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パ・ド・カトルが大優勝だった件について【NHKバレエの饗宴】
こんにちは。
ただのバレエ好きのあゆみです。
昨日、NHKバレエの饗宴を見てきて、
色々感想とか書き残しておきたいので、
今日はいつもとちょっと趣向を変えてやってみます。
(同日に東京シティバレエ団の『白鳥の湖』を見ましたが、長くなりすぎるのでそれはまた今度あげることにします。)
今日書くのは、
あくまで、全て個人の感想であり、私の直感とか見方による偏見も所々入っております。笑
ダンサーや作品を貶したり、誹謗中傷したりするつもりは全くありません。
リスペクトを込めて書かせていただきます。
それでは、スタート!!
全体的な感想
全体的にみて、「満足」。
一番感動したのは「パ・ド・カトル」
個人的に、待ちに待ったバレエの饗宴でした!!
女性ダンサーを中心に、活躍しているダンサーばかり出演の出演。
特にパ・ド・カトルの4名は発表された当初からすごく楽しみでした。
初めてのNHKホール、初めての生で見るバレエの饗宴。
楽しかったです!
ここからは作品ごとに記憶と印象に残っていることを演目順に書き出していきます。
各作品の感想
1. Variations for four
演目順が発表されて、トップにこれが来ることに結構驚きました!
でも改めて、本番を見てみて納得。
幕が開いて板付きでマントを被り立っているダンサー。
そこから1人ずつ、手をアンオーにしながら移動。
演出的には「饗宴」の幕開けにはふさわしい!
でも、
ここまでの演出があるにもかかわらず、ちょっとオーラが足りない気がしたかなぁ。
1回のみの公演のトップバッターということで緊張していたのか、幕開きの瞬間は呼吸があまり感じられない気がしました。
そのまま、それぞれのバリエーションが終わるまでは、なんとなく全体が伸び伸び踊れていない感じがあったような・・・
それに対し、コーダでは、4名の男性ダンサーの良さがそれぞれ出ていた気がします。
音がしっかり耳に入っていた感じ!
2名ずつ後ろに下がっていくところ、最後下がりすぎてダンサーに明かりが当たっていない感じがして、ステージングの残念さは少し感じました。
それでも、あの伸び伸び踊っている4名はまたみたいなと思いました!
特に、中島瑞生さん。
新国立劇場バレエ団に所属していて、来シーズンからファースト・アーティストに上がる今注目のダンサーさん。
「笑顔がなかった」という意見が挙がっていたりするが、20代半ばで彼以外のダンサーはプリンシパルクラスばかりの中健闘したのでないでしょうか?
アームスと足の置き方、日本のダンサーには中々ないノーブルさを持ち合わせている彼にこれからも注目していきたいと思います。
個人的には、王子役や、ドラマティックバレエで真ん中を踊る中島さんをみてみたい気がします。
そして、厚地康雄さん。
表現として正しいかはわからないけど、「あざといなぁ☺️(いい意味)」と思うところが所々に見えました。
見せ方を熟知しているなぁと。
日本のダンサーっぽくない踊り方するなと思ったら、バーミンガムに2度いらっしゃったのね!納得。
この作品はいつかしっかり紹介したくて、
色々調べてるんだけど全然情報が出てこない。笑
情報がしっかり見つかって、諸々まとまったらそのうち紹介するかもです!
2. パ・ド・カトル
いやぁすごかったほんとに。
ダンサーのテクニック、雰囲気はもちろん。
この作品が持つ裏テーマ「プリマバレリーナたちの意地と尊厳のぶつかり合い」すら垣間見えた気がしました。
お互いリスペクトがありながらも、自分の魅せるところや特長はしっかり見せる余裕。
世界のプリマが集まってる感じは、まるでマリー・タリオーニが出演していた時の『パ・ド・カトル』を彷彿とさせました。
そう感じさせたのは多分、
中村祥子さんがいたからかなぁと思います。
祥子さんという日本バレエ界の重鎮の存在感がエッジを効かせているのがより『パ・ド・カトル』らしさを演出していたように見えました。
欲を言うと、最初に出演予定だった金子扶生さんがみたかったけど、
代わりに出演されていた水谷実喜さん、
小柄で小回り聞く素晴らしいダンサーでした!
