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【AMD Amuse】概要 - AMDユーザーに捧ぐ
おかげ様で、Googleのイメージ検索で「AMD Amuse」を検索すると、私の記事の画像がたくさん現れるようになりました。(2025/2月現在)
実験でへなちょこな画像を載せてしまうことも多いので恥ずかしい限りですが、今後ももっと高品位な(品位のある)画像を載せていきたいと思います。
前回、グラボなしでも画像生成できる例をいくつか紹介しました。
今回は、グラボなし画像生成AIの中核を担う、AMD Amuseについて概要を説明します。これを紹介している記事がなかなか見当たらないので、自分用のメモでもあります。
AMD Amuse
グラボを用いない画像生成AIは、なかなか前途多難な道のりでしたが、実はAMD自身が「Amuse」という画像生成AIのアプリを提供していました。
AmuseはAMD Radeonに最適化されたStable Diffusionベースのアプリであり、APU内蔵の780Mを含め、AMD Radeonの各種GPUでStable Diffusionのモデルを用いた画像生成が比較的高性能に行えます。
しかもこのアプリ、現時点ではベータ版ではあるものの「無料」です。登録や(生成時の)ネットワーク接続も必要なく、まさしくローカル環境で動作する画像生成AI環境となります。
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Amuseの推奨スペックはAMD Ryzen AI 300シリーズやAMD Ryzen 8040シリーズとなっていますが、手持ちのRyzen 7 7840HSでもほぼ動作しました。
AMDのRyzen 7 7840HSはRyzen 7 8840HSの一世代前ではありますが、性能的にはほとんど変わらず、CPU/GPUクロックやベンチマーク結果はむしろ7840HSのほうが高いようです。8840HSは世代が進み省電力に志向したようです。
今回取り上げるAmuseを動作させる分には7840HSのほうが少しだけ快適と言えそうです。詳しくわかりませんが、AMD XDNAなどが機能するためか、8840HSのほうが性能が上かもしれません。
いろいろありまして、手持ちのPCがRyzen 7 7840HSからRyzen 7 8845HSに変更になりました。8845HSでの生成時間は7840HSのときと比べて1割ぐらい短くなったような気がします。
ほぼ、というのは、たまにPC自体が重たくなることや、アプリが強制終了してしまうことがあります。それが、ベータ版によるものなのか、環境によるものなのか、その両方なのか、またはほかに原因があるのかは判断できません。
Stable Diffusion 3.5やFLUX.1など、一部重たいモデルは実行できませんでした。これらはさすがにVRAMが不足しているものと思われます。
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グラフィックボードを用いない環境として上記スペックを挙げていますが、AmuseではGPUを用いない環境(つまりCPUのみ)で画像生成を行うこともできるようです。当然、生成時間は長くなると予想されるためおすすめしませんが、IntelのCPU内蔵GPUを用いている方は使えるかもしれません。
ひょっとしたらという可能性を信じてインストールしてみるのもありです。
なお、これを書いている時点での最新版はv2.3.2ですが、諸事情によりv2.2.2を使用しています。バージョン違いによる動作の違いはご了承ください。
EZ Mode
初めてAmuseを立ち上げると、EZ Modeの画面が表示されます。
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Promptというところにプロンプト(いわゆる呪文)を入力して、Generate Imagesというボタンを押すと、10秒程度で4枚の画像が生成されます。
良い感じの画像が生成されることもありますが、人物の場合「目」の描画が雑です。日本人女性を描かせたときは、特に違和感があります。
使用しているモデルがおそらくそういう描画をしているのだと思いますが、EZ Modeではモデルを変更できないため、それ以上の描画は望めません。
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ある程度試したら、左下のボタンからAdvanced Modeに移行してください。
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Advanced Modeは実験的なモードであり、理解している人のみが使用できると警告されますが、使ってみれば何とかなるのでYesを押して大丈夫です。
Advanced Mode
Advanced Modeに移行できたら、さっそく画像生成をしたいところですが、まずはモデルのインストールを行う必要があります。
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右上のModel Managerというタブを選択してみてください。
Model Manager
Amuse v2.2.2では54種のモデルをインストールできるようです。それ以外にもテンプレートを用いて任意のモデルをインストールすることもできそうですが、難しいのでやっていません。
モデルはAmuseアプリが管理してくれますので、モデルをインストールするために別途ファイルをダウンロードする必要はありません。
Amuseでは、Stable Diffusionで用いられる「.safetensors」ファイルは使えません。複数のファイルから構成されるONNXというモデルが必要です。
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モデルを選択して、Download Modelボタンを押すとダイアログが表示されますので、ライセンスを受け入れて(赤いスライドボタンをONにして)からDownloadボタンを押します。
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Model Managerでは、いわゆるチェックポイントモデルの他、アップスケーラーモデルなども管理できますが、それらはもっと慣れてから使えば大丈夫です。
Amuseでは今のところ、追加学習モデルであるVAEを使用することはできないようです。また、モデルを学習することもできないようですので、インストールしたモデルの素の状態で画像生成を行うことになります。
モデルはいっぺんにすべてインストールする必要はありません。HDDやSSDの容量と相談しながら、必要なモデルをインストールしてください。のちに必要になったらそのとき追加でインストールすることもできます。
チュートリアルを行うなら、ここで「RealModelBase LCM」をインストールしておいてください。
次はいよいよ画像生成を行います。Image Generationタブを選択してください。
Image Generation
Image Generationでは、モデルを選択して画像生成を行うことができます。ほかにもできることはありますが、ひとまず画像生成のみ説明します。
一番左の縦に並んだアイコンで「Text To Image」が選択されていることを確認してください。このモードはプロンプトを入力してGenerateボタンを押すと、選択したモデルを使用してイメージが生成されます。
手順としては次の通りです。
Model Selectorで使用するモデルを選択する
すぐ下のLoadボタンを押して、表記を「Ready!」にする
Prompt欄にプロンプト(呪文)を入力する
必要であればNegative Prompt欄にネガティブプロンプトを入力する
シード値を指定するときはSeed欄にその値を入力する
他はいじらずGenerateボタンを押す
チュートリアルとして、次の操作を行った時の出力結果を示します。
Model Selectorで「RealModelBase LCM」を選択
Loadボタンを押す
Prompt欄に「Japanese fox goddess」と入力
(このモデルではネガティブプロンプトは使用できないようです)
Seed欄に「1」と入力
Generateボタンを押す
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使用したモデルが良かったのか、思いのほか美しい「狐の女神」が生成されました。
このモデルは比較的高速に処理することができ、画像生成に要した時間は4.6秒であることが下のほうに表示されています。
Seed欄の「1」は適当な値でも大丈夫です。Seed欄の右隣にある「New Seed」ボタンを押せば、でたらめなシード値が入力されます。その右隣りにある「Random Seed」ボタンを押せば、見た目は0になりますが、生成するたびに異なるシード値が使用されるようになります。
気に入った画像が生成できたときは、Saveボタンで保存してみてください。
または、モデルとプロンプトとシード値の組み合わせを記録しておけば、もう一度生成することができるかもしれません。(できないかもしれません)
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次回予告
モデルごとのライセンスについてまとめてきたいと思います。
おまけ
狐の女神ではなく化け狐が現れることもしばしば。
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