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政治に関心? ありますよ

先日、香取慎吾さんが主演のドラマ『日本一の最低男 ※私の家族は偽物だった』を見ました。

元テレビ局の報道マンが区議会議員になるという我欲を満たすべく、本意ではない義弟やその子どもたちとの暮らしを始めるという設定。
簡単に言うと、主人公がイメージ作りを目的としてスタートさせたニセモノの家族を、社会に孕むさまざまな問題の解決を通して、やがてはホンモノの家族に仕立てあげていくというストーリーなのかな。途中からなんとなく筋や結末が透け見えてしまったんですが、それをどういうふうに描いていくのかに興味があったので、カミさんと一緒になんとなく横目に見て楽しんでいました。

で、ふと思ったのが、政治家になって社会を変えていくというのも悪くはないなぁということ。

もし、自分が政治の世界に足を踏み入れたとしたら何ができるのか、したいのか。ちょいと雑ではありますが、思考実験をしてみることにいたしました。


【マイナ制度の拡充/行政サービスのデジタル化推進】

俄然わたしが携わってみたいのがデジタル化ですね。

母が転倒して病院に入院した際、お役所へ赴いて何が必要か、どんな手続きをすればよいか、悪戦苦闘していた時期があります。
実家のある地方都市と東京とを何度か往復したのが、高額医療費の限度額適用認定に関する申請。これがやたらと煩雑かつ面倒で…。

まず、わたしは、父を含む世帯収入の有無を証明する非課税証明書を取得しないとなりませんでした。特にウチの場合は、母の住民票が東京になかったので(のちに移しましたが)、介護保険の受給に関する手続きはすべて実家のある街の役所に出向かなければなりません。また、その後の更新についてもそう。部分的にはわたしの事情を汲んで郵送でのやり取りも認めていただきましたが、視力が低下し、字を書くのさえ覚束ない母に署名をしてもらって委任状を作成し、必要書類を揃えていちいち地元の市役所に足を運ばねばなりませんでした。

これがですね。父の限度額適用認定の時は一発で済みました。理由は、去年の暮れに新規保険証の発行が廃止されたことで、マイナカードと保険証の紐付けが進んでいたから。その場で限度額適用認定の申請を行い、限度額情報の表示に同意し、手続きは完了です。
しかも、世帯収入の有無だの非課税世帯だのの証明は、マイナンバーを辿ればわかるので手続きさえ不要。たった一度きり、しかも30分程で終わりました。

東京はね。地方に高齢の親御さんを残して上京して、そのままご家庭を持って、生活基盤をこちらに据えている現役世代って多いと思うんです。
お住まいの自治体によりましょうが、わたしと同様の煩わしさや戸惑いを経験された方がいらっしゃることでしょう。

医療や介護だけの話ではないんです。あらゆる行政サービスが一枚のカードに紐付けられることで、どれだけ便利になることか。

一部の人たちは、ご自分の収入がガラス張りになって気持ち悪いとか、国に家計を管理されてきっと税金回収に利用されるからイヤだとか、セキュリティが心配だとか、いろんな理由で反対されているようですが。真っ当に暮らしているだけなら、別段デメリットなんてないと思うんですよ。ブツブツ文句言ってんのは、節税という名の脱税をしている個人事業主だけじゃね?と訝しんでみたり。
マイナ制度の拡充とデジタル化は、父や母のような高齢者ばかりでなく、それを支える現役世代や若い方々にも確実に恩恵をもたらすと思っています。

【中小企業支援】

この分野もまた個人的には強い関心があって、産業振興の観点からさらに推し進める必要があると思っています。

わたしが住んでいる某区のホームページを拝見すると、スタートアップ、人材育成、勤労者の福利厚生、助成金、補助金、融資斡旋、経営改善、各種相談事業などの支援メニューが並んでいます。

