「第三者委員会」を「第3者委員会」と表記してもいいの?

「第三者委員会」?「第3者委員会」?

最近、何かの記事で「第3者委員会」という表記を見かけて、それは「第三者委員会」と書かないとおかしいだろうと思いました。(「委員会」のつかない「第3者」も同様です。)

いち、に、さんと数えているわけではなく、「第三者」で一つの単語なのですから。

ただ、許容の余地がゼロとまでは言えないような気もしてもやもやとしていました。

そんな折、先ほど見つけた下記の記事でも最後に「同病院が設置した第3者委員会で検証を進めており」という記載がありました。

やはり違和感があるなと思い、検索してみたところ、産経新聞のコラムで、ぴったりのものが見つかりました。

まず取り上げるのは、「第三者」に使われている漢数字の「三」です。産経新聞の用語ルールの手引『産経ハンドブック』の「数字表記の原則」では、他の数字に置き換えても文意が通じるデータ的な数字は洋数字で書くとしています。

これを「第三者」で考えてみましょう。当事者2人ではない第3の人という意味で「第3者」と書けそうですが、他の数字に置き換えて「第1者」「第2者」としたら意味が通じません

何より「第三」とは、「相対する関係にある二つ以外のもの。当事者以外のもの」(小学館『デジタル大辞泉』)という意味を持つ立派な語句なのです。

つまり「第三者」は、当事者以外の意味の「第三」に「者」が付いて、「当事者以外の人。その事柄に直接関係のない者」(同)を表し、固定的に用いられる一つの語句であるため、「三」は漢数字で書くことになります。

「わが意を得たり」という感じです。やはり「第3者委員会」は避けるべきでしょう。

アラビア数字のことを「洋数字」と呼ぶんですね。違和感は全くないんですが、ローマ数字も存在することを考えると少し粗雑な分類のような気もします。
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漢数字vsアラビア数字 と 酸性vsアルカリ性(仮説)

酸性度(酸性・アルカリ性)に基づいて食品を並べて、グラデーションをつけて表現した図がよくありますが、「漢数字表記」と「アラビア数字表記」も同じようなものかもしれません。

試しに例を挙げてみます。
私の言語感覚ですので、異論を持つ人もいるかもしれませんが。

1.漢数字表記しかありえないもの

ことわざの多くはこれでしょうね。

一触即発(×1触即発)
危機一髪(×危機1髪)
二束三文(×2束3文)
朝三暮四(×朝3暮4)
五里霧中(×5里霧中)
一日千秋(×1日1000秋)
悪事千里を走る(×悪事1000里を走る)
千里の道も一歩から(×1000里の道も1歩から)

五十歩百歩(×50歩100歩)
「五十歩百歩」はアラビア数字表記を許容する余地もあるかなと思いましたが、書いてみて「あっ、これはないな」と思いなおしました。

千変万化(×1000変10000化)
アラビア数字だと何のことかわかりませんね。

ことわざ以外では、例えばこれら。

(カメラの)三脚(×3脚)
三権分立(×3権分立)
御三家(×御3家)
四天王(×4天王)
四方八方(×4方8方)
四苦八苦(×4苦8苦)
五臓六腑(×5臓6腑)

2.漢数字表記が自然だがアラビア数字表記もありえるもの

二人三脚(△2人3脚)
四捨五入(△4捨5入)

どちらも実際に書いてみると、「やっぱりないかな」という気もしますが、「漢数字表記しかありえないもの」にあげた単語等よりは許容度が高いかなと思います。

3.どちらでもよいもの(漢数字表記もアラビア数字表記も同程度に自然なもの)

労働三法(〇労働3法)
政治改革四法(〇政治改革4法)
十大ニュース(〇10大ニュース)
一都一道二府四十三県(〇1都1道2府43県)

その他多くの事項。

4.アラビア数字表記が自然だが漢数字表記もありえるもの

5.アラビア数字表記しかありえないもの

どちらも思い浮かびません。

産経新聞のコラムからも分かるように、「全て漢数字」から「漢数字とアラビア数字の併用」に切り替わったという経緯からすると、文句なくこれに該当する単語・表現が存在しないのは不思議なことではありません。

関連性はあるが、本稿の検討対象ではないものについて

電話番号・郵便番号は通常アラビア数字だが漢数字表記も珍しくない。
(特に縦書き時)

日付・時刻等は文脈等により、どちらも十分にあり得る。

「金額」はアラビア数字が多いが、漢数字表記も探せばあるし、手書き小切手では漢数字表記(壱、弐、参、・・・)が必須。

科学・数学等で数値を扱う際に漢数字はあり得ない。

漢数字vsアラビア数字 と 酸性vsアルカリ性(結論)

試しにリスト化してみたところ、「漢数字表記」と「アラビア数字表記」は「酸性・アルカリ性」のようなグラデーションにはならないことが分かりました。

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