第30回:音切り番外編|音霊法・体調不良はこれで治そう
音切りの番外編
私は「第25回:私の研究編|5回打っても元気な両親。何故?」の回から、伝播被害の対策の一助として「霊的な魔切り」の技法を応用できないものかと試み、立て続けに「香切り、塩切り、音切り」と世に紹介してきた。
今回も、前回の「音切り、理論・実践編」の延長としての番外編である。
音霊法、それは古神道の瞑想法
何故、番外編なのか。
それは、これから紹介する「音霊法(おとたまほう)」は、邪気を切る魔切りではなく、古神道でいうところの「自修鎮魂法(じしゅうちんこんほう)」になるからである。
なお、鎮魂法とは、古神道でいう瞑想法のことをいう。
この音霊法をしていく上で必要なものは、読んで字の如く「音」である。
必要なものは、「音」それだけ
では、何の音を使えば良いのか。
言ってしまえば、「周囲にある音なら基本的には何でも良い」のである。
基本的には、と言ったのは、あなたが周囲の音を聞いて「不快に感じない音であれば」ということを意味している。
極端な例になるが、ガラスを引っ掻くような音を聞いて心地よく感じる人がいるだろうか。
近隣のおつむの足りないバカ・・・失礼、我良しの人の家から聞こえてくる重く低くのたうつような重低音、このような破壊音を聞いて気持ちが和むことがあるのだろうか。
要するに、周囲から聞こえる「耳に不快ではない音なら、何でも良い」という意味である。
例えば、近くに川があり、その「せせらぎの音」に耳を傾けたり、また、近くに海があれば、海の「潮騒の音」に耳を傾けたりすれば、それで音霊法になるのだ。
近くに川や海がなければ、雨が降った日であれば雨音に耳を傾け、秋の夜長であれば綺麗な虫たちの鳴き声に耳を傾ける。
それだけで、古神道の瞑想法である音霊法になるということである。
音霊法の予備知識
そして、この音霊法の真骨頂は、昔から「病気の治癒に大変効果がある」というものだ。
もし、あなたが頭痛や歯痛、腰痛等の痛みを感じ、その苦しみから逃れようとするならば、今言った方法で「耳に心地の良い音を拾って、ただひたすら聞き続ければ良い」のである。
すると、何故か不思議なことに、その痛みは引いていくものだ。
例えば、このような緊急時の使い方もある。
通勤・通学中に、もし列車の中で何らかの痛みを感じて困った場合は、線路を走るガタンゴトンという列車の揺れの音(f分の1ゆらぎ)を利用することもできる。
それによって、仮に痛みを取ることができなくても、緩和することはできるだろう。
但し、何事にも個人差があるので、効果の有無はあくまで人によるが。
そして、音霊法は痛みを取るだけではなく、音霊法で病気が完全に治癒してしまう人も中にはいるのである。
誰でもできる簡単な音霊法
何故、音を聞いただけでこのような治癒の効果があるのかは、古神道を修めている人達にも、その理由は分からない。
例えば、古神道家の勅使河原大鳳(てしがわらたいほう)氏は、著書の中でこのような話を挙げている。
勅使河原氏には、脳障害を抱えた身内の人がおり、日本一といわれる医師から不治の病を宣告されてしまった。
そこで勅使河原氏が音霊法を教え、その人が一週間真剣に実践したところ、脳障害が完治したとのことである。
勅使河原氏の音霊法での病気治癒の解釈は、「音の連続音を聞く」ことにより、「脳の波動の乱れが、正確なリズムで修正される」というものだ。
あの懐かしのアナログ時計は今・・・。
従来、音霊法を行う場合は、アナログの時計の「カッチ、コッチ」というセコンド音を聞き、その音に集中しながら音霊法を行っていた。
けれど、今の時代、昭和の頃と違ってセコンド音がしない無音の時計ばかりで、音霊法に使うことができるものが少ない。
私はある時、渋谷の東急ハンズに行き、時計売り場でセコンド音が聞こえるものを片っ端から探してみたが、全くと言っていい程皆無であった。
そこで、たまたま行き着いたセコンド音が聞こえる時計は、CASIOの掛け時計、QUARTZ、IQ-131である。
但し、このCASIOの掛け時計の欠点は、秒針が左側の数字を昇っていく時に、重力の影響からセコンド音の響きが弱くなるということだ。
秒針が右側の数字を下っていく時には、重力の問題が無くなるので、音が弱くなることはない。
この問題を解決するには至極簡単で、堅い机の上や椅子の上に時計の針の面が天井を向くようにして寝かせておけば、左側の登りのセコンド音の心配は無くなる。
平らに置くことによって、秒針に重力が掛からなくなるからである。
いわば掛け時計ならぬ、寝かせ時計ということになる。
ちなみにこの時計の長所を挙げると、安価で見やすいという、この二点につきるだろう。
「音霊法」といえば友清歓真
この音霊法を強く奨めてきたのは、古神道最大の理論家といわれる友清歓真(ともきよよしさね)である。
彼は、古神道ではとても有名な人物なので、一応簡単な紹介をしておこう。
明治二十一年十月九日、山口県山口市に生まれる。
十一歳の時に神隠しに遭う。
青年時代は政治運動に集中するが、やがて宗教的な事に意識が向くようになる。
大正七年、四十五歳の時に大本教に入信する。
大本の機関誌「神霊界」の執筆で辣腕(らつわん)を振るい、大本の「四天王」と称されるようになる。
が、教団に違和感を抱き、翌大正八年、大本から離脱。
反大本の急先鋒的な存在となる。
その後、静岡の本田親徳(ほんだちかあつ)の高弟、長沢雄楯(ながさわかつたて)の元で、鎮魂帰神法(ちんこんきじんほう)を修める。
その本田霊学の実践団体として、格神会(かくしんかい)を結成。
更に格神会を発展させ、「本田霊学、宮地神仙道、伊勢の紙折符」の三つの霊統を併せた古神道の秘密結社、神道天行居(しんどうてんこうきょ)を創設する。
昭和二十七年二月十五日、帰幽(きゆう)。
以上が、友清歓真の概略である。
なお、私は若い頃に、彼の著書「霊学筌蹄(れいがくせんてい)」を読み、大変感銘を受け、古神道の行(ぎょう)に勤しむようになっていった。
音霊法の実践方法1|音の選び方は?
