辞めるという人に限って辞めない不思議
今年も残すところ10日となりました。
仕事の更新話があったことから、ふと正社員時代のことを思い出しました。
2001年から10年ほど勤めたとある企業でのお話です。
私がその会社に中途入社で入ったのが2001年5月でした。
そのひと月前に入社した、ほぼ同期の中途入社の男性Mさんがこの話の主人公です。
私が入社して1ヶ月ほど経ったある日、エレベーターで一緒になった彼が突然言いました。
「おれ、もう辞めるから」
席も離れていたし、プロジェクトチームも違ったので話す機会はそれほどなかったので、唐突にそんなことを言われた私はただただ驚くばかりでした。
「仕事がきつくてやってられない」とうのが理由でした。
彼が辞めることについて私がどうこう言える立場でもなく、相談されたわけでもなく
「辞める」と断言されたのですから、「そうですか」としか言えませんでした。
しかしそれから数ヶ月経っても、いっこうに彼が辞める気配はありませんでした。
相変わらず会えば「辞める」と言いながら、10年後に私が退職するときも彼はまだ在籍していました。
これが噂の辞める辞める詐欺です。笑
ひょっとしたらまだいるかもしれません。
ときは遡り、1990年代。
娘がまだ幼児だったころ、我が家はとあるマンションに引っ越しました。
同じ世代のファミリー層が多く、1階下の同い年の子供を持つ方とたまたま引っ越しの日が重なり知り合いになりました。
引っ越して数日後、子供同士が遊ぶその傍らでのことでした。
その方が「うちはこんなところに長くいるつもりはないから」と言うではありませんか!
え? ほんの数日前に引っ越してきたばかりなのに?
しかも「こんなところ」って……(;^ω^)
我が家も周りの方々も「こんなところ」に住んじゃってますが、なにか?笑
このマンションで親子で気が合う方が1組だけおりまして、いまも細く長きお付き合いをさせていただいていますが
我が家もお友達も数年後には「こんなところ」を去ることになりましたが
長くいるつもりはないと言ったその方は、今でもそのマンションに住んでいるそうです。
これも引っ越す引っ越す詐欺。ですかね。笑
辞めると言う人に限って辞めないのはなぜなのでしょう。
不思議です。
彼らはいったどういう心理状態なのか、いまさらながら深堀りしてみたいと思います。
◎辞める人は隠し、辞めない人は言いふらす
私からすれば「辞めたいならさっさと辞めればいいのに」と思うのですが
転職活動している様子もなく、「絶対辞める」というばかり。
同期のMさんとマンションの知人に共通していたのは、普段から愚痴、不平不満が多いことでした。
始めから不満があったのかもしれません。
もしかすると希望する(あるいは理想とする)仕事や住まいとは違っていたのかもしれません。
そういう気持ちを誰かに聞いてほしい、要するに‘’かまってちゃん”だったのではないかと思います。
誰かにここは辞めたくなるほど酷い環境なんだと同意してほしいとか
辛い気持ちに共感してほしい、わかってほしい
あるいは引き留めてほしい、自分はここに必要なんだと誰かに認めてもらいたい気持ちが強いのかもしれません。
本気でやめるつもりなど、はなからなく、枕詞のように相手の注意を惹きつけるための決まり文句として使っているのではないでしょうか。
一方、辞めていく人は直前まで辞めるそぶりすら見せません。
それどころか、真面目に仕事に打ち込んでいたりするので周囲は全く気付きません。
そして周りが気づくのは公に退職が決まったときだったりするのです。
◎辞める人は愚痴を言っても問題解決にならないことを知っている
すっぱり辞めていく人は愚痴や不平不満を言っても、何も解決しないことを知っているのです。
たまには気の合う仲間と愚痴を言うのもストレス解消にはなるかもしれませんが、問題の解決にはならないでしょう。
愚痴を言ったところで状況が改善するわけではないことを、さっさと辞める人は知っているのです。
だから目の前の仕事に精いっぱい取り組みながら、自分で環境を変えるために転職活動をして辞めていくのです。
愚痴や不平不満ばかり言っていては、周りもだんだん離れていきます。
ネガティブなオーラが出ているところに自ら近づきたい人など多くはないからです。
同期のMさんは、毎日3時になると後輩を2人引き連れて休憩室に行っていました。
一度休憩に行くと最低30分は戻ってきません。
後輩Tくんから聞いたところによると、毎日ひたすら愚痴と、職場や上司への文句を聞かされて心が病みそうだと言っていました。
結局、その後輩の方がMさんより先に転職しました。
もちろん後輩Tくんは、辞める直前までそんなそぶりは見せませんでした。
3か国語以上を操るT君は仕事もできる優秀な人でした。
本当に辞める人は、淡々とその時を見計らいながら準備を進めているのです。
件のMさんは、決して上司や先輩の前では「辞める」とは言いませんでした。
本当に辞める覚悟などないからです。
◎本当に辞めるつもりがないなら、簡単に辞めると言わない方がいい
本当に辞めるつもりがないなら、愚痴はほどほどにした方がいいでしょう。
愚痴はネガティブな感情が言葉に宿ります。
愚痴りたいためだけに「辞める」というワードを使い続けていると、置かれている環境はますます悪化するように思います。
毎日のように愚痴・不平不満・仕事や上司同僚の悪口などを聞かされるのはうんざりしますし、そのうち誰も本気にしなくなります。
オオカミ少年のように信用されなくなり、真剣に話を聞いてもらえなくなるでしょう。
結局、辞める辞めると言う人がほぼ100%辞めないのは、本気で辞めるつもりなどないからです。
辞めたい、という願望はあるけれど、辞めるために行動する勇気がないということです。
「辞める」というフレーズは、本気で辞めるつもりがないときに愚痴や不平不満の枕言葉で使うにはリスキーです。
本当に居場所がなくなる前に、行動を起こした方がずっと建設的だと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
仕事をしていれば、誰しも一度や二度、いやいやもっと何度も辞めたいと思う瞬間はあるでしょう。
少なくとも私はありました。
そのときどう行動するかは、とても大事ですね。
正直難しいと思います。
そこでもうひと踏ん張りしてみようと思い、頑張ったけど結果的にうまくいかないこともありますし
辞めて環境を変えてもうまくいかないこともあるでしょう。
それでも心を決めてどちらかの道を進まねばなりません。
自分の居場所は自分で見つけるしかないのです。
言葉と行動が一致しない人は結局信用されませんよね。
辞める辞める詐欺にはご用心。
愚痴や不平不満はほどほどに。
仕事だけでなく信用も失ってしまいますよ。
年末年始、振り込め詐欺にもご用心。
日ごとに寒さが厳しくなってきました。
体調を崩されないようご自愛ください。