第10回:秘教編5|失われた文明アトランティス 現代日本との酷似
アトランティス期:第四根本人種(アストラル体の進化)
今から1850万年前、太平洋上のレムリア文明は滅んだ。
その後、金星から高度に霊的に進化した焔の君達(世界霊王サナート・クマラ)が地球に飛来する。
(これには諸説あるが、一般的には650万年前といわれている。)
この時に霊的な組織ハイラーキーが地上に誕生した。
人類は第四根本人種の時代を迎え、霊的には「アストラル体の進化」が目的となる。
それがアトランティス期といわれる時代だ。
アストラル体とは、「目には見えない感情面を司っている霊的な身体」である。
人間は、肉体の脳や心臓等の器官で情緒面を感じているのではない。
秘教では、目には見えない霊的な身体のアストラル体が情緒面を感じているといわれている。
また、アストラル的といえば、感情的という意味で使われる。
霊的な諸体の構成
秘教では、アストラル体以外にも、目には見えない霊的な諸体が複数存在する。
参考までに、肉体から順を追って挙げていこう。
① 肉体(物質体)
② エーテル体(半物質体)
③ アストラル体(情緒体)
④ メンタル体(具体的な思考体)
⑤ コーザル体(抽象的な思考体)
この五つの霊的な諸体で構成されている。
秘教的には、人の魂は身体の中で最も高度なコーザル体の中に収まっている。
魂がコーザル体から抜け出るときは、人間がお釈迦様のように解脱を果たし、アデプト(超人)と化したときである。
秘教の世界では、人間の身体を単に「肉体と魂」とは考えない。
これらの霊的な諸体は、個々に必要な役割を担っている。
古神道の一霊四魂説と秘教(神智学)の霊的諸体との比較
秘教でいわれている肉体を含めた霊的な諸体は、我が国の古神道でも同じようなことが説かれている。
それが「一霊四魂」といわれる古神道独自の霊学観である。
試みとして、以下に「一霊四魂説に基づく肉体と霊的諸体」を挙げてみよう。
① 荒魂:あらみたま(肉体:物質体)
② 和魂:にぎみたま(エーテル体:半物質体)
③ 幸魂:さきみたま(アストラル体:情緒体)
④ 奇魂:くしみたま(メンタル体:具体的な思考体)
⑤ 一霊:いちれい/直霊:なおひ(コーザル体:抽象的な思考体)
これは私が医学博士・北村博則氏の一霊四魂説から示唆を得て、秘教の霊的諸体と古神道の一霊四魂説を合わせたものである。
なお、北村博士は心理学博士号と英国国際文化勲章を受賞された人物であり、西洋の心霊科学とインドのヨガの霊学観から、彼独自の霊魂説を唱えた人物でもある。
北村博士の一霊四魂説を次に挙げよう。
① 荒魂:あらみたま(エーテル体:半物質体)
② 和魂:にぎみたま(アストラル体:情緒体)
③ 幸魂:さきみたま(シャクティサリラ:力能体)
④ 奇魂:くしみたま(メンタル体:具体的な思考体)
⑤ 一霊:いちれい/直霊:なおひ(コーザル体:抽象的な思考体)
私の場合は荒魂は肉体と解釈し、和魂はエーテル体と解釈している等の違いはあるものの、それ以外は北村博士の一霊四魂説とさほど変わらない。
また、古神道の一霊四魂説は諸説あり、一概に「これが一霊四魂だ」と断定はできない。
さらに、一霊四魂説以外にも、一霊三魂説、一霊二魂説、一霊一魂説等もあることも付け加えておこう。
このように、古神道の一霊四魂説は諸説あり、各古神道家の方は独自の一霊四魂観を持たれている。
話が複雑になってきたので、先へ進もう。
アトランティス黄金文明の終焉
アトランティス期は、現代の科学を遙かに凌ぐ黄金時代だったといわれている。
しかし、この高度な文明はアトランティス人達が自ら作り上げた文明ではなく、霊的に進化したハイラーキーの超人から人類が賜った恩恵である。
その結果、平和と秩序が約束された日々が当たり前となり、彼らは自ら思考しなくなってしまった。
いわばハイラーキーとアトランティス人は、ドラえもんとのび太の関係に成り果ててしまった。
国民が盲目的になると時の為政者も腐敗していくのは世の常で、ここからレムリアの悪夢が再来する・・・。
政治の腐敗は、為政者達の権力争いを招く。
二派の争いは国内の分裂を意味し、双方の勝敗が決するまで破壊は延々と繰り返される。
そして、アトランティス文明は、終焉を迎える憂き目に遭うこととなった。
滅亡したアトランティスと酷似する日本の現状
この話を聞いて、何か脳裏を過ぎるものがないだろうか・・・。
恐ろしいことに、今の日本国内の現状と酷似していると思うのは、私だけであろうか・・・。
日本は、明治期に西洋列強に対抗すべく、近代国家体制を敷いた。
その為に国を統一すべく、日本国民に「全体主義」の思想を強いたのである。
全体主義の下では、個人の見解は許されない。
プロパガンダとして、国がこうと決めれば、それが国民の常識となる。
それが習慣化されれば、人民はいつの間にか無意識のうちに擦り込まれ、思考する習慣を失ってしまう。
政府に反することを言えば、「滅多なことを言うもんでねぇ・・・。」と排斥されてしまう。
このように、一部の有識者が国の異常さに気づき、身内の者にその旨を述べても非国民扱いを受けてしまうのだ。
戦前の日本ではその兆候が見られ、国が暴走してもごく一部を除いて多くの人民はその非に気付くことなく、一億総玉砕の道を歩むこととなった。
(当時、日本の国民と兵士は、大本営のお偉方達の盾でしかなかった。)
しかし、戦後の日本人もこの明治期から敗戦を迎える昭和初期までに作られた「全体主義」の習慣が身に付き、未だに「右へ倣え」の国民性は全く変わらない。
それは「皆が言えば」それに合わせ、また「皆がすれば」それに合わせ、そのようにして世間体を保って、自身の身を守ろうとしているのだ。
私は疑問だ・・・それで人は「本当に生きている」といえるのだろうか。
もう一度言う。
高度なアトランティス文明を築いたのは、ハイラーキーである。
アトランティス人は、単に彼らの高度な科学力の恩恵に浴したに過ぎない。
「過ぎたるはなお及ばざるが如し・・・。」
実力が無い者は、その文明を維持することさえできないのだ。
光の勢力であるハイラーキーは、この反省から人類と距離を置くことになる。
彼らは、人類が自らの自由意志により霊的に目覚めるときを待つべく、山岳や砂漠地帯にその身を隠すこととなった。
そして、闇の勢力が侵攻してきた今、人類は三度目の滅亡の危機に瀕している・・・。
参考文献:神道の生き方
北村博士の一霊四魂説を紹介しているのは、山蔭基央氏の著書である(絶版)。
この本自体内容はとても良いものなので、霊学や古神道に興味がある方には、お奨めの本である。
推薦図書:神道の神秘
私は、長い間精神世界の中にいるが、もし「一番霊的なことを理解するのに良い本は何か?」と訊かれたら、間違いなく神道の神秘を挙げるだろう。
理由は、西洋の高度な神智学を紐解くと、どうしても理屈に偏ってしまう人が多く、実学にならないからである。
しかし、日本の古神道の理論と行法は、現実の生活に適した形の霊性の追求と実践に優れており、この本はその一助になる名著である。