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工場を訪ねてみました! #3 新潟県燕市 宮﨑製作所さん
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宮﨑製作所さんは1960年新潟県燕市にて誕生しました。
自宅の一角で小さなプレス工場を営んでた初代社長が姫フォークを手掛けたのが始まりです。当時は材料にクロム鋼を使ったものが一般的でしたが錆びにくく美しく輝く18-8ステンレス鋼を使用することにしました。
ステンレス鋼とは鉄の耐食性を向上させる目的で鉄にクロムおよびニッケル等を含有させた合金鋼です。一般的にはクロム含有量が10.5%以上の鋼をステンレス鋼といい、18-8ステンレス鋼とは鉄に18~20%のクロムと8~10.5%のニッケルを含有させた合金鋼で耐食性や耐熱性に優れています
「高品質でありながら日常的に使ってもらえるハウスウエアを普及させたい」
そんな初代社長の想いから以来企画、金型制作、生産、出荷まで一貫した社内生産システムで日本製にこだわる調理道具を製造しています。
今回はそんな宮﨑製作所さんの工場で金型、プレス、磨きなど鍋ができるまでの様々な工程を見学させていただきました。
工場では全ての工程をひとつひとつ目と手で作り上げて製品が生まれていました。
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まず鍋の材料が各サイズごとに丸いプレートの状態で届きます。多層鋼の鍋の材料はこの時点で3層や7層になっています。
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始めに底面に製造ロットを打ち込み、深絞りという工程でプレス機に金型をセットし鍋の形状をつくります。そして側抜きという工程で余分な部分を切り抜き正円にします。
次に鍋の縁を巻いていくのですが、その前に鍋の底面を押し若干内側に入れる「底押し」を行います。
「一枚の鋼材から絞っているので作った鍋はどうしても外へ行く力が働きます。この工程を加えることで加熱冷却時の繰り返しの伸縮が確実に行われ鍋の変形を防ぎます。」
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次は縁巻きの工程になります。
宮﨑製作所さんには全面3層綱のObjetオブジェや全面7層鋼のgeoジオなどのシリーズがあります。3層鋼のObjetオブジェはステンレスで鉄を挟んでいます。7層鋼のgeoジオではステンレスで5層のアルミを挟んでいます。
耐久性があり錆びにくく衛生的なステンレスで優れた熱伝導の鉄やアルミを挟む事により熱伝導(鉄やアルミ)と保温性(ステンレス)の両立が可能になります。
アルミは鉄よりも軽くさらに熱伝導にも優れています。
素材が軽い分厚みを増してよりマイルドに熱が伝わり焦げつきにくいのが特徴です。
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縁巻きでは挟んだ鉄やアルミが外に出て錆びることを防ぐため、完全に端面を縁巻きし、さらに熱を加えつぶし完全に封じ込めます。geoジオの場合はアルミを削ってから縁巻きを行っているそうです。
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ロットごと縁部を確認するために無作為にカットしています。
ここでタイミングよくmiyacoffeeのシングルドリップの注ぎ口の取り付けの工程を見ることができました。ピンポイントでプレスをして見事につけられていました。
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続いては磨きの工程です。全部で7工程あり、様々なバフを使い荒磨きから仕上げ磨きまで職人さんの手を通して磨き上げられていきます。
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この磨きは徐々に平らにしていく作業となり内側も同じ様に磨いていきこのツヤが調理後の汚れを落としやすくしています。
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宮﨑製作所さんはツヤ消しの商品も作っていますが一度ツヤを出し、平の状態にしてからツヤ消しを行っているので、こちらも汚れ落ちがいいそうです。
ここにも永く使ってもらいたいひと手間がありました。
磨き終わったら各作業工程で使った油分や汚れを有機溶剤により取り除きます。
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そして包装前に表面の拭き取りと傷や不具合の検品を行い小箱へ詰めて完成となります。
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ショールームへ戻り営業企画部長の八幡さんにステンレス鍋について質問をさせてもらいました。
ステンレスの片手鍋やミルクパンでお湯を沸かして注ぐときにジュジュと音が鳴る場合がありますが、あれはステンレスの特性でしょうか。また同じステンレスの鍋でも音のするものとしないものがあるのですがその違いはどの様なところでしょうか。
「その音は温度差によって起きます。鍋を火にかけてお湯や具材が入っているところまではいいのですが、入っていない鍋の両脇、上の部分は熱がどんどん上がっていきます。それによりお湯や具材の入っているところと入っていないところでは温度差ができ注ぐ時に音がしてしまいます。ただ鍋全体の芯に鉄やアルミのある多層鋼ですと両側にも同じく熱が上がってくるため温度差が出にくく音がしにくいです。ステンレスの鍋でも鋼材により違いがあるかと思います」
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またgeoジオシリーズの鍋で、もし蓋が開かなくなったらどうすればいいのかも聞いてみました。
「具材が入っていて冷えてとれなくなったのなら再び火をかけて湯気が出てきたらとれます、焦って冷やしてしまうと余計にとれなくなってしまいます。」
本体とフタが密着する高品質構造。フタの適度な重さで蒸気穴がないため、加熱すると鍋の中の水分が水蒸気となり本体とフタの間に水の膜(ウォーターシール)を作って鍋を密閉します。定温・定圧に近い状態を保つことができるため「無水調理」「余熱調理」が可能になります。
「いいもの、確かなもので永いおつきあい」をモットーとしている宮﨑製作所さんは永く使える製品を作っています。
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・鍋のビスやネジも錆びにくくそして何年使っていてもハンドルやツマミを交換できる素材を使用されています。
・社内一貫生産にて職人さんがひとつひとつ、ひと手間を加えながら作られています。
・数年経ったらモデルチェンジというサイクルではなく製品品質を高めるために小さな改良は行っても大きな変更はせず何十年も続くもの作りを大切にされています。
・修理やメンテナンス、部品の交換を行っていて真っ黒になってしまったお鍋も新品同様研磨しお客様へ戻してくれます。
宮﨑さん、八幡さん、工場の見学、ご説明ありがといございました。
今回もご同行いただきました工房アイザワの相澤社長前回より引き続きありがとうございました。
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この日のお昼ご飯は「大むら食堂」さんへ連れて行っていただきました。
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時より無性に食べてくなる燕背脂ラーメンです、そしてまさに食べたっかた見た目、食べたかった味でとても美味しかったです。
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燕背脂ラーメンヒストリー
金属産業で有名な燕市では、昭和初期の頃から金属洋食器製造が大変盛んで、職人たちは夜遅くまで働いていました。
忙しさから出前のラーメンをすぐに食べられないことも多かったと言います。
そんな職人たちのため、地元ラーメン店で考案されたのが「腹もちが良い、濃厚で冷めにくい背脂ラーメン」。
伸びにくい麺とコクのある醤油味、丼から湯気が上がらないほどたっぷり背脂をのせたラーメンは、燕の職人やまちの人たちに愛され、親しまれてきました。
と書いていてもう食べたくなっていますね。新潟に行くたびに食べたことのあるお店が増えてきて嬉しいです。お店は2階もあり入ったらすぐに他のお客さんでいっぱいになり食べ終わって外へ出ると列ができていました。
広がる田畑を見ることで一息入れ緊張と緩和の工場見学は続いていきます、、
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