日本テレビ「24時間テレビ」 今年は児童養護施設募金マラソン!
今年も日本テレビ系列「24時間テレビ」が8月31日~9月1日、「愛は地球を救うのか?」とテーマを掲げて放送されました。
毎年恒例のマラソンランナーはお笑い芸人のやすこさん。台風の中ということで初日は競技場のトラックを30km走り、沿道の応援を受けることができませんでした。2日目は、街中を走り沿道からの声援を力に変えて、足を痛めながらも無事走り終えました。お疲れさまでした。
明るく優しく気遣いの人であるやす子さんですが、2歳の時に両親が離婚、シングルマザーの母と暮らしていて生活は厳しかったそうです。そして高校生の時に児童養護施設で暮らした経験があるということで、今回は「やす子が走る!全国の児童養護施設に募金マラソン」として、通常募金とは別に全国610か所の児童養護施設に必要な品物を後日届ける募金ランを実施、4億3801万4800円の募金が集まったとのことです。(番組終了時点)
やす子さんは本当は獣医になりたかったそうですが、施設から大学への進学は100%無理と聞いて諦め、卒業後は自衛隊に入隊したとインタビューで話していました。やす子さんが途中で着ていたTシャツには児童養護施設で暮らす子供たちが将来の夢を書いていました。弁護士、社長、プロ野球選手、サッカー選手など、それぞれの将来の夢。やす子さんは残念ながら諦めた夢ですが、今は施設の児童の大学や専門学校への進学率も以前より高くなっているので、子どもたちが夢をかなえられるように今回の募金も使ってもらえると良いですね。
有働由美子さんが兵庫県神戸市のファミリーホームへ
さて番組内で有働由美子さんが神戸市のファミリーホームを訪問するミニ企画がありました。施設でもなく里親でもない、ファミリーホーム。初めて聞く方も多いかもしれないので、簡単にご紹介しましょう。
ファミリーホームは、里親の拡大版のようなイメージで、5~6人の児童を預かって暮らすので大家族なイメージです。ベテランの里親夫婦、あるいは施設職員などを経験した人が事業として行うもので、夫婦の場合は補助者1人以上、単身の場合は補助者2人以上を雇うことができます。家庭養護を推進する中で里親家庭では児童は4人までしか預かることができませんが、ファミリーホームではさらに多くの子どもを預かることができることになります。2008年(平成20年)の児童福祉法改正で開始された制度で、正式には第二種社会福祉事業で「小規模住居型児童養育事業」となります。 ファミリーホームは、現在全国に446か所。約1700人の子どもたが暮らしています
有働さんが訪ねたのは、神戸市の「なかのこの里」というファミリーホームで、40代の中野さんご夫婦が運営していました。中3から1歳までの実子4人と里子は小学3年と1年の姉弟で、中野さんのもとで3年半暮らしているとのこと。有働さんと元気に走り回り、近くの小川で遊んだり、有働さんに寝かしつけてもらったり、すっかり仲良くなっていました。子どもたちは素晴らしい環境でのびのび、よく遊び楽しく暮らしている様子が伝わってきました。中野さんは夫婦ともに児童養護施設で職員をされていたそうですが、お子さんができたことをきっかけに退職しファミリーホームをされることを決断されたそうです。
これまでの8年間で20人の子どもたちを育ててきたそうで、番組では25歳になった元里子の美咲さんが登場し、里母さんが不思議な存在だけれどとても頼りにしているということ、中野さんのところで食事の支度なども見て普通家庭の生活を体験できたことがとても良かったこと、自分も将来は里親になりたいと少し思っていることなどを話していました。中野さんも自分たちのしてきたことが間違っていないと確信できる嬉しい言葉ですね。
これまで施設では食事などの支度は職員や担当がしていて、普通の家の暮らしを知らないといったケースも多かったようです。里親家庭やファミリーホームでの普通の生活は将来自立する際にとても大切な経験になるのです。
ただ、施設も家庭的養護として最近は小さなユニット制が導入され、児童6人から8人程度で1ユニットとして運営されるようになり、一般家庭のような暮らしが推進されるようになりつつありますが、24時間2~3交代制などで職員が入れ替わるので、やはり同じ大人がいる里親家庭とは違いますよね。
子育て中の親がショートステイで子どもを預けることができるように!
中野さんは、一般家庭でも子どもの養育に疲れている方のお子さんをショートステイで預かることができるように、後ろめたい気持ちを持たずに頼ることが出来るようになれば虐待なども少し減るかもしれないと話していました。
これってとっても大切ですね。普通の親子でも子どもとずっと向き合っていて息が詰まることありますよね。そしてつい手をあげてしまうしまうことも!また、里親をされている方の中にも、養育が難しくて上手くいかずに疲れてしまうケースもよく聞きます。そんな時にショートステイで子どもを一時的に預けることが出来れば、どんなに救われるかと思うのです。
昔は祖父母が面倒を見てくれたでしょう。また、今でも一時的に田舎の祖父母の家に預けていたと聞くこともあります。親子でも上手くいかないこともありますよね。お金があれば、サマーキャンプに行かせたりもできるでしょうか、余裕のない家ではショートステイに頼ることも大切なのだろうと思いました。ただその時も、子どもたちにはしっかり説明してあげることが大切ですね。
今回の24時間テレビでは、児童養護施設や里親、ファミリーホームとそこで暮らす子どもたちについて、視聴者の皆さんの興味や理解も深まったのではと思います。多くの募金も集まりましたしね。
やす子さんは両親の離婚をきっかけに母子家庭となり、経済的に厳しい状況になって施設で暮らしたということでしたが、今は3組に1組は離婚するといわれていますので、誰でも同じような状況になる可能性があるとも言えます。でもまだこうした「社会的養護」については知らない方も多いので、まずは広く知られることが大切なのだと思いました。