見出し画像

2024.9.21 Kabu Berry Lab 個人投資家向けセミナー書き起こし

フォースタートアップス株式会社(証券コード:7089)は、2024年9月21日開催の個人投資家向けセミナー「Kabu Berry Lab」に登壇し、IR説明会を行いました。

その内容及び質疑応答の概要を下記に掲載いたします。合わせて、時間内に回答できなかった質問につきましても、本noteで回答させていただきます。

なお、登壇者である当社代表・志水の個人的な意見が伴うご質問(ヘッドハンターとして殿堂入りするために工夫した点/注目しているスタートアップ企業はどこか/現状のグロース市場をどう思うか等)につきましては、ご回答を控えさせていただきます。また、皆様にわかりやすい表現となるよう、一部加筆修正を行っておりますことをご容赦ください。


スピーカー
代表取締役社長 志水 雄一郎

ごあいさつ

フォースタータップスの代表を務めております、志水と申します。昨日から名古屋に入りまして、フランスの「STATION F」という世界最大のインキュベーション施設を模倣した、名古屋に生まれる国内最大のインキュベーション施設「Station AI」 をオープン前に内覧させていただきました。ここの経営陣の皆様と、名古屋を中心とする東海地域からどのように新たな新産業が生まれるかという議論をさせていただきました。ここは、トヨタ社など日本を代表する企業が生まれた地です。大事なことはトヨタ社があり続けることだけではなく、次のトヨタ社になる企業を生み続けるということが重要だと考えています。皆様とともに、次世代の可能性あふれる時代をつくるために、新産業創出に注力しております。皆様にご理解いただいて、応援していただける機会になればいいと思っています。

アジェンダ

本日のアジェンダはこちらでございます。まず会社概要の方からお話をさせてください。

会社概要

会社紹介

フォースタートアップスは、2016年9月に法人を設立しまして、ちょうど8周年を迎えた会社でございます。皆様がIRのセミナーなどでお話しを聞く会社の中では比較的若い会社だと思います。本社は六本木にあり、後ほどお話ししますが、秋に本社移転を決定しており、素晴らしい場所で次の事業展開を考えています。

また、現在、子会社を2社抱えております。今後も多くのグループ企業を作り、メンバーたちに対してアントレプレナーシップ・経営をする機会を与えていきたいと考えています。
根幹となる事業はここにありますように、スタートアップ企業への人材紹介を中核とした成長産業支援事業、これを手掛けております。

沿革

沿革でございます。もともと上場企業の子会社の1事業でございました。中堅のHR会社でウィルグループという会社がございます。2013年、これから上場する、そのうえで事業の多角化をしたいというタイミングで私が出会いまして、そこで新規事業を立ち上げることになりました。

私自身の自己紹介も少し兼ねてお話をいたしますと、もともとはインテリジェンス(現パーソルキャリア)という会社で、新卒のキャリアをスタートしております。現U-NEXT HOLDINGSの代表の宇野さんが、インテリジェンスを創業し、私の翌年には現サイバーエージェントの藤田さんが入社するのですが、宇野さんにあこがれ、宇野さんとともに社会を変えるインフラづくりをやりたいと思って集った仲間とともにキャリアをスタートします。その後、転職サイト「doda」を作りました。これが私の代表するプロジェクトでありました。ところが、40歳を迎え、私は窓際族のおじさんになってしまいました。自分自身の課題でした。日本の今の雇用制度は簡単に首を切れませんから、私は給料を貰いながら暇なおじさんだったのです。生活は成り立つんですけども、やっぱり自分自身の存在意義みたいなものを感じたくて取り戻したくて、拾ってもらった先がウィルグループでした。

私は自らやっぱ存在価値を取り戻したいと思い、スタートアップに特化したヘッドハンターとして2013年から2016年まで活動しました。自分の存在意義を取り戻すためには努力をしなければいけない。結果、日本ナンバーワンのヘッドハンターの賞があるんですけれども、これを個人で最多受賞。殿堂入りしたヘッドハンターと呼ばれましたが、次は社会を大きくアップデートするような役割を担いたいと思い、グループに相談して分社化したいと。人材業だけでなく投資業もやりたいのだと。そのために独立した組織を作りたいということで、ウィルグループ傘下の100%子会社を作ったという経緯で、フォースタートアップスのストーリーがスタートします。

そして直近のお話でありますが、親子関係での上場という形を2024年3月に解消するということになりましたが、2023年にウィルグループの経営陣の代替わりがありました。上場会社をグループ内に維持する経営が簡単ではないという判断の下、紆余曲折を経て資本関係・親子上場を解消するという方向へ至りました。

