赤ちゃんポスト 東京版!
「赤ちゃんポスト」というと、赤ちゃんを郵便物のように安易に預けるような語感で、ちょっと抵抗があるかもしれませんが、思いがけない妊娠で困っている女性の駆け込み寺のような存在です。熊本市にあるキリスト教カトリック系の慈恵病院がドイツで視察したこの仕組みを取り入れて、2007年に「こうのとりのゆりかご」としてスタートしました。
その後北海道石狩郡当別町にある、こどもSOSほっかいどうが、2022年「ベビーボックス」として同様の事業をスタートしました。こちらは公認心理士の方が代表の市民団体のようです。ですが、特別養子縁組団体の認可はないです。またトラブルもあったようで、今後は相談業務だけにするようにと北海道から要請されているようです.。今後は赤ちゃんを預けるのは難しくなりそうですね。(北海道から団体への要請内容)
東京・墨田区の賛育会病院で相談事業からスタート!
九州と北海道、悩んでいる女性たちは切羽詰まった状況で移動するのも困難ですが、東京墨田区にある賛育会病院が、同様の取り組みを始めたいと昨年発表し、7月から匿名での妊娠電話相談をスタートしたとしてニュースになりました。内密出産も含めた赤ちゃんポスト事業については、東京都や墨田区との協議がまとまり次第、2024年度、今年度中にスタートしたいとしています。賛育会病院もキリスト教のようですが、カトリック系かもしれませんね。
キリスト教カトリックでは人工妊娠中絶はいけないとされています。避妊は良いようですが、レイプなどで妊娠した場合に出産しなければならないとしたら、、、。養育することは辛い経験を思い出すことにつながるので虐待するかもしれない、子どもの顔も見たくない、、、。となると赤ちゃんポストは必要になるのでしょう。
人工妊娠中絶について、どう考えるかはお任せするとして、現状どうすれば良いのか、家族にも相談できず悩んでいるうちに中絶できる期間を過ぎてしまうケースも多いようです。そして出産後すぐに赤ちゃんが亡くなる(嬰児殺人、死体遺棄)というニュースがあるのも現実です。本来はこうした赤ちゃんポストや国が認可した特別養子縁組あっせん団体があるので、こうしたところに繋がってくれると良いなと思います。また全国妊娠SOSで相談できるのでこちらも利用してほしいと思います。相談窓口はこちら。
特別養子縁組について
特別養子縁組と養育里親と混同されているケースが多いようですが、特別養子縁組は戸籍上も親子になるというものです。今後一切養育できない、したくないという場合は、施設や里親に預けるのではなく、子どもがほしいと願っても不妊で悩んでいる夫婦に養子縁組することが、子どもにとっては幸せでしょう。
この場合実親さんとは縁が切れます。ただ戸籍を辿ると実親さんを知ることができるので、子どもたちが将来自分の出生、アイデンティティを調べたくなった場合に、実親さんに会いに行くことができます。これはとても大切なことですね。やはり人は自分がなぜこの世に生を受けたのか、知りたくなることがあるのだと思います。
特別養子縁組は児童相談所や民間のあっせん団体を通してできることになりますが、新生児については現状民間団体の方が多くあっせんしているようです。特別養子縁組については、法改正があり、これまで原則6歳未満の子どもが対象でしたが、今は原則15歳未満となりました。家庭裁判所に申し出た後、6か月以上様子を見てから(同居して養育の状況をみてから)審判が行われます。(2020年令和2年4月から民法改正で施行)
なぜ生まれてきたの? 出自を知る権利
自分の親が誰なのか?なぜ生まれてきたのか?考えたことはありますか?
実親に育てられた子供でも、思春期など悩むことがあるのではと思いますが、養子縁組や里親家庭や施設で暮らしている子どもはきっとなおさらでしょう。
これまでは養子縁組した子どもには「出生の秘密」として語らず、パスポートをとる時や結婚の時に戸籍を見て初めて、今まで家族で、両親だと思っていた人が本当の親ではないと知ってショックを受ける、ということがしばしば起き、時には自殺したりするケースもありました。本当の親に違いはないのですが、産んだ親ではないということですが、とても大きいことなのですね。
今は、幼い3歳ぐらいのよくわからない時から、産んでくれたお母さんが別にいて、育てている父母がいることを子どもに伝えることが推奨されています。大切に思っていること、望んで家族になったことを伝え続けることで、子どもが成長しても、状況を理解し、納得してくれるということです。産んだ親が別にいても、育ててくれている両親がいつも自分を大切に思ってくれている、ということを子どもが感じられることが大切なのだと思います。
以前、試験管ベビーとして人口受精で生まれた子どもたちが、精子提供した男性を探して会いに行くというドキュメンタリーがありました。「子どもたち」と複数にしたのは、この男性が何度も精子提供をしてお金を得ていたたため、10人以上の子どもが誕生していたためです。SNS社会で、子どもたちはお互いに同じ男性から生まれたと集まって会いに行くというドキュメントでした。子どもたちの顔ですが、眉毛の部分が皆似ているのに驚きました!
こうしたドキュメントを見ると、やはり実親がわかるということは、どんな事情があるにせよ、人にとって大切なことなのだなと感じたのです。内密出産は、出産した病院の極一部だけが知り、法的にも内密に出産するというものですから、必ず特別養子縁組にして、どこで産まれたのか養子縁組された親はいつかお子さんにそれだけは伝えられるようにしなければならないなと思います。そして病院は情報の管理は徹底しなければならないですね。
内密出産についてはいろいろ議論が分かれるところですが、とりあえず人工妊娠中絶を過ぎて、産まざるをえない命を殺さないことは大切なことかなと思います。産まざるをえなかった女性たちが嬰児殺人や死体遺棄などをしないためにも。
ただ子どもたちの出自を知る権利も守ってほしいと思います。
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