Lenovo Legion Tab Y700 Series Overviews
本格的にY700芸人として歩むために作りました()
Image Source→https://gaming.lenovo.com/wallpapers/post/free-wallpaper---legion-9i-2GTBv7Nobg03nep
シリーズの基礎情報
ゲーミング用の小さなハイエンドタブレットというコンセプトの下、2022年からLenovoよりLegionブランドでリリースされている。
このシリーズの登場までiPad miniに対抗できる性能と小ささを備えたタブレットは皆無であり、開発開始当初から非常に大きな注目を集めた。
https://androplus.jp/entry/lenovo-legion-y700-official-leak/
スマートフォンの放熱プレートは強力なGPUを活かしにくいとされるが、タブレットであれば物理的なスペースが確保できるため、SoC本来のGPU性能を長時間に渡って発揮できる(上記記事より抜粋&一部改変)。具体的には(Snapdragon) 870搭載のGen1はフルチューンによって一応上位種の888搭載の端末に迫る性能を発揮し、8+ Gen1搭載のGen2も、実ゲーム性能で次代の8 Gen2搭載端末に迫るパフォーマンスを見せている。
Dolby Atmosが全世代につくため、マルチメディア消費端末としても有用。尤もゲーム主体のため相応に削られている部分もあり、特に指紋認証とGPS機能に関しては各所で要望が有るもののGen3に至って尚搭載されていない。
話は前後するが、基本的にLenovo公式としては年号表記を使っているものの、本記事では分かりやすさの観点(後述)からGen1、Gen2、Gen3といった表記を採用して解説する。
Lenovo Legion Tab Y700 Gen1
型番/Codename:TB-9707F / Pike
SoC:Qualcomm Snapdragon 870
RAM/ROM:8GB/128GB & 12GB/256GB
ディスプレイ:8.8インチ 2560×1600 LCD 120Hz
バッテリー:6550mAh、USB PD 45W充電対応
寸法/重量:207.1×128.1×7.9(mm) / 375g
色:钛晶灰、冰魄白、炫光蓝※
端子など:USB 3.1 Gen 2 Type-C×1、3.5mm オーディオ端子×1、microSDXC スロット
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0
※ 下二色は限定版Ultimate Editionとして発売。
最初に登場したY700。870は今見ると流石に非力感があるものの、当時は結構多数のタブレットで主要SoCとして採用されており、現在でもクソ重ゲーでなければ充分戦えるレベル。
2024年現在ストックROMのZUIが2回大型アップデートされた唯一の端末(Android11のZUI13→Android12のZUI14→Android13のZUI15)。特に15は"adb shell settings put system system_locales ja-JP"でより完全な日本語化ができる(13時点では一部中国語の箇所があったりした)ため、素でも使用に伴う不便さは軽減されている。
グローバル版を出す予定自体はあったらしいが(TB-9707N)、下記のGen2が比較的早期に出た関係か最後までPRCリージョンのみであった。
Bootloader Unlockは申請サイトを用いた申請式。特にWidevine DRMがL1のままな点はGen2に対してアドバンテージとなった。
Lenovo Legion Tab Y700 Gen2
型番/Codename:TB320FC&T0995HAS※1 / Asphalt
SoC:Qualcomm Snapdragon 8+ Gen1
RAM/ROM:12GB/256GB & 16GB/512GB
ディスプレイ:8.8インチ 2560×1600 LCD 144Hz
バッテリー:6550mAh、USB PD 45W充電対応
寸法/重量:208.9×129.5×7.6(mm) / 350g
色:钛晶灰、炫光蓝※2
端子など:USB 3.1 Gen 2 Type-C×1、USB 2.0 Type-C×1、microSDXC スロット
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2
※1 下記のNEC OEM品の型番。
※2 炫光蓝は限定版として発売。
2023年6月頃から噂やリークが出始め、7月に発表された第二世代。スペックが全体的に強化され、全ての性能が上位互換となった。唯一オーディオ端子は消えたものの、代わりにType-C端子がもう1個生えてきた変態構成のため、「充電しながら音ゲーやる」といった用途は従来通り可能。
8+Gen1もGen2、Gen3、Eliteと出たため既に3世代落ちだが、レーマス最高画質でも充分な性能を見せるため、調整次第でまだまだ戦える。
Gen1が現在ZUI15まで2段階のメジャーアップデートをしているため、Gen2も最低ZUI17(Android15)までアップデートすることが見込まれる。
下記の通り今世代からグローバル版が実装…しかし、後述の通りグロ版ROMの存在自体が多くのユーザーに波乱を招くこととなった。
Bootloader Unlockは申請無しで"fastboot flashing unlock"で可能…だったがバージョンが上がったらコマンド毎bootloaderから消されて使用不可能になった。Rollback Indexを無視して過去バージョンをゴリ押し焼き→コマンド実行すればできるが、慣れて無い人には非常に難しい作業になるためおすすめしない。Widevineはぶっ壊されて機能しなくなる(表面上はL1だがNetflixやAmazon PrimeビデオでHD再生ができなくなる)。
2024年初頭にはアンチグレア液晶を搭載した発展機も登場したが、個人的にはフィルム貼ってしまうとどのみち無力のため、あまり魅力的には見えなかった。
リージョンロックについて
Gen2を語る上では絶対に外せない事項のため、項目ごと別個分離し、過去歴をなぞりながら解説していく。