数字で見るフォースタートアップス

売上・社員数ともに右肩に成長しております。唯一、2021年3月期に売上微増という形で終わっていますが、これはコロナ禍によるものです。

事業ドメイン

現在の事業ドメインでございます。人・お金・オープンイノベーション、この3つの分野を手掛けております。スタートアップ政策で、いま「スタートアップ育成5か年計画」が走っております。政府の根幹政策の一つですが、これも人・お金・オープンイノベーションを3本柱にしています。私たちが真似たのではなく、政府がついてきたという状況ですが、上場当時のロードショーで「私たちはいずれ国策銘柄になります」という会話をしていた中で、まさに国策となった状況です。

日本のスタートアップを取り巻く状況

日本の社会課題

本日ご来場の皆様と比較しても年齢が高いほうだと思いますが、私は今52歳です。「Japan as No.1」と呼ばれたタイミング、1980年代後半から1990年代前半は高校生時代でした。まさしく日本は世界を席巻しておりました。そのイメージを引きずって、日本は豊かだと思っていました。

今から11、12年前に、私が窓際族のおじさんになるわけですが、そのときに調べていて見えたことがあります。「日本はもう豊かでない、そして未来は暗い。」ということです。もちろん、先進国ですから生活はできます。ただ、本来、先進国で享受されるべき生活水準ではないと知りました。日本人の平均年収が上がっていない。いまだに450万円ぐらいといわれていますが、日本人の年収の中央値は200万円台といわれています。ここまで低い先進国はないでしょう。OECD加盟国の中では、賃金水準が26番目ぐらいです。イタリアとかスペインとかポーランドがほぼ生活水準が近い。そんな状況に気づかず、日本を取り巻く環境が危ない状況なのではないかと思ったのが11年前です。

世界を見渡してみると、新産業側のバリュエーションがどんどんアップしていました。例えば、日本は大企業至上主義です。これが世界共通であれば、いまの米国の時価総額のトップはIBM、AT&T、GE、GMであるはずなんです。現実は違います。この時代のリーダーシップがある人は、この時代に自らがトップになり、この時代に合わせた課題解決でイノベーションカンパニーを生み出しているんです。日本は、学校教育でそう教えなかった。だからトヨタを作ろうではなく、トヨタに勤めようといいます。似て非なるものです。そうやって日本の優秀層は起業しない。新産業が生まれず、少子高齢化・若年労働者が減っていき、一人当たり生産性が低く、外貨を獲得できる企業が少ない結果、GDPが落ちていくんです。今後、GDPは世界で12位まで落ちるといわれています。

日米のイノベーションモデルの違い

図がありますが、さきほどお話ししたようにこの時代のリーダーとなるべき人が、新たにこの時代のトヨタやソニーをつくること。これがキーだと思います。それが今でいう、イーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグ、サム・アルトマンなど米国を代表するような新たな破壊的イノベーションを起こすスタートアップ軍・メガベンチャーを生み出す・生まれ続けるというトレンドを作り出しています。日本人もできます。性格の問題といわれていますが、全く違います。やっていないだけです。

『スタートアップ支援』が国策となった

2022年にスタートアップ支援が国策となりました。岸田政権がスタートアップ創出元年というものを発表しました。東京大学の2022年4月の入学式での総長式辞は、東京大学はアントレプレナーを生み出すための学校であるのだという強烈なメッセージを出されています。

大学という場においてみなさんの多様な能力と可能性を尊重し、育んでいくことの大切さは、本学が取り組んでいる起業家教育の理念とも深くつながっています。本学が目指すべき方向について定めたUTokyo Compassのなかでも、東大関連ベンチャーの支援に向けた取組みを積極的に進め、2030年までにその数を700社にするという目標を掲げています。なぜ、私たちはいま、起業にスポットライトを当てているのでしょうか。

起業への注目は、本学が社会における大学の意義を問い、課題に粘り強く取り組む力、新たな解決への可能性を発想する力、そして他者と協力してそれを実現する力を育もうとしていることと深く関係しています。社会において求められる人材の多様化に合わせて、卒業後の進路も急速に多様化し、新たな事業を生みだす人の割合も増えています。東京大学は、社会が直面している課題の解決に貢献する新たな業(ぎょう)を起こすことを支援しています。さらには現状ではまだまだ少ない、本学発の女性の起業家を数多く生みだしていくことにも、力を注いでいきます。

(中略)