永久メイさんは、手足の長さ、頭の小ささ、全ての質がロマンティックバレエにピッタリ。
ロシア系の踊りをする方ってあんまり得意じゃなかったんだけど、メイさんの踊りは何度でも見たい!
そして、菅井円加さん。
音楽性が本当に素晴らしいなと思いました!
ターーーーップリ音を使ってあそこまで表現できると気持ちよさそう。
ヴァリエーションの状態の使い方は、ロマンティックバレエっぽくはなかったけど、
個性で言うとありかなと私は思います。
ロマンティックバレエの作品のイメージあんまりないけど、いずれジゼルとか見てみたいな。
キャスト変更が一番多かった作品だったけど、
まとまり具合は本当にピカイチでした。
あと、個人的に、
同じ振付家、同じような構成の『Variations for four』と比べると、
作品の世界観・完成度的に『パ・ド・カトル』の方が上回っていると感じました。
今回のダンサー関係なく、単純に作品としての比較。
ちなみに、
『パ・ド・カトル』の作品紹介は以前のnoteでしてますので、よければご覧ください☺️
3.牧神の午後への前奏曲
実は初めてちゃんとみた小尻健太さん。
(尻の字はほんとは九ではなくて丸。出てこないので、九の方で許してください💦)
ローザンヌとかで賞を取って、キリアンなどの作品にも出演していらっしゃる経歴をお持ちで、
今は平山素子さんの作品に出演したり、自分で創作したりしているダンサーさん。
経歴の通り、体がよく動く!!
コンテンポラリーダンサーだけど、バレエがしっかり体に入っているから、動きの流れは本当に見ていて気持ちがいい。
対して、今回の作品自体は、
牧神の午後という本来の曲が持つイメージとはあんまり合わないかなぁ
というのが率直な個人的な感想。
もっと崇高で印象的で官能的なイメージがあまり感じられなかったかなぁ。
ニンフ役の新国の女性ダンサー2名ももう少しイメージや雰囲気が欲しかったかな。
多分それには、もう少し動きを削ったりして「間」や「余白」を作る必要があるかも。
万華鏡という世界観は新しくて面白かった!
でも、鏡に指揮者の方が映り込んでしまったり、照明キューの多さは少し興ざめするポイントでした。
一番、牧神の午後という世界観を全身で表現していらっしゃったのは、
幕開けで舞台上手前方でフルートを演奏していらっしゃった高木綾子さんだったと個人的には感じました。
新しい観点で、『牧神の午後』に向き合い作り上げたのは本当に素晴らしかったと思います。
4.ウエスタン・シンフォニー
今回のバレエの饗宴で唯一のバレエカンパニーとしての参加。
バランシンの雰囲気と好みが溢れているこの作品は、
タイトルの通り、「ウエスタン」感あふれる作品でした!
ダンサーの皆さんは、安定していて上手な方ばかり!
スターダンサーズ・バレエ団のクラシックの公演を今度見てみたいと思いました!
一方、作品の持つ「ウエスタン」なノリや雰囲気、ちょっとコケティッシュなユニークさを感じるにはもう一歩足りないなぁと感じました。
これは、ダンサーだけではなく、オケにも言えることで、
全体的に音が大きく盛り上がっている分、逆に単調に思えてしまうのがもったいなかったなぁと思いました。
民族性の違いなのか、
イメージの違いなのか、ダンサー、オケ共に遊びが少し見えたらもっと面白くなりそう!
