【チーム分析】メルセデスは何故全セッションで最速であり続けられた!?RBのリアサスペンションのアップデートは成功or失敗?【2024 Rd.22 LAG】
「Red Bull」
レッドブルは今週末、持ち込んだリアウィングに悩まされる週末となった。
レッドブルは他チームとは異なり、モンツァなどの高速サーキットと同じハイダウンフォース仕様のウィングをトリムして使用したが、レッドブルは他車よりスピードトラップでは10秒程遅れを取り、尚且つトリムしたことによりDRS効果は薄れてバトルでは厳しいシーンが目立った。
しかしマックス・フェルスタッペンは自身のドライビング技術でマシンの弱みを打ち消すほどのドライブをし、予選は5番手まで登り詰め、決勝では自分自身のチャンピオンのためのドライビングを心がけて見事4年連続のワールドチャンピオンを確定させた。
セルジオ・ペレスは予選では今期6度目のQ1敗退、決勝では多くの車をオーバーテイクし10位でフィニッシュするも、トラフィックで多くの時間を費やし、スタートでハードを選択したことも失敗に終わった。
「Mercedes」
メルセデスは今週末の極端に寒い環境で非常に車がよく機能していた。
フリー走行から全セッションでトップタイムを記録し、決勝レースではジョージ・ラッセルが他を寄せ付けない走りでポールトゥーウィンを成し遂げた。
またルイス・ハミルトンも10番手から第1スティントをタイムの劣化を少なく長いスティントをこなし2回のピットではオーバーカットに成功し、2位でレースを終えた。
メルセデスとしては2022年のブラジル以来の1-2フィニッシュとなったが、チームやドライバーからは何故こんなにもラスベガスの地で速さがあるかは理解していないとのことだった。
メルセデスは第2、3スティントでは他車との差は対してないものの、路面の汚かったレース序盤では特にラッセルが安定して速く、予選でもSector1が速かったことを踏まえると他車よりタイヤへの入力が強かったことが勝利の要因と思える。
「Ferrari」
フェラーリは今週末コンストラクターズのライバルであるマクラーレンが苦戦していた中で勝利を是が非でも欲しい状況だったがその速さはなかった。
予選ではカルロス・サインツが0.098秒差でポールポジションを逃し、決勝ではレーススタート直後のTern1でシャルル・ルクレールが2番手に浮上しその後にジョージ・ラッセルを追撃するもオーバーテイクには至らなかった。
フェラーリとメルセデスは根本的にレースペースが異なり、またサインツの2回目のピットでルイス・ハミルトンと同時に入れなかったことが痛手となった。
フェラーリは肝心の時にピット戦略でのミスが発生し、コンストラクターズでは24ポイント差まで近づいたもののここから2戦ではミスの少ないチームがコンストラクターズチャンピオンを手にすることになりそうだ。
「McLaren」
マクラーレンは週末の前から苦戦することが予想されていたが予想以上にデグラデーションに苦しんだ週末となった。
予選ではQ3でタイヤを上手くウィンドウに入れることが出来ずに6、7番手留まりとなった。
決勝では序盤から両ドライバーがデグラデーションに非常に苦しみ、とてもライバルと戦える状況ではなかった。
マクラーレンは今回のラスベガスでコンストラクターズにおいてはフェラーリに24ポイント差に縮められた。
しかし次戦のカタールはマクラーレンに分があるサーキットと予想され、最終戦のアブダビも決して悪くはないはずだ。
残り2戦ではドライバーチャンピオンシップの可能性は無くなったが決して両ドライバーにミスが許される状況ではない。
「Aston Martin」
アストンマーティンはFP3でランス・ストロールのマシンにERSトラブルが発生し、ERSのパックを交換するも予選では1回のアタックしか出来ず、プリップラップを入れれなかったこともありQ1敗退となった。
また決勝ではストロールにレース開始時から無線のトラブルに見舞われ、ピットと全く交信の出来ない中での1回目ピットインとなった為20秒近くのタイムロスをした。
またフェルナンド・アロンソはソフトで決勝をスタートさせるも第2、3スティントが長くなった影響でレース終盤にポイント圏外に転落した。
ストロールは無線のトラブルがありながらのフィニッシュは見事だったがアロンソに関してはミディアムでスタートしていれば結果が変わった可能性が大きい。
ここ数戦はポイント争いの出来ないレベルの車であったところがやや改善は見られたがまだまだ中段勢のトップとは大きな差がある。
「Alpine」
アルピーヌは前戦ブラジルの好調を維持して予選ではピエール・ガスリーが3番手を獲得した。
しかし決勝ではルノーPUが虚しくも白煙を上げ、ガスリーはリタイアに追い込まれた。