ITベンチャーをはじめとした起業が盛んな国々と比べますと、日本ではスタートアップ企業の少なさが際立ち、その背景事情の一つに「日本社会は、挫折や再起に対して冷淡である」というナラティブがあるとされます。しかし、起業のような新たな取り組みにおいては挫折や失敗はつきものであり、そもそもそのような挫折の経験を物語として語ること自体にも大切な意味があります。本学では起業家教育に関する実際の取り組みとして、起業を目指す学生の相互交流や関連企業とのマッチングなどを目的とした各種のインキュベーション施設を運営するなどしています。みなさんも、少しでも関心があればぜひ勇気を出して、本学での起業をめぐるポジティブな語りと対話の輪のなかに、一歩足を踏み出してみて下さい。そこにはきっと、教室での学びとはまた違った新しい世界が広がっているはずです。

令和4年度東京大学学部入学式 総長式辞

それから日本はスタートアップ政策を推し進める上で模倣している国があります。フランス・韓国です。日本は劣後していますが、今動かなければ、イノベーションが起きない・グローバルでの成長力のない国家へとシュリンクしてしまう可能性があります。「スタートアップ育成5カ年計画」が第一弾として発表され、スタートアップへの投資額が過去10年で10倍に成長してきている中、次の5年でさらに10倍にしよう(直近15年で100倍にしよう)というじゃないかと。リスクマネー、事業会社の資金をスタートアップ・起業家に投資していこうという動きがあります。

スタートアップの資金調達環境

その中で、日本のスタートアップの資金調達市場がどうなっているかをお伝えします。本来であれば、 右肩に上がるべきなんですけれども、直近一年半ぐらい停滞している。世界的に「スタートアップ冬の時代」と言われており、日本も若干影響を受けています。ただし、もともとの規模が小さいこと、スタートアップ政策が下支えしていること等により、米国ほど下がっていないという状況です。

東海地方はスタートアップ創出への熱が高い

今日は東海地域、特に名古屋の皆様とお話しさせていただいていますが、この地域はトヨタをはじめ日本の主たる産業が生まれた地ですので、次のトヨタのような企業をどう作っていこうか、という意志を強くお持ちです。大村知事とも一年前に私の記事をお読みいただいて「お話ししたい」ということからはじまり、この地域から次のトヨタを生む仕組みをどのように作るかという議論を喧々諤々とさせていただきました。ほかにも愛知県と組んで、ディープテックがどう生まれるのか、愛知のスタートアップをグローバルデビューさせていくかという議論をさせていただいています。

事業内容

事業ポートフォリオ

事業内容でございます。私たちは人・お金・オープンイノベーションをやっていますが、売上構成比としては、タレントエージェンシーが第一の事業であり、人と起業の支援をしています。 企業側には経営幹部や事業幹部の紹介、個人向けには起業や有力なスタートアップでの幹部ポジションへの転職の支援をしているというふうに捉えていただくとわかりやすいですね。

オープンイノベーションが第二の事業です。現在は、「Public Affairs」と呼んでいるスタートアップの公共政策の支援、「STARTUP DB」というデータベースと「GRIC」というカンファレンスの運営をさせていただいております。
ベンチャーキャピタルは、売上高構成比がゼロとなっていますが、イグジットがありませんので0%となっています。

タレントエージェンシー|業界ポジショニング

基幹事業であるタレントエージェンシー、このポジショニングを説明します。私たちはスタートアップに特化し、経験豊富層側に寄っています。

タレントエージェンシー|支援事例

どんな支援ができているのか、これはTo Bのほうでの支援の一例です。例えば、千数百億円で上場したタイミー社では、フォースタートアップスからの紹介で120名程度の方がご入社されております。CFOをはじめ、幹部陣の半分ぐらいがフォースタートアップス経由での入社という企業です。

かつてはメルカリもそうでした。そのような企業が上場していく姿を人材面からフォースタートアップスが支援しております。当然ながらリクルートやパーソルなどの大手企業にもスタートアップ企業向けの部隊がおります。規模はあるのですが、ハイレイヤー人材、意思決定ができる方やマネジメントのできる人材分野においては、私たちに優位性がある状態です。

タレントエージェンシー|強み

私たちがリードできる理由があります。1つ目は、データドリブンというところです。上場企業であれば情報開示義務があります。うまくいってもいかなくても開示で情報を知ることができる。一方で、未上場企業には情報開示義務がありません。メディアに多く出ていれば良い企業というわけでもありません。正しく未上場企業の市場を可視化するための仕組みを自分たちが持たないと、次なる成長力となるスタートアップに人とお金を支援していくことができません。