NYシティバレエ団がもしやることがあったらいつかみてみたい。
5.「ロミオとジュリエット」からバルコニーのパ・ド・ドゥ
永久メイさんほんとに綺麗だった。
ロングのドレスが本当に似合う。
パートナーのビクターさんは全身でジュリエットへの愛を伝えきっている感じがして素敵だった。
アントルラッセの足の開き方とエネルギーからも愛の強さを感じました。
ラヴロフスキーの振り付けのver.は初めてみたんだけど、個人的にはあんまりしっくりこなかったかなぁ。
バルコニーがなく、2人が同じ高さから始まると言うことも含めて、演出上の都合もあるかもだけど、
生きている2人のバルコニーのパ・ド・ドゥと言うより、
死後の世界でやっと一緒になれたロミオとジュリエットの幸せ溢れるパ・ド・ドゥに私には見えたかな。
とにかく幸せ溢れるロミオとジュリエットで素敵だった。
↑振り付け者のラヴロフスキー本人が踊っているものがあったので載せときます。
6.「ドン・キホーテ」からグラン・パ・ド・ドゥ
菅井円加さん、
本当に体幹が強い。
Twitterを見てるとほぼ毎日のように出演情報をみたから、疲労が溜まってないか心配だったけど、そんな心配ご無用でした。
大変失礼しました。
序盤から、バジルを引っ張っているように見えるほど芯の強いキトリ。
きっとあのキトリはかかあ天下になるな。笑
そんなことは置いといて、
ヴァリエーションの音の使い方、
コーダのグランフェッテの余裕さ、ラストのピケターンはジャンプしながらポアントで立っていく感じ、
ガラならではのものが見られた気がして楽しかった!
でも、衣裳は赤黒じゃなくて、白かゴールド系のもので見たかったなぁ。
バジル役の牧阿佐美バレヱ団の清瀧さんも奮闘していたと思います。
テクニシャンの彼ならではのヴァリエーションはVariation for fourとはまた違う一面が見られた気がしました。
アダージオは控えめ、ヴァリエーションでしっかり存在感出してくるタイプのダンサー。
↑ハンブルグバレエのドンキのトレイラーがyoutubeにあったので貼っときます。
円加さんが演じるキトリの雰囲気を感じていただけるかなぁと思います。
7.Andante
金森穣さんの新作の世界初演。
Andanteなのに、走って出てくるんだ!とふと思ってしまった始まり。
でも、
ダンサーがステージ上で物語を表現し、
照明が道標していく感じも面白かった。
短めの作品で衣裳2回脱ぐなら、最初からドレスか、ユニタードの方がすっきりしたんじゃないかなとか、
照明のキューが少しい多過ぎかなぁとは思ったけど、
個人的にあまり得意ではない穣さんの作品だけど、
今回のは、ダンサー2名の綺麗な体と大人な表現力がみれて、
高尚だなぁと思うタイミングもありました。
NHKさんに物申したいこと。
コロナ禍という状況の中、これだけのダンサーを集めて上演してくださったこと自体には心から感謝しております。
しかし、全体的にテレビ上演を意識しすぎなのではないかなぁ
と思いました。
最初の方は、作品上演後のお辞儀にたっぷり時間取ってましたが、
後半は客席がどんなに拍手をしても、明るいままで幕が再度開く気配はなし。
それでは、逆に観客を変に勘違いさせてしまうと思います。
演目と演目の間に客電を明るくすることで、観客の期待を止めさせたかったのでしょうか…??
それだと、公演全体としてまとまりが悪いので、それならば、客電をゆーっくりフェードアウトしていく方が理にかなってるかと思います。
伝え方が難しい。
とりあえず、公演全体が物切れになっている気がして、私は少し気になったということが
伝えたいです。
まとめ
総じて、今年のバレエの饗宴は満足度がすごく高かったです。
台風が来ているにもかかわらず、ほぼ満席だったことから、お客さま全体の期待値も高かったことかと思います。
来年はどんなものになるかすごく楽しみです。
また、最初にも申し上げましたが、
今回、私がここに書いたものはあくまで個人的な意見です。
出演ダンサー、振付家、オケの方、劇場の方、観客の皆様全てに
リスペクトを込めております。
ただのバレエ好きの意見として、ハエがなんか言ってるぐらいに捉えていただけると嬉しいです。
それでは、
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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