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知らない人から届いた手紙 後日談
こないだオリンピックの柔道なんかを横目に眺めながら、深夜までかかって書き上げた土地相続の話。その続きがあるので、ここにまとめておきたいと思います。
昨日、〆切を抱えていた原稿を書き終えてのち、どうにもこのことが気になって司法書士さんにお電話してみました。
もちろん、連絡を取る前にどんな事務所さんなのか、そもそも本当にそんな司法書士事務所が存在するのか、ネットで下調べをしてからです。
だって、万が一詐欺だったらと思うと……ねぇ。
しかし、それはわたしの杞憂だったようです。不動産相続をお得意とされていらっしゃる方のようで、業務内容や実績に怪しいところはありません。利用者さんのレビューや評価などを見つけられたらとも思いましたが、残念ながらそちらは見つからず。とはいえ、所在県の協同組合にもお名前がありましたし、日本司法書士会連合会のリストにもキチンと事務所名が記載されていました。
で、お電話をすると、くだんの司法書士さんは丁重に対応してくださいました。こちらの立場を慮った物言いとご説明で、不安や不信感は払拭されていきました。多くの利害関係者を取りまとめないと立ち行かない話なので、その大変さはお察しします。あれこれお話しを重ね、ご協力させていただくのはやぶさかではないという結論に達しました。
でも、一つだけ苦言を呈しました。
それは、やはり、本件に関連されるご一族の皆さんに、一族の一員でもないわたし(と母)の名前が、シラっとフルネームで記され開示されていたことです。
わたしが知らなくてもいい、むしろ知らないほうがよかったかもしれない、実父とされる人物の奥様や、お子様たちのお名前までもが記されていたこともそう。これは、わたしだけでなく、あちらにとっても気持ちのいい話ではないでしょう。
なので「あまりにも配慮に欠ける行為ではないですか?」 と申し上げたんですよ。いくら土地相続の手続きを行ううえで必要な情報とはいえ、そういった事情を汲もうと確認もせず、事務的に開示されてしまわれたことへのささやかな抗議でした。
司法書士さんは「おっしゃる通りです。誠に申し訳ございませんでした」と謝罪されていました。しかし、そのあとの余計な一言に腹が立ちましてね。
「ただ、あちら側のご子息様は、わたしさんの存在をお父様から聞かされていらしたのか、わたしさんのお名前をご存じのようでしたよ。わたしさんがご心配されているような、ご不満や苦情の類はいただいておりません。それだけはお伝えしておきます」
はい? そういうところなんですよ、司法書士さん!
わたしの存在を先様が承知していたなんて、そんな情報は聞きたくもありませんでした。もし承知していたのなら、なぜ何もせず今まで放置していたのだという話にもなるじゃないですか。母がどんだけ苦労したのか。父がなにを思ってわたしを育てたのか。もしかしたらわたしが憤慨してしまうかもしれないと、想像力を働かせることもできないのですか?
そんな感じでチョットだけ声を荒げてしまいました。
考えてみれば司法書士さんには関係ないことだと思い直して、すぐに平静を取り戻しましたけど。やっぱり腑に落ちないんです。
だって、なんの関係もない人々の相続話にかかずりあわせられるんですよ。
しかも、今回の件は相続対象者が30余名にわたり、連絡が未だ取れていない人もいるとかで、一筋縄ではいかない案件だとも仰っていました。
場合によっては、規定の期日を超えてしまい、あらたに別の方法で所有権の統合を考えなければならないとか。その際はまたご協力をお願いする場合もあると、司法書士さんはいってました。(もう勘弁してくれ、勝手にやってくれ)と心の中では思っていましたが、「わかりました」とお伝えしました。
ま、そんな感じで、署名捺印した書式一式と印鑑証明をご返送するお約束をしました。「2〜3日ください」と申し上げましたが、その後すぐにコンビニに走って印鑑証明を発行。昨日のうちにレターパックに封入して投函しちゃいました。
というわけで、とりあえず、わたしにできることはやりました。あとは何事もないことを願うばかり。なんだか釈然としないけれど、長い人生、こんなこともあるさ。自分に言い聞かせながら、いままさに、このnoteを書いています。