こわいもの

会社の後輩の結婚式に招待された。結婚式をするのは聞いていたが、いっしょに働いて2年も経っておらず、自分が呼ばれるとはまったく考えていなかった。祝儀袋、ワンピース、靴などを買った。

披露宴では後輩の子の同級生らしき人たちのビデオメッセージが流れていた。出てくる女の人は皆もれなく隣に子どもを連れていた。コレが幸せです!と言い聞かされているようで、それがとてもこわかった。最低な先輩だが、祝う気持ちはほとんど湧かないままだ。

最近はショッピングモールに行くのがこわい。そこで見る母親、こどもたちの、騒ぐ姿、叱る姿、笑う姿、なにを見てもこわい。その向こうにある家族の空気を感じるのがこわい。買い物は夜に行くようになった。それでもたまに家族はいる。早よ風呂入って寝ろ、と思う。

何かに怯えながら、ひとりで静かに暮らしている。

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