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世田谷区が「乳幼児短期緊急里親制度」を来春スタート!
世田谷区が2025年度、今年4月から一時保護の必要が急にできた乳幼児について、これまでの一時保護の乳児院ではなく直接里親の元に委託できるようにするために、緊急の受け入れが可能な里親家庭を4家庭待機させる制度をスタートすることになりました!
「乳幼児短期緊急里親モデル事業」と名付けられています。
これは、2月7日の世田谷区の区長会見で発表されました。
前々回の「東京都の里親委託率が低い問題を解決してほしい!」の回に記載しましたが、これは遠藤都議にもお話した事業です。
日本財団が、大分県、福岡市、山梨県の3自治体に提案して始めた「乳幼児短期緊急里親」の取り組みで、この取り組みは成果も高いので是非東京都でも導入していただきたいと紹介したばかりです。
虐待対応などで24時間いつでも乳幼児を里親に受け入れてもらうもので、いつも万全の態勢で待機してもらうために、毎月一定金額(約10万円)を支払うというものです。通常の里親手当では対応できないので、大分県などでは日本財団からの助成で行っているとのことでしたが、今回の世田谷区では新年度当初予算案に事業費550万円を盛り込んだということです。
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(世田谷)区によると、区内では2023年度、乳幼児15人が乳児院や医療機関などに一時保護されていました。ただ、保護施設では担当者が交代で子どもたちに対応し、特定の大人が継続して接するのが難しい状況がある。
実親と離れる事情は様々でしょうが、ただでさえ不安なのに大勢の中に放り込まれてしまう、またお世話をしてくれる大人も交代制では子どもたちの気持ちも落ち着きませんね。
保坂展人 世田谷区長は
「乳幼児短期緊急里親モデル事業に着手します。特に小さなお子さん、出生して間もない赤ちゃんの場合虐待の危険があって親子分離を掛けるときに、乳児院にお願いする方法もあるが、愛着形成が非常に重要な時期には里親のところに委託することが最も望ましいと言われている。つまり保育者が毎日輪番で変わる施設よりも家庭的に預かってもらう。」
と会見で話していました。
さらに、「里親等委託推進専門員の配置」として593万円の予算化しました。
一時保護受け入れ先としての緊急里親の新規開拓や関係機関との調整のほか、児童相談所や里親支援センターと連携して緊急里親への受け入れ調整や養育サポートなどを行う専門員1人の予算ということです。
世田谷区では、2024年から2020年(令和2年度)に策定した「世田谷区社会的養育推進計画(令和3年度~令和11年度」の中間見直しを行っていました。
保坂区長が愛着形成について理解してくださり、特に乳幼児についてこうしたいつでも里親に委託することが出来る制度を整備してくださるのはとても嬉しいことです。東京都内では初めての取り組みです。こうした目標の実現のために予算化を実現したとのことで、ほかの自治体も是非参考にしていただきたいです。
まずは乳幼児の緊急里親制度の導入は、「里親のもとに委託することが一般的」、「里親がデフォルト」を児童相談所の職員にも実親にも一般にも広げていくことにつながっていくのではと期待できます。是非広がってほしい制度ですので、活用の上での失敗例なども知見を重ねて改善してさらに広げるという形になってほしいと思います。
東京は9特別区が児童相談所を開設!
ところで東京都の児童相談所は、これまで全て東京都の児童相談所の管轄で、新宿の児童相談センターを中心に、練馬や杉並などに児童相談所がありました。虐待問題の深刻化などもあり、2016年(平成28年)の児童福祉法改正で特別区が児童相談所を設置することができるようになり、世田谷区などを皮切りに現在までに9つの特別区で児童相談所が開設しています。
特別区の児童相談所開設状況
2020年(令和2年度) 世田谷区、江戸川区(4月)、荒川区(7月)
2021年(令和3年) 港区4月)
2022年(平成4年) 中野区(4月)、板橋区(7月)
2023年(平成5年) 豊島区(2月)、葛飾区(10月)
2024年(平成6年) 品川区(10月)
当初は、品川区、新宿区、文京区なども早々に児相を移管するとしていましたが、まだ実現できていません。またその他の自治体も移管に前向きと言われていましたが、専門職など人的資源の確保や予算の問題なども課題になっているようです。
少子化にも関わらず児童虐待の通報は増加している時代ですのできめ細やかな対応が期待されます。今回も特別区の児童相談所になったことで、独自の取り組みが可能になったということですが、こうした乳幼児緊急里親制度の取り組みが他の自治体にも広がっていくことを期待したいです。