続いて、ネットワーク。年間200回、日本を代表する起業家や経営陣が自分たちの事業戦略を、社員に対してプレゼンをする機会があります。それを私たちは常に聞ける場を作っています。

支援実績については、役員・幹部の2分の1、社員の4分の1がフォースタートアップス経由で入社している企業が多くあります。起業家を支え、起業家に投資しているベンチャーキャピタルの皆様と私たちが連携し、企業の成長を三位一体で支援するというモデルを展開しています。

Public Affairs |支援実績

次に、オープンイノベーション分野でございますが、こちらが、Public Affairs(パブリック・アフェアーズ)。スタートアップの公共政策支援でございます。私たちは強みを持っています。この図がまさにそうですが、内閣府が定めたスタートアップエコシステム拠点都市構想になるものが発表されており、東京そして東京以外のエリアから次の上場企業・ユニコーン企業を生む、なぜならそういう企業が生まれると雇用が生まれ税収が増える、こういう取り組みたい首長は多い。そういう取り組みの中で、8拠点中7拠点の地域で、札幌以外の地域で何らかのスタートアップ・エコシステム形成のご支援をさせていただいております。

STARTUP DB

こちらが、STARTUP DB(スタートアップデータベース)という、日本の未上場企業の市場を可視化するためのデータプラットフォームです。2018年から作り、会員数ナンバーワン(※東京商工リサーチ調べ。有料、無料会員数合計。2023年6月末時点)です。

カンファレンス「GRIC 2024」

私たちの世界観を皆様がオンラインまたはリアルで体感いただけるとしたら、このGRIC2024が良い機会です。11月の12から14日までの間、12から13はオンライン、14日は東京・渋谷のヒカリエで行いますが、日本を代表する起業家、経営者、投資家、そして世界を代表する投資家、企業家の皆さまが一同に集い、日本のスタートアップをどう応援するのか、日本からどうイノベーションが生まれるのかという議論をさせていただく場がございます。

こちら無料でご視聴・ご参加いただけます。今回は、楽天の三木谷さん、経済同友会の会長であるサントリーの新浪さん、堀江君(堀江貴文氏。志水とは中高の同級生)、 あとは未発表ですが、著名な芸能人の方を含め、たくさんの方にご登壇いただく予定です。

ベンチャーキャピタル

子会社でファンドの組成をしており、現在6社の出資をさせていただいております。比較的有力なチームへの出資をさせていただいている事業だと思っています。

2025年3月期の概要

2025年3月期通期計画

2025年3月期の概要でございます。20%の売上高成長、営業利益・経常利益は5%強の成長となります。売上高の成長に対して、利益が下がっている要因は、オフィス移転です。私たちは全員出社を基本方針としておりますが、もう手狭でございまして次の成長に向けて拡大をしていくことを決定しております。引っ越し費用・家賃が二重で発生する影響等、約1.8億円を見込んでおります。

2025年3月期第1四半期業績

こちらが第一四半期の業績です。増収減益となっていますが、計画通りです。受注も堅調に推移しております。

2025年3月期第1四半期営業利益前期比較

営業利益の前期比較です。第一四半期でいうと5,900万円の本社移転関連費用が入っております。

全社(連結)|売上高の四半期推移

タレントエージェンシーの四半期売上高が過去最高となっていますが、私たちはこのタレントエージェンシーが利益ドライバーの事業でありますので、ここの成長が重要であると考えております。

全社(連結)|受注高の四半期推移

受注高で見ると、まさに堅調です。

タレントエージェンシーにおける受注は、紹介した求職者の入社意思決定をした場合に、手数料収入額を受注高として計上しており、入社日に売上高を計上しております。
オープンイノベーションの受注は、それぞれのサービスにおける売上に関わる契約等のタイミングで受注高を計上し、役務提供をもって売上高を計上しております。

25/3期の重点投資ポイント

今年度の重点投資ポイントと書いてありますが、根幹となるタレントエージェンシーの売上・利益の持続的な成長をさせていきたいと考えておりますので、必要なこととして「人」と「環境」へ投資していきます。人は採用・育成、環境はオフィスの移転になります。タレントエージェンシーでしっかりと利益を確保し、オープンイノベーション+ベンチャーキャピタル+新規事業への投資を進めていきます。すでに公表しておりますが、今年の4月より副社長のポジションを設け、恒田という女性が就いており、タレントエージェンシー・オープンイノベーションを担当しております。私は新規事業の開発を進めています。公表できることはありませんが、2つ・3つほど、進んだら素晴らしいと思える事業を準備しております。

