青春18きっぷ改悪騒動について、乗り鉄兼元JR社員が思うこと。
Yahooニュースに青春18きっぷの改悪への署名を行い、JR東日本が受け取りを行わなかったという話がニュースになっていた。
署名は3万4000人ほど集まっていたらしい。
それだけ愛されている切符であるということだろう。
しかし、私の意見は改悪もしくは廃止やむなしである。元JR社員とはいえど、切符の企画などには携わっていなかったので、どういう経緯で改悪になったのかなどは全く知らないが、現場にいたものとして、また一乗り鉄として、思うことをつらつら書く。
1番の改悪の理由
ほぼ間違いなく駅員の負担の軽減だと思う。
無人駅の増加と有人駅でも有人改札の減少による、弊害は青春18切符にとって顕著であった。
青春18切符を利用したことがある人ならわかると思うが、有人改札で並んでイライラしたことはほぼ確実にあるのではないかと思う。
有人改札が全員18キッパーであればスラスラ流れていくが、現実はそうではない。切符の清算をする人、改札が通れなくてクレームを入れてる人、乗り換えの問い合わせをする人や駅によっては切符売り場と一緒になっているところもあるので、切符販売の接客が終わるまで待つこともあるだろう。
一方でこちらは見せるだけ1秒か2秒で終わる。
待ち時間でイライラした人のヘイトが駅員に向き、クレームとなったり、対応している人の後ろを絶対に見えない距離で提示しながらすり抜けたりして不正乗車の温床となるのである。それを注意するのもまた駅員の負担である。
自動改札機を通せれば解決する。
これはJRがアナウンスしてるように利用者にとってもメリットである。
それとそもそも青春18切符を使う客層が悪い。これは18切符を使ったことのあるユーザーや東海道線静岡、愛知県内ユーザーであれば強く感じるのではないだろうか。
乗り換えでダッシュする、有人改札で問い合わせしてる一般の客に圧をかける人など決して稀ではなかった。
JR東海の在来線駅員は苦労してるだろう。
もう一つの大きな理由不正乗車
無人駅〜無人駅の不正
今までの18切符で1番横行し、かつ最も悪質と思われる不正乗車である。
方法としては非常に簡単で無人駅にて18きっぷを持参の上乗車。そのまま無人駅にて下車である。この不正最大の問題は例え検札があったとしても、その場でスタンプを押してしまえば無罪放免ということだ。
つまり18切符発売期間は検札が来ない限り、毎日無料で電車に乗れてしまうのである。
検札にこないJRが悪いといえばそれまでだが、そもそも18切符のシステムに問題ありと言わざる負えないだろう。
ちなみに無人駅でもワンマンのところがほとんどじゃないかと思うかもしれないが、ワンマンじゃない無人駅も全国にかなりある。
もう発売されないので一例を書くと
無人駅のどこかで乗車→有人駅で車内改札なしで下車し、全国自由に移動→降りる駅はワンマンでない無人駅(例えば北九州の小森江駅や広島の東福山、東海道線の荒尾駅や東田子の浦駅、関東ですら相模線や千葉県内の駅などなあり、関西圏や東京でも早朝夜間係員不在の駅は多くある)
これらの問題は今回より発売される青春18切符が購入時点で日付指定が必要なので解決する。
切符の偽造やスタンプ改竄など
先ほどの不正と比較すると、発生頻度は高くないものの、特にスタンプの改ざんはそれなりに発生している、駅員の押すスタンプの日付が見えにくいことを悪用して、別日に使用することや、違う年の18切符を使用するなど、話は絶えない。
改札を通せるようになることによりこの問題も解決する。
3セク、特急への不正乗車
これは新たな切符でも解決はしないが、やはり一定数、乗車不可の3セクや特急に乗る奴らがいる。
これは故意でない場合も多く、特に3セクについては鉄道ファンでもない限り、わかりにくく、改札などがなければ気づかないで乗り換える人も一定数いる。
多いのはやはり北陸地区や、三重県内だろう。
特急についても同様で特急券を払えば乗れると思う鉄道ファンではない若者や高齢者は一定数いる。
切符の地域格差
18切符は北海道と北陸地方在住の方はほとんど使うことはないのだあろうか。そのくらい地方の3セク化や廃線、ダイヤの過疎化は進行している。
一方で東海道線の利用頻度は明らかに高い。これは利用したことある人なら肌で感じることであると思う。本数も多く、平均速度も早くまともに長距離移動できるのは、おそらく東京〜神戸の東海道線くらいであるし、やはり東名阪の移動の需要が高いのは東海道新幹線の本数がそれを証明している。
JR東海がどう思ってたのか
巷でよく東海と隣接する東日本や西日本、また利用する貨物会社が仲が悪いという話があるが、実際のところどうなのかわからない。
しかし、18切符は明らかにJR東海の負担が大きい。その分18切符の売り上げはJR東海に多く割り当てられているのであろうが、JR東海としては雀の涙の売り上げだろう。
東京〜名古屋間の片道新幹線が約1万円であるのに18切符は5日間で1万2千円である。JR東海からすれば、東京〜名古屋、名古屋〜大阪は格安航空会社との競合がなく、実質バスとの競合だけである。この区間で18切符の選択肢を消せるのは大きな意味があるのではないだろうか。
まとめ
この切符JRにメリットがあるかっていうと昔からほとんどないと思う。ただ最近は駅の無人化や3セク化などデメリットがユーザー側にもJR側にもかなり増えてきていよいよというところだろう。
一つ言えるのは昔と違って今は安い移動手段が増えた。特に格安航空の登場は九州や北海道を身近な旅行先にしたと思う。かつての夜行列車は長距離フェリーと夜行バスに姿を変えた。
そのような移動手段の変化に18切符も時代遅れの切符となって、今回のような改悪になってしまったと言える。
個人的にはジャパンレールパスの日本人向けのものを出して欲しい。あまり話題にはなってないが、ジャパンレールパスも値上げにより、7日で5万になり、博多〜東京往復1回だけだと元が取れない値段であるし、何よりのぞみとみずほは使えない。この値段設定であれば日本人へ販売しても何ら問題ないと思うが、新幹線定期券より安くなってしまう区間もあるので、その辺りの調整は入ってしまうと思う。
青春18切符は10年以上愛用していた切符でかなり愛着があり、寂しいがこれも時代の流れなのだろう...新たなお得な切符を期待する。