ヒューマン
紺に染まった味蕾を通じて
性的な快楽がけん玉のように跳ねる
そのピンク色は
どこか懐かしい味がする
部屋の中に落ちている
ちぢれた毛が気になりだして
剥げた床のワックスを
一時的に忘れられるのならば
ヒューマン
確かにこの感覚が君で
ああ
ヒューマン
未来でその記憶を掘り起こさなくていいほど
今が永遠なんだ
口の中で変質した唾が
大昔の獣の感覚
その味を超える愉悦は
そんなには多くないのだろう
部屋の中に浮いている
小さな羽虫が気になりだして
割ってしまったその花瓶の柄を
いつかタトゥーにすればいい
ヒューマン
これが確かに君だけの味だ
ああ
ヒューマン
痛みも永遠の無も出口のない問いも
今だけは顔を出してこないんだ