薬局長の七難 ~薬局長の悩みを考察~
このnoteは「医薬品集制作の大学堂」公式サイトに掲載するホワイトペーパーの下書きを関係者と共有するために作成しました。
【解説】ホワイトペーパーとは?
ホワイトペーパーとは、顧客の課題解決のための参考情報を提供し、その解決に自社サービスが貢献することを述べた資料です。
ホワイトペーパーは以下の用途に活用できます。
では、本編に入ります。
表紙
はじめに
薬局長の七難
突然ですが、質問です。
皆さんが現在抱えている悩みは、この中にいくつあるでしょうか?
恐らく「どれ一つ当てはまらない」という施設は皆無だと思います。
本稿では、これらを「薬局長の七難」と呼ぶことにします。
本稿では「七難」の原因を考察し、その解決のカギを提案していきます。
悩み❶:「薬剤師不足」
【対策】時間の投入でスキルアップを
薬剤師全員が成長するしかない
薬剤師不足の原因は施設によって様々。環境や運にも左右されます。切実な問題ですが、本質はそこではありません。もし薬剤師数が激増したら、もし作業量が激減したら、その時薬剤師は何ができますか?結局、薬剤師全員が成長する以外に光明は見出せないのです。
時間の投入こそ全て
では、どうすれば薬剤師が成長するのか?それは時間の投入に尽きます。「1万時間の法則」をご存知でしょうか?エキスパートになるには1万時間の練習・努力・勉強が必要だという理論です(別名「石の上に三年」)。
本来業務に時間を割けていない!?
貴院ではどの業務に最も時間を投入していますか?「問い合わせ」「持参薬鑑別」「記録作成」、当院ではこの3つ。でもこれらが本来業務と呼べるでしょうか?もっと他に注力すべき業務があるのではないでしょうか?
悩み❷:「働き方改革」
【対策】「三つの壁」の克服で大幅な時短を
「時間」の壁の克服
医療は24時間体制で回っています。薬に関する問い合わせもまた時を選んではくれません。ところがDI室で対応できるのは1週間のうちでたったの1/4。なので、DI担当以外の薬剤師でも残り3/4に対応できる方策が必要です。
「距離」の壁の克服
薬剤師が様々な部門で活躍する時代となり、旧来の情報収集体制は限界を迎えています。資料の閲覧のためだけにDI室を何度も往復するのは時間の無駄だからです。DI室を訪れずとも情報を入手できる方策が必要です。
「技術」の壁の克服
薬剤師には医薬品情報を読み解く技術(リテラシー)が必要です。ところが若手は情報の「収集」にばかり忙殺され、「評価」「判断」のスキルを伸ばす機会に恵まれていません。このままでは若手とベテランの差は開く一方。リテラシー不足の若手への手当てが必要です。
悩み❸:「チーム医療」
【対策】「リスク評価」を常識に
専門家としての役割
special population(特殊患者集団)という言葉がありますが、何一つ特殊性のない「一般的」な症例など存在しません。薬剤師の役割は「一般的」な薬の使い方をそのまま当てはめていいかを判断することに尽きます。
先回りで「意見」を用意できるか?
薬剤師は問い合わせに回答することはできても、先回りで意見を用意することには慣れていません。しかし、それができなければ単なる伝達係。自発的に論点を探し出し、患者と薬をマッチングをさせるスキルが求められます。
新記載要領が求める「リスク評価」
添付文書に「特定の背景を有する患者に関する注意」が新設され、「リスク評価」の重要性はより色濃くなっています。しかし、大半の答えは添付文書の中にはなく、薬剤師自身が見つけ出さなくてはならないのです。
悩み❹:「業務の属人化」
【対策】「情報共有」の場を開放する
第四の壁「属人化の壁」
薬剤師不足になると顕在化するのが「属人化の壁」です。責任感を持てば持つほど業務や情報を抱え込み、直接関与しない周りは関心を失っていきます。ただ、平時はそれでよくても非常時には深刻な事態をもたらします。
平時だからこそ「情報共有」を
「属人化」のリスクを理解したら、真っ先に始めるべきことは「情報共有」です。エキスパートからすればどうと言うことのない情報でも、急遽代役を務めるスタッフにとっては計り知れない価値がある筈です。
医薬品情報の「固定観念」を捨てる
添付文書等に記載されている情報だけが医薬品情報というのは窮屈な思い込みです。医薬品に紐付いた実務情報、例えば供給制限情報や調剤内規なども立派な医薬品情報。それらを院内医薬品集で共有すればいいのです。
悩み❺:「外部評価」
【対策】DI業務は「先進性」で差をつける
医薬品情報の「最新性」
PMDAメディナビや添付文書の電子化を見ても、インターネットを通じて常に最新の医薬品情報を収集することは「既定路線」です。電子カルテ付属の医薬品集も月イチ更新なら最新とは言えません。わが国に5割存在する紙カルテの医療施設とて、いつまでもは見逃してくれないでしょう。
DI担当薬剤師との「連携」
「薬剤師の病棟業務の進め方(Ver.1.2)」では、病棟薬剤師は医薬品情報管理室の薬剤師と連携をとり、当該病棟での問題点等の情報を共有するとともに、各病棟で業務を実施するにあたり必要な情報を収集する、とあります。つまり、「連携」の軌跡が記録として残っていなければならないのです。
「データベース」としての院内医薬品集
病院機能の評価項目となっている院内医薬品集の作成。ただ、どんなに更新回数を刻もうとそれは最新情報とは言えません。また、折角作るのなら「使える」医薬品集を目指すべきです。具体的には分析・集計・可視化ができるデータベース型の医薬品集を作るのです。
悩み❻:「実績作り」
【対策】実績作りのカギは「DI業務」
医薬品情報が紐付かない薬剤師業務はない
実績作りが思うように進まない原因。それは行き着く所、DI業務の重要性を十分に理解していないからです。逆もまた然り。あらゆる薬剤師業務は根底で医薬品情報に支えられているのです。
「薬剤師向け」の医薬品集は存在しない
大半の薬剤師は「医薬品集ならある」と言います。しかし、本当にそうでしょうか?実務に必要な情報が添付文書だけで充足しないことは周知の事実。医薬品情報を補完すべき薬剤師が現状に甘んじていい訳がありません。
薬剤師の薬剤師による薬剤師のための医薬品集
「薬剤師向け」の医薬品集は、いつまで待っても発売されません。ならば自作するしかありません。最新性とネットワーク。これさえ実現すれば、遠く離れた場所でも薬剤師は職能をいかんなく発揮できるのです。
悩み❼:「予算不足」
【対策】ローリスク・ハイリターンを狙う
薬剤師の増員は1名あたり年間400万超の投資
薬剤師1名をフルタイム雇用することは、社会保険料や諸手当(交通費等)も含めると年間400万超の投資に匹敵します(時給2000円として計算)。「いつどんな人が来るかわからない」という不確実性も悩みの種です。
長期的にはコスパの良い高額システム
JUS社の展開する医薬品情報一元管理システム「JUS D.I.」(Standardコース)の場合、初期費用は約400万、ランニングコストは年間約100万と確かに高額ですが、長期的には薬剤師1名を雇うよりは割安となります。
後戻りできないリスク
ただ、容易に後戻りできないという点では、薬剤師の雇用も高額システムの導入も同じです。相性の悪さに気付いても後の祭り。最終的に決断するのは薬局長ですが、運否天賦では余りにもリスクが大き過ぎます。
「クラウド型」をもっとお知りになりたい方は下記をご覧ください。
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