しいっすね。



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