ここまでやってもしっかりと利益を出せるので、原則、再投資に使っていきますが、株主の皆様にどう還元できるのかを経営会議の重要課題として議論を進めております。その第一弾として、3億円の自己株式の取得を公表させていただきました。

オフィス移転

今は六本木一丁目の泉ガーデンタワーというメジャーなオフィスビルにおりますが、今回新たに竣工した「麻布台ヒルズ」に移転します。ミーハーだからではなく、理由があります。麻布台ヒルズには、「Tokyo Venture Capital Hub」という70社のベンチャーキャピタルが集う拠点があり、フォースタートアップスの事業モデルはベンチャーキャピタルで投資している皆様からのご紹介等で成り立っていることもあり、皆様との関係は重要でございます。そのため、同じ場所でともに戦おうという考えのもと、移転いたします。

こちらは、起業家や投資家が壇上で自分たちの事業戦略や投資理由を語り、私たちの社員がこちらでそのプレゼンを聞くという「勉強会」に活用できるイベントスペースになります。

中期業績目標

中期の業績目標としては、来期に50~55億円の売上高、利益率は15%を設定しており、7.5~8.2億円の利益を創出できると考えています。

自己株式取得を決定

自己株式の取得です。取得総額3億円、取得株式数25万株を上限とし、取得期間は1年間としています。

わたくしからのご説明は以上でございます。

質疑応答

前期退職者が上昇した要因と対策について教えてください。また、今期の退職率の状況はいかがでしょうか?

一定の割合で退職者が発生するものと考えています。理由は、良いスタートアップ企業を知ることができる「隣の芝生は青く見える」状況にあるからです。どのスタートアップ企業にいけば、何年で上場し、ストックオプションの付与率はどのぐらいで、どのぐらいの報酬を得られる見込みがあるか。こういったことをメンバーは知っています。スタートアップ企業以外にも、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)や大企業の社長室でスタートアップ企業と連携するチームが、当社社員をリクルーティングする傾向があります。ただし、ハイパフォーマーであれば、インセンティブなども発生しますし、意味報酬を含めて得られるポジションですので、そういうメンバーほど辞めていないのが現状です。

対策としては、あるデータをとっています。『Kokorozashi指数』というものですが、社員が入社した後の志の変化を記録しております。社外取締役として日本の志研究の第一人者である田久保氏がおり、人材戦略のサポートをしていただいています。社員の志が低くなっていないかを定量的に把握しながら進めています。

私たちは採用力があります。新卒においても、中途においても採用力がありますので、その採用力を持ってしっかりとええ採用を達成する。退職についてもこのぐらい辞めるのではないかという予測値をたてています。しっかり純増数を確保していくことが重要です。現時点では私たちの事業計画どおりに推移しているとみていますので、現時点では影響は出ていません。

日本のスタートアップの環境の把握、情報を知る機会が多くありますので、その教育をした機会・コストからするとメンバーの離職は損失ですので、一人でも少なくしていきたいという想いはあり、そのための施策を実行していっております。

当期、家賃等1.8億円がかかるという説明がありましたが、来期以降に移転費用が発生する可能性はありますか?

契約の問題なので言いにくいのですが、現行のオフィスの契約は年度内で終了、移転先との契約はスタートしており、工事期間中にかぶっている部分がありますが、来期以降に持ち越すことはありません。ただし、床面積が増える分の地代家賃の増加は発生いたします。

新オフィスは、従業員何名ぐらいまで収容可能でしょうか?

現在、220名ほどメンバーがおりますが、400名~420名ほど行けるのではないかと考えています。

4月に従業員持株会の奨励金の付与率を8%から20%に引き上げることを決定されていますが、持株会の加入状況はどのようなものでしょうか?

加入は促進されていると思っています。 ただし、まだまだ加入させきれてないことも実情だと思っています。これは当社の株価変動が大きいからだと思っており、社員も、自分の生活資金の一部を出せる、出せないはあると思います。また、かつて持株会よりもストックオプションを重視していましたので、ストックオプションに目がいっているという状況があります。IRとともに加入率の向上は図っていきたいと考えています。

人材紹介業は業界特化型でいろいろあると思います。管理系人材のMS Japan社や介護系のSMS社など。スタートアップ業界という切り口での特化は当社以外になかったのでしょうか。

