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フジテレビ問題の三層構造と予防学からの観点


フジ問題の三層構造(まとめ)

■ 企業としてのガバナンス(ミクロ):

  1. 経営陣の責任:
    問題発生後、初回会計での適切な対応を取れなかっただけでなく、そもそもの事実を隠蔽しようとした可能性もあり、当然ながら経営陣の責任は逃れられない(事実、1/28時点で経営陣2名が辞任、1名が辞意を示している)

  2. 企業文化・風土:
    個人的にはここが最も根が深く最大の要因。企業文化、特に女性に対する扱い方やパワハラ問題など、深層部に存在する問題を浮き彫りに。

  3. ガバナンス体制:
    今回の問題を機に、フジテレビのガバナンス体制の見直しは不可避でしょう。人間のメンタルヘルスの予防精神学の考えでも、予防は3段階あるといわれる(以下、参照)。


  • 発生予防:そもそもの問題が発生しないような体制が必要

  • 悪化予防:問題が生じた際に、さらなる悪化が生じないような体制

  • 再発予防:類似問題も含め、同様の問題が再度起きないような体



■ メディアとしての責任(ミドル・セミ):

  1. 報道機関としての姿勢:
    フジテレビは、この問題を報じる立場でありながら、自らも問題の中心にいたという矛盾。報道機関は事実(真実)を公平に伝えるべきであるが、第三者としての客観性が必要。当事者であり、第三者であるべき、という矛盾。

  2. 視聴者やステークホルダーへの影響:
    この問題は、フジテレビの信頼性を大きく損ない、視聴者からの信頼回復に時間がかかる。現在のACジャパン差し替えに留まらず、裾長が広いメディア=報道、エンタメ、文化的機能といった民間セクターだけではなく、公共性の高い媒体である。

  3. メディア業界全体への影響:
    この問題は、メディア業界全体のガバナンス問題に対する意識を高めるきっかけとなると期待はしたい。一企業の問題は属する業界全体に波及し、襟を正す自己修正メカニズムが働くことは多い。江戸末期以降の回国日本の外圧に弱いという歴史からも考察できる。

■ 社会の構造的問題(マクロ):

  1. パワハラという外的要因:
    この問題は、単なる一企業だけでなく、社会全体が抱えるパワハラ問題の一端を映し出している。JTC(Japan traditional company)を代表する民間だけでなく、官僚、教育機関、地域コミュニティも同様に、儒教思想を中心とした上意下達、年功序列、男尊女卑というカルチャーは根強い。

  2. セクハラという内的要因:
    女性に対する社会的な扱い方、特に職場やコミュニティにおける女性に対する差別やハラスメントの問題を浮き彫りに。パワハラは一定の権限やランクなどの外的側面が強いが、特に男性から女性へのハラスメントはそうした外的要因に必ずしも留まらない。

  3. 人権というビッグワード問題(思考停止):
    そもそもこれは女性だけの問題か?フジテレビの会見でも「人権」という言葉が飛び交う中、そもそも人権とは何か?という前提が議論されないまま、BIG WORD(抽象的で曖昧な言葉)のまま。したがって、これに至る原因、真因、対応策などに具体性が乏しく、議論が深まらない。

■ 今後の展望、予防の観点から:

  1. 企業改革=「発生」予防
    この問題を契機に、カルチャー改革だけでなく、属人的に頼らないガバナンス強化が求められる。抜本的な改革がどこまでできるか?

  2. 社会全体の意識改革=「発生」「悪化」予防
    社会全体でハラスメント問題に対する意識を高めることができるか?問題発生が生じないように、ソーシャルケアは何よりも重要。

  3. メディアの役割=「悪化」「再発」予防
    今回の問題に対してメディアは本当に客観的に報道し、社会全体の議論を深め、リードする役割を果たすことはできるか?SNSでの玉石混交の情報が混ざる中、メディアの役割が問われる。


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