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如雨露

 昔から、なんか如雨露って好きなのだ。「如雨露」っていう名前もいい。如雨露で花などに水をあげるのは、コーヒーをペーパードリップで時間をかけて淹れるのに似て、ほっとする感じがある。花に水をあげる、というのは自分に水をあげることでもあるのだろう。
 なんか好き、と言えば電車もそう。ただ、勿論電車も好きなのだが、電車そのものよりは切符や線路の方が好きで、子供の頃に切符と鋏がセットになったおもちゃを買ってもらい、すごく嬉しかったのをよく憶えている。僕が小さい頃は、まだ東京でも駅の改札では駅員さんが切符を鋏(「改札鋏」と言うらしい)で切っていたし、ラッシュアワーには、改札の机の上が切符の紙片でいっぱいになっていた。自動改札は便利だが、時々あの時の鋏の音を懐かしく思い出すことがある。
 線路が好きだと人に話すと「なんで?」とよく訊かれるのだが、なんか好きなのだ。大好きな画家であるポール・デルヴォーは汽車や市電、駅などをモチーフにした作品も多く描いているが、とても惹かれるものがある。



 


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