上場している企業ではありません。未上場では先行している企業が複数ありました。私たちは後発参入です。今は業界のリーダーと呼ばれるようになりましたが、自分自身が転職サイトdodaを作って、そこが転職サイトの業界1位を争うレベルになっていることを考えると、そういう事業を作ることができる自分自身であれば、この業界を席巻できると可能性が高いと考えていました。

MS Japan社と比較すると売上高は当社の倍、従業員数が変わらない。ということは一人あたりの生産性はMS Japan社の半分です。JAC Recruitment社も生産性が高いですが、この差はなんでしょうか。

ご指摘は正しいものと思います。理由は2つあります。1つは私たちは創業8年ということもあって、全メンバーの実力値を引き上げられていない状況であります。2つ目は、誰もスタートアップの人材紹介をやらない、日本の雇用においてスタートアップに就職することが当たり前ではないからです。

もともとは給与水準が低いマーケットと捉えられておりました。私もインテリジェンスにいた頃は、大企業・外資コンサルティング会社にお金があり、スタートアップは難しいとストレートに部下に伝えていました。

ということは、他が参入しにくいマーケットがここにあるということです。その環境の中で、営業利益を出しながら売上高成長をできるモデルを唯一作っているのではないかと思います。

タレントエージェンシーはハイレイヤー人材の確保が肝だと思いますが、こういう人材はいわゆる選り取り見取りの状態で、自分が選ぶ権利がある人材だと思います。その中で当社が選ばれている理由を教えてください。

まずはSTARTUP DBでデータを保有しており、自社で登記簿も取得していますので、どの会社がどのぐらい資金調達をされていて、従業員数がどう伸びているか、どのベンチャーキャピタルが投資しているかも把握しております。私は日本ベンチャーキャピタル協会を運営する一人です。当然、普通はベンチャーキャピタル協会は投資家で構成されています。私たちが投資業をやっていないヘッドハンター時代からになります。自分たちの投資先のパートナーとしてできるのはフォースタートアップスであるということを認識頂いているので、その役回りを担っております。ここから得られる情報に加え、起業家による勉強会でご来社いただける、という話をしております。大手HR業者にはそのような環境がありません。

そのような環境で、私たちのヒューマンキャピタリストと呼んでいるコンサルタントたちは、どの企業がどのような成長戦略があり、そのための経営課題は何で、どのような人材を獲得してグロースさせたいかを、メンバーレベルでも語れるほど力が付きます。求人はたくさんあるけど、フォースタートアップスのコンサルタントに話を聞いてみようとなる理由があり、そこでリードできていると考えています。

11月に開催される今回のGRICの登録目標人数はどのぐらいでしょうか?

前年度もだいたい1万人ぐらいでしたが、それ以上になればうれしいです。

投資事業を行っている企業はどうしても業績変動の観点から株価が割安になると思いますが、お考えをお聞かせください。また、投資先の評価損が発生しましたが、収益化の確立が高いことは理解できるもののフォースタートアップスがやる必要があるか、という疑問があります。現在の事業ポートフォリオに対するお考えを教えてください。

上場企業が投資業をやるべきかどうかということは一定議論があると思っています。当然ながら投資先を評価損というものが発生する可能性がありますので、連結させるべきか、一行連結させるべきかという議論はあります。今後、ほかの投資業の可能性もありますので、適切に検討していきたいと思います。

私たちの投資業の考え方と、実態にズレがあることは認識しています。私たちの現在のモデルは、ベンチャーキャピタルの皆様が投資した期待している企業jに対して、経営幹部から組閣をし、会社の成長を支えます。次の投資タイミングになった際にフォースタートアップス側から有力企業に対して出資のお話しをさせていただきます。その際にそのご依頼を受けていただける可能性が高いです。ベンチャーキャピタルの皆様からみても、良い企業を見極めて投資ができる可能性が高いということは、勝ち筋であるという見立てをしておりました。

一方で、ベンチャーキャピタルの皆様の評価が高い企業は、もちろんバリュエーションが高いです。そのうえでグロース市場の課題が起きました。今の未上場企業が上場する際には、上場企業の企業価値からコンプスをとります。SaaSの企業であれば上場しているSaaS企業がどのぐらいのバリュエーションか、企業価値かということをみるわけです。その結果、未上場企業のほうがバリュエーションが高いというケースがものすごく多い。業界全体で会話されていることですが、未上場企業の株価も上下させないといけないです。ベンチャーキャピタルが儲かりにくくなると、ベンチャーキャピタルに投資している機関投資家がより多くのリスクマネーを投入しない、という構造になってしまいます。未上場企業のセカンダリーの市場形成の話が今盛り上がっているという状況です。こういった状況を踏まえ、スタートアップ企業のIPOタイミングが後ろにズレているということの影響も出ています。

今後の投資業のあり方に関しては、改めて自分たちも考え方、戦略に関して整理をしていきたいと思っています。

アメリカで政策金利の引き下げがございました。この政策金利引き下げはスタートアップ資金調達環境への影響はありそうでしょうか?