繰り返すが、音霊法をしていく上では、心地が良いと感じる音なら何でも良い。
例を挙げると、時計のセコンド音、メトロノームの音、ホワイトノイズマシンに内蔵されている音の種類の中から、川のせせらぎ、海の潮騒、虫の声、たき火の音等を聞くと良い。
若しくは、耳の良い方なら、自分の心臓の鼓動や脈の音でも良いし、パタンジャリのラージャ・ヨガ経典にある「空間のエーテルの響き」等にも耳を傾けても良いだろう。
(空間のエーテルの響きとは、深夜等の静かな時間帯に耳を澄ますとキーンというあの響きのことである。)
要は、自分に合っている連続音ならば、何でも良いのである。
音霊法の実践方法2|音霊法の瞑想時間は?
音霊法を実際に行う場合、何分くらいを目安に行えば良いのだろうか。
それは「各自のフィーリングで」時間を決めれば良い。
簡単に言えば、「飽きたら止める」ということだ。
というのは、現代人の殆どの方は瞑想をした経験が無いので、長時間瞑想をするのは非常にきついのである。
慣れていないと、黙って座り続けているのは苦痛だ。
例えば、カップラーメンができる3分間の間に瞑想でもしてみれば、雑念ばかりが湧いてくるのに驚くだろう。
ウルトラマンのカラータイマーと同じで、初心者の瞑想は3分間位が限界だと思う。(もちろん人にもよるが。)
なので、音霊法をする場合には、自分のフィーリングで時間を決めずに行えば良い。
但し、「病気治癒」を目的に音霊法を行うのであれば、たった数分間行った程度では、思うような効果は臨めないだろう。
また、暫くの間は、毎日根気強く、音霊法に打ち込まなくてはならない。
音霊法を「病気治癒」ではなく、古神道の「自修鎮魂法」として毎日の「行」とする場合は、一日15分から30分程度を目安に行えば良いだろう。
これもあくまで目安であって、音霊法を行う場合は、各自のフィーリングで時間を決めて行えば良いのである。
音霊法の実践方法3|音霊法を行う時の姿勢は?
音霊法を行うときの姿勢は、特にこれといって決められてはいない。
といっても、瞑想をする基本は、座法はともかく背筋を伸ばしてリラックスすることが絶対条件である。
なので、それを踏まえた上で自分に合った形の座り方を選び、音霊法を行えば良いのである。
正座でも、胡座でも、半跏趺坐でも、椅子に座っても、また布団の上で寝ながら行っても良いのだ。
(寝ながら行う場合は、横向きではなく仰臥する。)
なお、半跏趺坐をする場合は、以下の通り。
とにかく、音霊法は「背筋を伸ばしてリラックスしながら、ただひたすら音を聞き続ける」だけで良いのである。
(背筋を伸ばすのは、「気」の通りを良くする為である。)
この時雑念が湧いてきたとしても、その雑念を払うようなことはしなくても良い。
雑念が湧いたら湧くに任せて「ただひたすら音に意識を集中すれば良い」だけである。
このように、古神道に伝わる音霊法は、「誰にでも簡単に行える非常に優れた瞑想法」であるといえる。
音霊法に限らず、瞑想の効果について
おしまいに、音霊法も含めた瞑想の効果を記して結びとする。
・自身の魂と繋がる。
・姿勢が良くなる。
・集中力がつく。
・リラックスできる。
・ストレスの解消。
・気持ちの切り替えが上手くなる。
・ダイエット効果。
・稀に霊能力が目覚める。・・・等々
以上が、瞑想による様々な付随効果である。
今回は、音霊法による病気治癒の方法を紹介したが、本来、音霊法は病気治癒を目的としたものではなく、音を聞くことに集中し、それによって「自身の魂を禊ぎ、霊性を高めていく修行方法」である。
あくまで病気治癒というのは、音霊法をしていく上での不随効果であるということを認識されたい。
参考文献:幽真界研究
古神道を真に深く理解するには、必読の書。
著者は、紫龍仙道人(しりゅうせんどうじん)の高弟である勅使河原大鳳(てしがわらたいほう)氏。
神仙道の世界を深く掘り下げて書かれているので、今までよく分からなかったところまで手が届く本である。
ただし、内容が濃すぎるので、古神道の初学者は、この本を読むまでに必要最低限の基礎を身に付けておく必要がある。中級者向けの本。
興味のある方は、絶版になっている学研のブックス・エソテリカシリーズの「神道の本」と「古神道の本」二冊を、古本で購入して学んでおくと良いだろう。
推薦動画:Nature Music 〜雅〜さんの動画
出典:youtube
音霊法に使える、昔ながらの秒針の時計の音。