ハミルトン、一貫したペースでフェラーリ勢を揺さぶる——F1イギリスGPラップタイム検証
「racefans.net」にイギリスGPラップタイムとギャップグラフが掲載されていたので、確認してみた。
まずはギャップグラフ。y軸の一番下が先頭で、上に行くほど先頭との差が大きい。今回はトップ3チームとノリスの推移を表示した。
私が月曜日に書いた『「俺たちのフェラーリ」再び——王座争いで詰め寄るチャンスを逃したイギリスGP』で、サインツにチームオーダーを出せばルクレールは楽に逃げられ、セーフティーカー(SC)中のフリーストップを得ることも不可能ではないのでは、と書いたが、ハミルトンのこのペースに対してSC中のフリーストップを得るのは無理があるようだ。
サインツの21周目のタイヤ交換後にルクレールのタイムが伸びないのは「サインツの後ろを延々走ってタイヤが消耗したため」かもしれないが、チームオーダーで31周目にルクレールを前に出しても、サインツとの差は広げたもののハミルトンとの差は広げられなかった。
ラップタイムの比較(グラフの下に線があるほどタイムが速い)を見ると、10周目から25周目にかけては一貫してハミルトンが最速だ。ルクレールは25周目にタイヤ交換して以降に一時的に最速となるが、34周目のハミルトンがタイヤ交換するとルクレールと同じペースに戻している。
ハミルトンのペースは12周目にフェルスタッペンがトラブルで後退する以前にコース上で最速となっており、仮にサインツとルクレールの順位を入れ替えても差を10秒以上に広げるのは至難の技だった、という結論となる。このペースが本物なら、次戦以降のハミルトンの逆襲も大いにありうる。
それでも、早期にチームオーダーを発動してルクレールを前に出し、サインツにハミルトンを牽制させれば、フェラーリにとって良いレースとなったのではないか、と思うのだが。。。SC中のタイヤ交換についても、ここまでバタバタせずにすんだだろう。
最後に付け加えると、アンダートレイの損傷で交代を余儀なくされたフェルスタッペンのタイムグラフが綺麗な直線を描いている点が目を引く。原因不明のトラブルにもかかわらず、マシンの限界を見極めてタイムを刻むところはさすがチャンピオンの走りだと恐れ入った。