あるとも言えるし、ないとも言えますが、日本においては今やスタートアップ支援が国策となり、いわゆるリスクマネーを国の年金機構から出していこうとうするほど、日本経済の再成長が実現しないという背に腹は代えられない状況です。米国の政策金利の影響を受けるほどの状況にはないと思っています。

スタートアップの資金調達市場が回復している実感はありますか?

フォースタータップスが見ている市場は回復感があります。先ほどお話ししていたような私たちの主要顧客軍はスタートアップのスーパースターと呼ばれるチームが多いです。ITドメインでいうとSaaSビジネスになるわけですが、2023年に筋肉質な経営を求められていた企業群が2024年入ってから採用強化に戻ってきました。また、マーケットのトレンドが明確に変わりました。かつては資金調達の中心がSaaS企業でしたが、いまはディープテックが上位をしめます。大学発スタートアップ。核融合・新エネルギー、宇宙とかです。とあるベンチャーキャピタルの投資委員会にかかる案件の7割が地方案件。ですので、マーケットが大きく変わってきています。そのトレンドを踏まえながら、戦略を柔軟に変えて人材を支援していくモデルですので、変化のタイミングは私たちにとってチャンスの時だと思っています。

件数が、年単位で見ると横ばい状況であることがとても気になります。単価上昇が大切な役割を果たしている結果だと思いますが、件数横ばいの状況をどのように分析していますか。また、第1四半期の業績でみると件数が195件となっており、掛け算をすれば増えていると想定できるのですが、採用したメンバーの成長が進んでいる結果と評価してよいでしょうか?それとも顧客を増やしている影響でしょうか?

ポイントがあります。いわゆるSaaSバブル崩壊と連動しています。セールスフォース社に代表されるような「ザ・モデル」と呼ばれるビジネスモデル、インサイドセールスやカスタマーサクセスなどの分業型でセールスを行うモデルが横行していたのが2022年です。となると、SaaS系企業の大半は大量採用であり、幹部採用やプロダクトを作る人材よりも、メンバークラスの営業人材を数多く採用するという時代が2022年でした。実際に、私たちの単価が280万円ぐらいで推移しています。

その後、BtoB SaaS企業が、赤字でもいいからと言われていた時代から、ちゃんと利益を出す必要があるといわれるようになり、ビジネスモデルを転換します。それは、マーケティングをかけてスモールビジネスの顧客を獲得するという従来の手法ではなく、大企業向けエンタープライズセールスを強化して、大企業顧客を獲得するという手法への転換です。こちらは、ハイレイヤー人材が求められる領域です。そのため、私たちも、人数を支援するモデルから質を支援するモデル、いわゆる難しいポジションの支援への変更を求められ、しっかりと対応できた結果だと考えています。

既存事業を副社長が、志水社長は新規事業やアライアンス部分を行っているというお話ですが、こちらは重要である既存事業が軌道に乗っているという理解でよろしいでしょうか。また新規事業はどのような領域と考えればよいでしょうか。

タレントエージェンシーの成長において私が考えていることは「権限移譲」です。そして権限移譲した先の適切なマネジメントが私の役割で、両輪を回していくことが持続的な成長のために重要であると考えています。現在、以前よりタレントエージェンシー事業を任せている恒田に、フロント系の事業を任せております。タレントエージェンシーにおいては、課題がある中でも課題を解決しながら成長してきたという認識を持っており、その実績を持って、第二の事業も含めて成長を実現してもらいたいと期待しております。

そのうえで、私自身が今アライアンスなどをやっておりますが、前期親子上場解消の際に資本業務提携を進めてまいりました。新たな株主をお迎えし、皆様と共に新たな事業の創出に動いております。新たな株主だけではなく、ほかの事業者とも業務提携のうえ、共同事業の模索を進めています。

どんなドメインでやるかというと、私たちは「成長産業支援」事業者でございますので、その部分に特化した最適なソリューションを作れる部分が複数ありますので、そこを今整理しながら進めているという状況です。

当社の人材紹介で問題だなと思うパターンはどのようなケースがありますでしょうか?