でもですね。もっともっとやれることはいっぱいある。
もちろん大規模かつ広範囲でユニークな企業支援策は、東京都が率先して多彩なメニューを生み出していますから、そちらに頼れば企業は自社のイノベーションを加速させることもできるでしょう。
ただ、それが市区レベルになると途端に弱くなってしまう気がしています。
当然、都と区では予算の規模が違いますから、なんでもかんでもやれるかと言ったらそうじゃない。でも、わたしが住んでいる区と、お隣の区では、業種区分も規模区分も異なりますし、それぞれの区によって力を入れていくべきところ、手当てを厚くしていくところが違うと思います。

仕事柄、よその県の自治体関係者さんにインタビューをさせていただく機会がわりかしあるのですが、関西のとある地区では異業種交流や企業マッチングのイベントが盛んに実施され、それが目に見えて効果をあげているというお話を聞いたことがあります。
とあるモノづくりの企業さんが画期的なビジネスモデルを構築したとすれば、それを政治家が行政に働きかけ、金融や投資家なども巻き込んで軌道に乗せてあげることで、地場の産業が発展し、新たな雇用を生み出せます。
商工会議所や、業界別の協会、経営者団体などでも類似の事業を行なっていたりしますが、政治と行政が主体となって企業活動の活性化を促せば、それが税収アップとさらなるサービスの創出という形で循環していくと思います。

【防災関連】

これも大いに興味があります。自治体にとって優先度の高い施策は、街が賑わい、産業が振興し、交通機関を充実させ、生活者の利便性を高めていくこと。しかし、安全安心であることも住民の満足度や帰属意識の向上に繋がります。

防災対策関連は、たいていの市区町村議会では建設委員会がその役割を果たします。都市計画や整備、防災まちづくりといった行政部署がいろんな施策を主導するからでしょうね。でも、建設やまちづくりというファクターと同時に、地域生活や地域活動、学校教育からのアプローチで推進することだってできそうです。
広報と連携してコンテストを開催したり、素晴らしい取り組みには助成金を投下するなど、防災・防犯対策の啓蒙を深めていくなんてことも考えられますでしょ。言うは易しですが、安全安心はその地区の価値を高め、人や企業の流入にも繋がるのではと考えます。


まぁ、ホントはもっと狭くてちんまいアイデアがいっぱいあるんですがね。
ちょろっと上っ面だけ撫でてみても、やりたいことが溢れてきます。
やれるかどうかは別にして。

政治の世界も、編集工学目線で真面目に考えたらワクワクするほど面白そう。
誰かのためになることを編集素材にして、編集的に所得や富の再分配を行なう。
国家公務員や地方公務員になりそびれた一般国民がこれに関与したいと思うのなら、政治家になることで社会を変えていけばいいと思います。


ただ、これに、選挙をどう勝ち抜くかとか、支持者をどう増やしていくかとか、現実的な面を合わせ重ねていくと、やってみたいという欲求がみるみる萎んでいきます。

特定の宗教団体にご挨拶詣でをしたり、所属政党のサポート欲しさで言いなりになったり、それこそ裏金づくりに執心したりする政治家が後を絶たないのは、そういうことなんでしょう。
医師会とか自動車工業会とか? 業界団体を味方に付けて、安定した支持基盤を確保するのは決して悪いことではありませんが、それとて癒着や利益誘導が過ぎれば叩かれますからね。

また、政治家は政策ばっか考えてりゃいいってわけでもなさそうです。

わたしの知り合いにも、まるでオトナの文化祭みたいなノリで仲間を募り、手弁当で選挙活動を戦って、下馬評を覆して区議になっちゃった人がいますけど。当選後に何を為したかはよく見えてこない。ま、議員先生とはいえ一人でできることには限界があるでしょうし、ましてや右も左も分からない一年生議員です。結局、どっかの既存政党の会派に入って会派運営に忙殺されているみたい。なんか、そういうのもわたしは好きじゃない。
滅私奉公の精神だけでは立ち行かないということです。

結構な覚悟と志を持って、それを先々まで維持していくタフさ、図太さ、主権者の代表として先頭に立つ気概がないとやってられませんね。

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