「けど、知ってた?結局僕の命は僕のものなのにね。」
画面を通してであったが、ある方の姿を通して視えた前世。
〈前世のお話です〉
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おそらく日本。
紺や青、紫色の着物を着た子供達が、広い広いお屋敷の中庭でまり蹴りしてる。
どこの子も袴のようなものを穿いている。上の着物は色がついていて、袴の色は白系であった。
袴といっても、時代劇でよく見かけるような袴ではなく、布を折り紙のやっこさんのような要領で折られ、分厚く作られた袴だった。裾は絞られていて動きやすい印象である。
また、エプロンのような前掛けをしている子もいた。
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僕は8歳くらいであろうか。
僕はお屋敷の庭に降りる階段に座っていて、まりを蹴る様子を見ていた。
自分自身の着物は上下白に近い色をしている。
僕は遊んでいる子達とは、少し立場が違う。
彼らは、名のある名家のご子息達。
僕は、神職の息子だった。
(認識としては、お互い地位的な隔たりは無く、対等なイメージである。)
青空。
運動がそう得意では無かったし、輪に入りたいとも思わなかったので一人座っていた。
ただ、早く大人達の会議なのか交流なのか、その会が早く終わらないかなと思っていた。
ぼーっと空を見ていた時、後ろから声をかけられた。
「何してるの?」
慌てて振り返った。
そこには、同じ年くらいの男の子がいた。
何も臆せず隣に座ったその子は、
「見て。あいつら。」
彼の指をさす先には、会を終えぞろぞろと出てくる大人達の姿があった。
自分にとっては厳しくて怖いと思っている大人達を“あいつら”と言う彼にビックリしていると、そのまま彼は言葉を続けた。
「あの中に、本気で僕を殺したい奴らがいる。」
唐突にそう言った。
「あの中には命をかけて僕を守ろうとする大人と、命をかけて僕を殺したい大人がいるんだよね。
これって面白いよね。
最後、どっちが勝つかな。」
あ…。
この子は、領主の血筋のご子息か…。
僕が誰か…知っているのかな?
そう思いながらも、唐突に話す内容に何だか腹が立った。
「ご自身の命を賭け道具のように言うのはいかがでしょうか。」
はっきりとそう答えた。
すると彼は、
「何が?」
とキョトンとした顔で言った。
その返事に呆気にとられ、
「何が…???」
と、聞き返してしまった。
更に彼は
「けど、知ってた?結局僕の命は僕のものなのにね。」
そう言って笑っていた。
同じ子どもなのに、大人びた雰囲気を持っていて、何も言えなかった。
しばらく無言のまま…気まずい空気だけが流れていた。
なぜ自分にそんな話をしたのだろうか。
不思議で仕方がなかった。
しばらくして親が迎えに来て、お屋敷を後にする事になった。
数年後…。
違う形で彼とはまた出会う事になる。
このお話は…また次回…。
『死なせたくない思いも、殺したい思いも、結局は同じなんだよ。どんな思いも呪種(しゅし)になる。』