クレームというか、こんな人と違ったよとか、そういうことでしょうか。私が大手HR業者で人材紹介をやっていたときより、早期に退職されるケースは少ないなと思っています。私たちの顧客であるスタートアップは競争力のある会社であり、お会いする求職者の方もハイレイヤー人材にお会いしていますので、その掛け算であることが理由ではないかと考えています。

時間内に回答できなかった質問に対するご回答

従業員は増えるけどスタートアップ業界が冷えて仕事がなくなる心配はありませんか

2023年の上半期に「スタートアップ冬の時代」と呼ばれる時代が到来し、現時点でもその影響は残存しておりますが、当社は着実に成長してまいりました。採用を止める企業も一定数出ていましたが、一方でこのタイミングを採用のチャンスととらえ採用活動を強化する企業も多くございました。「スタートアップ」には、様々な業種・業界に属する企業が存在しておりますので、各社の採用ニーズを的確に把握したうえで柔軟に対応ができるため、ご指摘の状況にはなりづらいものと考えております。

2023年にデータベース企業への支払い漏れがありました。こちらの総括と、今後同じようなリスクはないか、改めてお話しいただきたいです。

2024年3月期通期決算説明資料のP.13に記載のとおり、再発防止策に記載した運用体制を整備し、過年度決算訂正に関する問題はすべて解消しております。また、リスク評価委員会を設置し、リスク管理及びその状況をモニタリングしております。なお、現時点においては、各データベース業者との関係値は良好に推移しております。

ビズリーチ社のようなデータ会社が、サービスの一環で、御社と同様のサービスを始めることは考えられないですか?

ビズリーチ社以外に当社が利用させて頂いているデータベースの運営会社は、すでに人材紹介業を展開している総合HR企業であると認識しております。ビズリーチ社につきましては「大企業によるダイレクトリクルーティング」が主要ドメインであり、私たちの「スタートアップ企業向け人材」の領域と異なる部分を強みにされているため、当社と同じドメインでの事業展開を進める可能性は低いのではないかと考えております。

2026年度の売上50億円~55億円の前提を教えてください。10%程度のぶれは十分あり得ると思います。あえて、このレンジを発表した背景は理解しておきたいです。

2022年に日本政府は「スタートアップ育成5カ年計画」を公表しております。国内外の金融情勢の影響もあり、この計画の肝であるスタートアップの資金調達額は発表当時の水準からほとんど変化していないという状況ではありますが、仮にそのような状況が続いたとしても達成すべきという水準と、資金調達額の増加傾向など当社を取り巻く環境に前向きな変化が起こる可能性を踏まえた場合に達成すべき水準として、あえてレンジで発表させていただいております。

タイミー社はタレントエージェンシー事業のお客様になると思いますが、ベンチャーキャピタルとして投資できなかったのでしょうか。

先方の資金調達の方針やタイミングなどで実行できない場合も多くございます。当社が目指す「人とお金を組み合わせたハイブリッドキャピタル」を実現する上では、投資候補として十分可能性のあるものでしたので、皆様にご期待いただけるようなベンチャーキャピタル事業の運営を実行してまいります。

少し気の早い話ですが来期の採用方針について教えてください

まずは今期の採用計画を達成することが重要と考えておりますが、来期以降につきましても継続的に採用活動を進めてまいります。オフィスの床面積を増やしましたので、そのコストに見合う社員数への増員を進めていきたいと考えております。

代表メッセージ

皆様からのご質問、ご指摘がとても刺激的な内容でありました。そして、本日お越しいただいた方、 オンラインでご参加いただいた方々、貴重なお時間を、生の中の大事な時間を、私のメッセージや質疑応答に使っていただき、本当にありがとうございます。

本当に日本が元気になって、日本から世界にイノベーションを起こすっていう際に、大企業が起こしているのではないんです。世界では新産業側が起こしてるんです。日本だけが違うってことはないんだろうと私は思っています。スタートアップと大企業が競争するし、協業するし、そこでオープンイノベーションを起こしていくという社会を日本に生み出すために、私たちはより早く成長したい。皆様からのご指摘を踏まえながら自分たちを改善し、前に進めていきたいと思っていますし、そういう真摯な経営をしている企業の一社であるとも思っています。この機会を自分たちの経営の改善機会に使いながら進めていきたいと思っていますので、引き続き、ご指導のほど、よろしくおねがいいたします。


書き起こしは以上でございます。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。

注意事項

この記事は当社のIR活動等についてお知らせすることのみを目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。
投資に関するご決定は登録者様ご自身の判断で行っていただきますようお願いいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?