熊本で出会ってしまった「コーヒーでお洒落する」店【珈琲家はんの木】
〒860-0844 熊本県熊本市中央区水道町4−39
open 13:00-24:00(日曜のみ12:00-)
アーケードから一本外れた道に入ると急に現れる、カルチャーな通りにあるお店です。
入り口のメニューです。
地下へ続く階段を降ります。
隠れ家感が堪らないです。
店内に入ると、一枚木のカウンターとテーブル席が広がっていました。
オレンジ味を帯びた温かいイメージの店内です。
メニューを出されるとすごい数のアレンジコーヒーのラインナップ…。
ストレートコーヒー、ブレンドコーヒー、アレンジコーヒー、コーヒーカクテル等様々でした。
何にするか悩んでいると、店主が話しかけてくれました。
-------------------------
この店はオールドビーンズと言って、6~10年間熟成させた豆を使ってるのが特徴です。
東京でオールドビーンズを使ったコーヒーを飲もうとすると
一杯1万円はしますよ。
昔はもっと貴重だったから8万円は普通でした。
最近のカフェで使う豆はニュークロップだから
どこの店も酸味やえぐみがあって美味しくないんですよ。
うちの長年熟成させた豆は香りが深くコクがあって、淹れ方も他とは違うから一番美味しいんです。
ホットコーヒーは冷めるほどに、アイスコーヒーはぬるくなる程に甘みが増すんですよ。
飲み物は3000種類作れます。
お客さんの気分を言ってください。
お客さんにぴったりのコーヒーを考えます。
元気が出るようなコーヒーがいいですか、それとも落ち着きたい気分ですか。
しっかりした味がお好きですか。軽い飲み口がお好きですか。
チョコレートが食べたい気分なら、チョコレート味のコーヒーを淹れます。
お酒を飲みたい気分なら、コーヒーを使ったカクテルを作ります。
-------------------------
イメージを伝えて、それに合ったコーヒーを淹れてもらうなんて
まるでアロマを調合するみたい…。
話してすぐ伝わってくるコーヒーへの情熱に、私のオタク気質と似たものを感じずにはいられず、一瞬で好きになりましたわ。
あれがいいこれがいいと注文すると、分かりました。と言って迷わず豆を手に取り手際良く淹れてくださいました。
ドリップしている間も店主のコーヒーを語る口は止まりません。
コーヒーにかける夢とロマンがひしひしと伝わります。
-------------------------
うちは一杯のコーヒーを淹れるのに、普通の倍の量の豆を使います。
見て、こんなにたくさんです。
今からこれを83度のお湯で蒸らしていきます。
そして更に2回目の蒸らしをします。
こうやってお湯を注ぐと泡がもこもこと上がってくるでしょう。
この泡に旨味がたっぷり含まれているんです。
これを押し込むように淹れることで、浮いてきた泡に含まれた
コーヒーの旨味を抽出できて、やっとおいしいコーヒーになるんです。
はい、これで今甘みを抽出しました。
今から苦味を押し込んでいきます。
完成しました。
グアテマラ、コクが特徴のストレートコーヒーです。
-------------------------
グアテマラ…。
グアテマラと言えば酸味が特徴のコーヒー豆では…。
私は酸味ほぼゼロのコーヒーが好きなので、おそるおそる飲みましたが…
むちゃくちゃ美味しい😭😭😭
私が知ってるグアテマラとちゃう…!
柔らかで深い苦味と後に残るかすかな甘い香りに
仕事でのしかかった疲労感がどこかへ消えてなくなりました。
ビターチョコレートのような苦味とメロウな舌触りに
コーヒーがどれほど疲れた人々を慰めてきたかを思いました。
あ〜コーヒー最高
-------------------------
ニュークロップのグアテマラは冷めるとどんどん酸っぱくなるでしょう。
うちのは時間が立つほど甘みが際立ちますので
1杯のコーヒーを30分、1時間かけて飲んでほしいんです。
ケーキは何がいいですか?
私だったらチョコレートかチーズを合わせますね。
-------------------------
ひんやり濃厚すぎる生チョコレートタルト、
合わない訳がなさすぎて泣きそうでした。
ケーキをいただきながら、私が熊本へ出張に来たいきさつや
福岡の喫茶店事情等、たくさん喋りました。
中でも私が特に印象的だったのが、店主が熊本でお店を開いた理由やそれにまつわる話です。
-------------------------
熊本の人はコーヒーでお洒落することを知らない、
みんな冬はホット、夏はアイスを飲む人ばかり。
札幌では白い雪を見ながらアイスコーヒーを飲むんですよ。
お洒落でしょう?
札幌のうちの店はそういうスタイルです。
熊本ってコーヒー人口が日本で下から2番目なの、知ってました?
私は熊本にもっとコーヒーを広めたくて店を始めたんです。
-------------------------
なんそれアツ
31歳からコーヒーの勉強を始めて9年間で独自のスタイルを完成させたそうです。
コーヒーに目覚める前は何してたんですかとお聞きすると
「3年間教師をやって、おもんなかったから辞めてアメリカの大学に入学して5年間勉強して、それから色々して札幌で店開いた」とのこと。
と、知れば知るほど面白いコーヒーの世界と店主の生い立ちでした。
今まで飲んだどのコーヒーより美味しく
またここでしか飲めない唯一無二ということに大変特別感を感じました。
ここを訪れるためにまた熊本へ来たいと、強く思います。