まあリタイア後に映し出されたサイドポッドには大きな穴が空いており、何処で接触の影響を受け、これもエンジンに対して悪影響を与えた可能性が高い。
エステバン・オコンは決勝を11番手からポイントを伺えるポジションだったが1度目のピットインでは何も用意されておらずセルフドライブスルーとなった。
この影響は大きく約18秒近くを無駄にしたこととなりポイント獲得は非常に遠のいた。
アルピーヌは折角予選までは良く、レースペースも悪いものでは無かったのでエンジン故障とコミニケーションミスは痛い結果となった。
コンストラクターズにおいてはハースに6位の座を明け渡す結果となったが未だに1ポイント差のため逆転のチャンスはある。
「Williams」
ウィリアムズは今週末もマシンが大破する非常に厳しい結果となった。
FP2ではアレクサンダー・アルボンに燃料トラブルが発生し、一時はコース復帰するもした途端にエンジンが吹けなくなり停車した。
予選ではフランコ・コラピントがQ2でSector3のミニセクターでパープルを記録するもTern15のコンクリートウォールに接触、コントロールを失いTern16のコンクリートウォールを歪めながらクラッシュした。
このクラッシュでは最大50Gを超えていたとされ、コラピントはメディカルチェックを受け問題なく、決勝に出場できた。
しかしマシンは大破し、多くの部品の交換が必要でありピットからのレーススタートとなった。
コラピントは決勝ではいいレースペースを維持していたもののスタートポジションが悪いためポイントには繋がらなかった。
一方アルボンは決勝ではエンジンのトラブルが発生し、リタイアした。
ウィリアムズにとっては残り2戦が正念場であり、スペアパーツのことを考えるともはやクラッシュは出来ない状況だ。
またアルボンに今週末エンジン関連のトラブルが発生していることが非常に心配である。
「RB」
RBは今週末からレッドブルのRB20と同様のリアサスペンションを搭載してのレースとなり、レースペース改善が見込まられた。
FP1ではエンジンレベルを落としていたのか非常に遅く心配されたがFP2からは居るべきポジションに復活した。
予選では角田裕毅が7番手を獲得し、決勝ではポイント獲得を十分望める位置からのスタートとなり、レース終盤にはコンストラクターズで6位を争っているハースのニコ・ヒュルケンベルグとは熱いバトルの末ポジションを譲ったが、レッドブルのセルジオ・ペレスは抑えきり9位で2ポイントを獲得した。
一方でリアム・ローソンは予選のラストアタックで痛恨のミスをし14番手からのスタートとなり、決勝では1ストップを狙うも最後はタイヤが終わってしまいピットインを強いられた。
レースペースは以前よりも改善が見られたが中段勢のトップであるハースとは未だに開きがある。
しかし予選はサスペンションを新しいものにしても変わらない速さであり、ここから数戦かけて来年に向けてマシンの理解度を上げることでもっと予選、レースペースの両方で向上が見られるだろう。
「Sauber」
ザウバーは今週末にフロア関連やリアディフューザーなどのアップデートを投入してきた。
その結果予選では周冠宇が今期2度目のQ2進出をし、決勝は13番手からスタートした。
第1スティントのミディアム、第2スティントのハードでは課題の残るレースペースだったが、終盤の改善した路面でのハードは非常に良いペースをしておりこれから期待が持てるレースとなった。
バルテリ・ボッタスはポイントに向けて1ストップしかない状況でのスタートだったがハードがレースにおいてはベストタイヤだったが第1スティントの路面がダスティな状況で使ったしまったことが大きく影響した。
ザウバーは以前ほどの遅れがラスベガスではなく、ここ2戦で投入したアップデートは機能していることがわかる。
しかし特殊トラックであるラスベガスでは速かったものの、次戦のカタールでの速さが非常に重要にはなってくるだろう。
「Haas」
ハースは今週末今期3回目の母国グランプリでコンストラクターズにおいて6位に復帰する良い週末となった。
ニコ・ヒュルケンベルグは予選では流石の速さでQ3進出を果たし9番手を獲得、決勝では終盤に角田裕毅を抜き8位でフィニッシュした。
一方でケビン・マグヌッセンは12番手から1ストップ作戦を唯一成功させたものの、フロントタイヤの状況は厳しくトラフィックに多く引っかかったことが痛手となった。
レースペースとしては5番目のチーム、中段勢では明らかに抜きん出たものがあり、戦略もハマっていたことを考えると一年での進化が凄まじい。
またコンストラクターズにおいてはは7位のアルピーヌの1ポイント差、8位のRBとは4ポイント差と気の抜けないレースが残り2戦は続く。