Gen2には現在、中国販売向けのLegion Tab Y700(Asphalt_PRC)、国際販売向けのLenovo Legion Tab(Asphalt_ROW)、日本でNECがOEM専売するLavie Tab T9(Asphalt_NEC)の3バージョンが存在している。NECは言わずもがな、PRCはPeople's Republic of China、ROWはRest Of Worldの略。
当然元の端末が同じなため当初はPRC上にROW又はNECのROMをEDL経由でFlashする事が可能であり、一時はアリエクで買ったPRC版にROWやNEC ROMを焼くのが大流行りした。ぶっちゃけ詳説書いたAndroPlus氏が戦犯
しかしそんな無法状態をLenovoが黙って見ている筈もなく、このブームは幾つかの対策により終焉を迎える。
まず第一がSoCベースのリージョンロック。ZUIバージョンv15.0.774(PRC)又はv15.0.240(ROW)をFlashしてBootloader Lock(若しくはLocked状態でEDL Flash)するとリージョンコードが書き込まれ、該当のリージョンROM以外では一切の起動ができなくなる(BootloaderやRecoveryも例外無く)。
このリージョンロックの詳細はxdaの記事に譲るが、簡潔に言うとこの書き込みはSoCの非常に根深い部分に行われているため、書き込み直しはほぼ確実に不可能。NECはZUI15の段階ではリージョンチェックを実装していなかったが、流石に16から実装しROWでないと起動しなくなった。
そしてv15.0.774は2024年5月以降の製造個体にかなりの確率で初期ROMとして焼かれているため、24年11月現在新規に買ってROWや16のNECに焼き直す事は完全に不可能と言って良い。
更にLenovoは特定のバージョン以降(ROWとNECは16から)BLUコマンドをまるっと削除した他、v15.0.774とv15.0.795では内部の日本語ファイルロケールをja-JPzhzhに変更するという措置まで行った。後者の何が問題かというと、言語情報の変更によって一部アプリが機能不全に陥る点にある。具体的にはAmazon Prime Videoなど。先の通りL1はLockedでないと機能しないため、PRCをそのまま使っていた&リージョンロックで使うことにしたユーザーはかなり悩まされることとなった。
とはいえBLUは上記の通り削除前のROMを焼けば不可能ではなく(RollBackはともかくリージョンロック実装前のROMにする点は注意)、ロケールもZUI16で元通りja-JPで日本語化できるようになり(Lenovo CNにお問い合わせしたところ嫌がらせとかでは無くマジモンの不手際だったらしい)、最初のリージョンロックに比べると簡単に解決されていった。
現在、現実的にGen2を使うには2つの手段がある。
limzei89氏の様にZUI v16.0.336(PRC)まで上げて日本語化&諸々のアンスト処置をして使うか、私の様にGSIを魔改造して使うかである。正直生体認証関連と一部のバグに目を瞑れるならPRC ZUI路線の方がおすすめである。MEETS_STRONG_INTEGRITYも通るし。
Lenovo Legion Tab Y700 Gen3
型番/Codename:TB321FU / Kirby
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen3
RAM/ROM:12GB/256GB & 16GB/512GB
ディスプレイ:8.8インチ 2560×1600 LCD 165Hz
バッテリー:6550mAh、USB PD 68W充電対応
寸法/重量:208.54×129.46×7.79(mm) / 350g
色:碳晶黑、冰魄白
端子など:USB 3.1 Gen 2 Type-C×1、USB 2.0 Type-C×1
通信:Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
元々出ることはアンチグレア版Gen2辺りから言われていたが、2024年9月末に万を持して登場。最後のKryo CPUとなりそうな8 Gen3を積んで更なるスペックアップを果たした。
ちなみにLenovo公式には2025と表記しているが、一方で各年の干支である製品イメージ・ディスプレイには龍が描かれている意味の分からなさ(2025年は蛇年)。この辺のこんぐらかり感も、私が年号表記ではなく世代表記を優先する理由である。
個人的には液冷VCを搭載した事にかなり魅力を感じたが、ほぼ同時期に数世代分スペックアップしあのApple A18 Proをもブチ抜く性能を得た8 Eliteが出てしまったのは魅力として惜しい。
Type-C端子2つは継続となったものの、microSDXCに関しては遂に喪失することになった。まあこの辺は仕方の無い面もある。
まだリリースして間もないため、対応バージョンはZUI16.1のみ。勿論コマンド経由の日本語化にも対応。型番もUなのでそのうちグローバル版も出されると思われる。が、この機種最初からリージョンロック病に感染させられているようなので、間違ってもグロROMを焼かないようにしましょう。
Bootloader UnlockはGen1と同じ申請式に戻ったが、AndroPlus氏によるとGen2と違いBLU後もWidevine L1が維持されているとのことで、実際に筆者ももろもろ確認して事実であると分かった。
おまけ①:各社のY700競合機体について
Y700の成功を受けてか、他のメーカーも8インチ台のハイエンドタブレットのリリースに動き出している。
Alldocubeは11月にTB320FCのジュニアモデル染みたタブレットを発表、OPPOやXiaomiからも小型タブレットの噂がある。AlldocubeやXiaomiはそれぞれ7+Gen3と8sGen3を搭載すると目されており、コスパは兎も角性能面ではTB321FUには及ばない。しかしOPPOはリークによると前述したSnapdragon 8 Eliteを搭載すると言われており、今後が注目される一台になりそうだ。
おまけ②:Y700 Seriesのファームウェア一覧表(Rollback Indexつき)
亡きterajima-alc氏の遺志を継ぎ、恐らくロシア掲示板の4pda主導で更新している表がありましたので共有させて頂きます。Gen1とGen2の全ZUIを網羅し、最新のv16.0.024(NEC)もあるためちゃんと更新されている模様です。
参考までにお役立てください。
Gen3の方は今のところ私が主導で更新しています。Konabessで弄る際に参考になる電圧降下+クロック追加表も置いています。
おしまい。