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【読書感想文】『ふたりの余命』高山環著 

高校生が主人公の本書は、若い人向けかなと思いながら読み始めましたが、テンポの良い文章にすっかり引き込まれてしまいました。

ひさしぶりの読書感想文です。

高校生の椎也と楓、そして死神ミナモトが織りなす、悲しいけれどどこか爽やかさと希望を感じさせるファンタジーです。

侍姿の死神ミナモトがどこかユーモラスで、死神という禍々しさとかけ離れていて、漫画チックな印象というのが最初の感想でした。

ただ、文章はとてもテンポがよく、実在しない死神ミナモトのイメージや、主人公の椎谷や楓の、容姿までは浮かんでこないものの、動きや情景がありありと浮かんでくるような文章で、あっという間に夢中で読んでしまいました。

椎谷と楓は共に死神に余命宣告された同じ高校に通う高校生。

妙ないきさつから出会った二人の間には、やがて友情のようなものが芽生え始めます。

なぜなら同じ秘密を抱えているから。

ラストは予想していない結末で、職場の昼休みに読んでいたのに、思わず感動で涙ぐんでしまいました。

これから読まれる方はご自宅で読まれることをお勧めします。

10代という多感で時間が永遠にあるようなときに、もし自分が余命宣告なんてされたらどんな気持ちになるだろうかと思いながら読みました。

今の私は還暦も過ぎ、人生に後悔はあれど夢や希望もそれほどないし、もし余命宣告されても素直に受け入れるでしょう。

今、余命が分かったら、残りの人生に必要なお金を計算して、海外旅行などに行って、美味しいものを食べて、会いたい人に会って、満足しそうな気がします。

超現実的ですね。

でもこれが17歳の高校生だったら?

好きな人に告白して、仮に両想いになったとしても一緒に過ごせる時間はわずかです。

万一フラれたりしたら立ち直る前に死んでしまうかも!?

そう思ったら告白もできない気がします。

夢や希望があっても叶わないと思ったら、絶望で努力することもやめてしまうかも。

自分と置き換えてみると、ふたりの生き方はとっても素敵でした。

ああ、そうだった。

若いってことは、絶望の中でも前に進める力強さを持っているんだと思い出させてくれました。

悲しい物語のはずなのに、どこかユーモラスで、希望さえ感じさせてくれる物語でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

最近はいろいろな本をランダムに読むことが多く、1冊を読み終えるのに時間がかかる傾向にあります。

電子書籍になったことで、何冊も持ち歩く事ができるメリットでもあり、デメリットでもあるかもしれません。

一時期はビジネス書のようなものを読むことが多かったのですが、小説に戻ってきました。

がむしゃらに働く時代を過ぎて、現実から少し離れた世界に身を委ねることの良さを再認識してるような気がします。

今日は師走並みの寒さとなったマネキネコ地方。

朝は雨が降っていたし真冬並みの寒さに、予定していた庭仕事を取りやめました。

こんな日は温かいものを飲みながら、猫さまとまったり過ごすことにしまうしょう。

今日という日があなたにとって良い一日となりますように。


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マネキネコ
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