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暑さの話

東北のとある地方に実家があるわたしは、つい一昨年まで里帰りしていました。年に2度。盆暮れ正月に、まだ小中生くらいの子どもたちを引き連れて帰省するのは、なんとなく一人前の大人になった証でもあり、家族の健康を報告に行くような感覚でしたかね。

だいたい15年前でしょうか、その頃はクーラーはまったくと言っていいほど要りませんでした。窓をガラッと開け放しておけば、いい風が入ってきます。

もちろん暑い日もありましたよ〜。だからクーラーは付いてました。付いてはいたけど滅多に使わない。そんな感じでした。

ところが5年ほど前からかな。わりと使う頻度があがってきて、もはや夏はクーラーがないとヤバいかもって程度にまでなりまして。とにかくカラッとしないから、体感温度が高いんです。蒸し蒸し暑苦しくて、夜も眠れない。

で、いまや30℃越えの日もあったりしますからね。酷暑が当たり前になっています。わたし自身がガキの頃は、お盆の前後のわずかな数日間しか〝夏っ〟って気がしなかったんですけどね。

でも、地球温暖化をダイレクトに感じるようになったのは、もっとずっと前。とある雑誌の取材で訪れたドイツ・ベルリンでの体験に遡ります。
その刷り上がり見本を、わざわざ引っ張り出してきて確認してみたら、2010年となってたんで14年前ですね。

もうね。到着したその日に倒れそうでしたよ。37〜38℃の記録的暑さ。

しかも、ベルリンは普段からわりと涼しい地方で、フツーのホテルには空調設備というものが〝ない〟んです。あるけど使わないんじゃなくて、ないんです。その時はチョットお洒落なデザインホテルに宿を取っていたものの、そこにもクーラーはありませんでした。

1〜2時間おきに、ホテルスタッフが気を遣って、キンキンに冷えたガス入りの水とか、アイスとかを持ってきてくれたんですけどね。タダで。うれしかったけど、そんなんじゃこの暑さは乗り切れないよ。うん、ムリですって。
さすがに2泊でギブアップさせてもらい、3日目からは市内の中心にある四つ星だか五つ星だかの高級ホテルに移りました。自腹でね(苦笑)。だってそこには空調があるんだもの。涼しかった〜。快適でした〜。

あとですね。アメリカ西海岸。
これも15年前くらいに、久々に行った際に感じたんですよ。
陽射しがね。刺すように痛かったんです。

例えば、サンフランシスコあたりは、夏らしい晴天日が続いたとしても、カラッとして、海風が適度に吹いていて、快適な印象しかなかったんですが、その時は、ジリジリと肌を灼くような痛さを感じました。なんというか、上空にバカでかいオゾンホールがぽっかりと開いていて、なんらフィルターのかかっていない空から宇宙光線が降り注いでいるみたいな刺激の強さ。

こりゃあ、シャレにならんぞ! と思ったものです。
真剣に考えないとダメだぞ、ストップ温暖化!をって。


ただ、その頃の日本ときたら……。
今みたいな臨場感が薄かったもんだから……。
きっと、まだまだ、温暖化に対する認識が甘かったんですよね。
切迫感に欠けていたんです。

「は? 温暖化? そんなもんSDGsと一緒で商売やろ」
「ビジネスのネタを作り出したい欧米のまやかしよ」
「むしろ心配なのは寒冷化じゃない?」
「なんにせよ、地球規模でいえば誤差よ、誤差」
「騒ぎ過ぎなんよ。騙されなさんな」

酷いもんですよ。誰も取り合ってくれなかったのが思い出されます。


ここ2〜3年で、ようやくですよね。
ファッションとか、一過性の流行とか、そういうんじゃなく。マジでなんとかせんとヤバいぞコレ! となったのは。
まだ、のほほんとしている人もいっぱいいそうだけど。

先日、仕事上必要に迫られ、IPCCという国際機関の評価報告書を拝読しまして。
世界中の科学者の論文や予測データを取りまとめたものです。
これがザザーッと読んでみましたらかなりショッキングな内容で。

まぁ、皆さん。嘘だと思うならご自分でお調べください。
ほんの数年後、十数年後になればわかりますが、世界は大変な状況に突入します。なんか、乱れた気流や海流をコントロールする革新的技術とか、大気中の二酸化炭素を一気に減らす画期的な浄化システムとかが生まれない限り、人の住めない地域も出てくるでしょうね。インドのムンバイ、中国の上海、日本だと東京、大阪が、海面上昇によって沈む恐れが高いそうです。

食えなくなる魚、獲れなくなる作物、きっとあれこれ出てきます。日本はせいぜい米の生育が落ちるとか、これまで作ってたリンゴやミカンがトロピカルフルーツに置き換わるとか、そんな程度で済むかもしれませんが、穀物の収穫が壊滅的な危機に晒される国なんかも出てくるでしょう。食料の高騰はインフレを引き起こし、世界経済にダメージを与えます。たぶん、もう、ひっちゃかめっちゃか。

ちなみ今日、ニュースをみていましたら、日本の年間平均温度は、1978年から2℃以上上がっているのだとか。このままだとIPCCが「最悪の場合」として警告していた「世界の平均気温が4℃上昇する世界」がすぐにやってきそう。4℃上がると、気候変動に耐えられない動植物はバタバタと絶滅していきます。富める国とそうでない国の格差が広がり、食料の供給が政治的なカードとして切られることも。紛争なんぞも増え続けるでしょうね。あ、そうそう。猛暑による不作でお米の価格が高騰しているという報道もありました。日本でも身近なところで実害が出始めています。

もうね。待ったなしなんですってば。
いい加減ね、ボーッと生きるのをやめましょう。
ガソリン垂れ流してるような馬鹿でかい車をやめてエコカーに買い替えるとか、自宅の屋根に太陽光パネルを設置するとか、冷暖房効率をあげるために窓枠交換して気密性を高めるとか、多少割高でも温室効果ガス削減に取り組んでいる会社の製品を選ぶとか。やれることはなんぼでもありますぜ。
ちなみにウチは太陽光パネル以外は全部やってます。太陽光発電とて、次の屋根メンテの時に実施できるよう検討段階に入っています。

やれることはやりましょう。いやマジで。
本当にやばいんです。

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