はじめのいっぽ
かつて、「あなたの言葉が好きだ」と言ってもらえたことがある。それは、必ずしも全面的な信頼でも愛情でもなかったかもしれない。それで、当時は語るという行為に自分のアイデンティティのようなものを見出していたので、そう言ってもらえることに救われた思いだった。
そして最近、「人文学の本領として肝心なのはやはり言葉だ」という言葉を聞いた。自分の立ち位置に「人文学」を置くのは、いささかおこがましいかもしれない。それでも、どこかでそういう領域とつながっていたいという思いもあり、「言葉」や「語る」ことについてもう一度向かい合いたいという気分になっている。
とはいえ、自分の語りの中に、何か面白いものや貴重な真理とでもいうべきものがあるとは思えない。私が必死な思いで紡ぎ出した言葉も、他の人は勿論自分自身にとってもゴミを捨てる行為に等しいのだろうと思う。
それでも、何かを吐き出すことに意味がある。
ゴミの中にそのひとの生活が垣間見えることがあるのだとすれば、ゴミを捨てる様子を人様に晒すことも、もしかしたら意味のあることなのかもしれない。
そう思いながら、なにがしかを吐き出していきます。
統一したコンセプトはありません。ゴミ捨て場です。